「MACKIE. MDB Series」製品レビュー:ローノイズなパッシブ/アクティブ/USBバス・パワー・タイプのDI

MACKIE.MDB Series
MACKIE. MDB Seriesは、アコースティック・ギターやエレキギター、ベース、キーボードなどの楽器をミキサーに接続する際にインピーダンスを変換するDIシリーズです。パッシブ/アクティブ・タイプからUSBバス・パワーで駆動するタイプまで、合計4種類のDIがラインナップされています。早速レビューしていきましょう!

−15/−20dBのPADスイッチや
グラウンド・リフト・スイッチを搭載

MDB-1Pはパッシブ・タイプのモノラルDIで、フロント・パネルには入力、スルー出力(いずれもフォーン)、−15dB PADスイッチ、リア・パネルには出力(XLR)、グラウンド・リフト・スイッチを搭載。エレキベースなどのモノラル音源を変換するのに最適です。パッシブ・タイプの大きなメリットは電源が必要無いことですね。

▲MDB-1Pのリア・パネル。OUTPUT(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを搭載している ▲MDB-1Pのリア・パネル。OUTPUT(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを搭載している

続くMDB-2Pはパッシブ・タイプのステレオDI。フロント・パネルには入力、スルー出力(いずれもフォーンL/R)、−15dB PADスイッチL/R、リア・パネルにはステレオ出力(XLR)、グラウンド・リフト・スイッチを備えています。キーボードなどのステレオ音源をL/Rのバランスそのままで変換可能。また、2系統のモノラルDIとしても使用できます。

▲MDB-2Pのリア・パネルには、ステレオOUTPUT(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを備える ▲MDB-2Pのリア・パネルには、ステレオOUTPUT(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを備える

MDB-1Aは48Vファンタム電源で駆動するアクティブ・タイプのモノラルDI。アクティブ回路を採用しているので、音質的にはパッシブ・タイプよりも安定しています。フロント・パネルには入力、スルー出力(いずれもフォーン)、−20dB PADスイッチ、2つの音源ソースを1つのモノラル音源にミックスして出力するマージ機能オン/オフ・スイッチ。リア・パネルには出力(XLR)、位相反転スイッチ、ローカット・スイッチ、グラウンド・リフト・スイッチを装備。エレキベースなどはもちろん、アクティブ・タイプのギターなど出力が大きい楽器にも安心して使用することができます。

▲MDB-1Aのリア・パネルには、OUTPUT(XLR)と位相反転/ローカット/グラウンド・リフト・スイッチを配置 ▲MDB-1Aのリア・パネルには、OUTPUT(XLR)と位相反転/ローカット/グラウンド・リフト・スイッチを配置

最後はMDB-USBです。フロント・パネルには出力レベル・ノブ、モノラル/ステレオ切り替えスイッチ、ヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ)、USBインプット(Type-B)、リア・パネルにはステレオ出力(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを配置。コンピューターとUSB接続し、コンピューターで再生した音をステレオ・アナログ出力することが可能です。コンピューターの内蔵端子から直接出力するよりも、高品位な音質が期待できます。サンプリング・レートは最高24ビット/96kHzですので、マニピュレーターの方にもお薦めできる製品と言えるでしょう。

▲MDB-USBのリア・パネル。ステレオOUTPUT(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを採用している ▲MDB-USBのリア・パネル。ステレオOUTPUT(XLR)とグラウンド・リフト・スイッチを採用している

ちなみにこれら4製品のほかにもMACKIE.の新製品として、さまざまなケーブル端子の断線チェックができるMTest-1と、48Vファンタム電源を供給するM48が発売されています。M48はACアダプターのほかに9Vバッテリーでも駆動するので、屋外で使用しても安心です。

▲ケーブル・テスターのMTest-1。TRSフォーン/XLR/RCAピン/スピコンなど、数多くのコネクターに対応する(オープン・プライス/市場予想価格:3,600円前後) ▲ケーブル・テスターのMTest-1。TRSフォーン/XLR/RCAピン/スピコンなど、数多くのコネクターに対応する(オープン・プライス/市場予想価格:3,600円前後)
▲48Vファンタム電源を供給するM48(オープン・プライス/市場予想価格:5,900円前後) ▲48Vファンタム電源を供給するM48(オープン・プライス/市場予想価格:5,900円前後)

SN比が良くクリアな音質
軽くて頑丈なライブ現場向きの筐体

MDB Seriesを使ってそれぞれ検証してみましょう。まずはMDB-1PとMDB-1Aを比較。アコースティック・ギター→DI→ミキサーという順で接続します。両者を比べて分かった一番の違いは出力です。MDB-1Aの方がアクティブ・タイプなので圧倒的に出力が大きく、ミキサーの種類を問わず安定した音質を得ることができます。MDB-1Pの方は出力が小さくミキサー側で大きく持ち上げる必要がありますが、SN比も良くクリアな音質なので普段の使用には申し分無いクオリティ。ステレオ・パッシブ・タイプのMDB-2Pは、MDB-1Pと音質はほぼ同じ傾向でした。

最後にMDB-USBを使用してみましょう。Windows/Mac対応でドライバーも不要。MDB-USBと私のAPPLE MacBookを接続し、音質チェックをしてみました。設定は、MacBook上で“システム環境設定→サウンド→サウンドを出力する装置を選択→MDB-USBをクリック”します。ヘッドフォンでモニタリングすると、MDB-USB使用時と未使用時ではやはり大きな違いがありました。MDB-USB使用時は音の輪郭がはっきりし、低域も出て音圧も高く感じます。また、マニピュレートが必要な現場などでコンピューターから音源を出力する際、オーディオI/Oを使用するのはどうしても持ち運びや強度の面で不安が残ります。しかしコンパクトで強度のある筐体のMDB-USBがあれば、ツアーなどの長期使用でも安心して使い続けることができそうですね。

MDB Seriesは、ミュージシャンからエンジニアまで幅広いニーズに答えることのできるDIシリーズだと思います。全体的にコスト・パフォーマンスも高く、軽くて頑強な筐体も魅力の一つ。ぜひ一度手に取ってみてほしい製品です。

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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年10月号より)

MACKIE.
MDB Series
オープン・プライス(市場予想価格/MDB-1P:5,900円前後、MDB-2P&MDB-1A:7,100円前後、MDB-USB:17,800円前後)
●MDB-1P ▪入力インピーダンス:140kΩ(アンバランス) ▪出力インピーダンス:400Ω(アンバランス) ▪重量:0.4kg ●MDB-2P ▪入力インピーダンス:140kΩ(アンバランス) ▪出力インピーダンス:400Ω(アンバランス) ▪重量:0.4kg ●MDB-1A ▪入力インピーダンス:330kΩ(アンバランス) ▪出力インピーダンス:150Ω(バランス) ▪電源:48Vファンタム電源 ▪重量:0.4kg ●MDB-USB ▪入力インピーダンス:330kΩ(バランス) ▪出力インピーダンス:600Ω(バランス)(XLR)、150Ω(バランス)(ステレオ・ミニ) ▪電源:USBバス・パワー ▪サンプリング・レート:24ビット/96kHz ▪重量:0.5kg ●共通項目 ▪外形寸法:86(W)×38(H)×147(D)mm