「JBL PROFESSIONAL Eon One Pro」製品レビュー:約6時間駆動できるバッテリーを搭載したポータブルPAシステム

JBL PROFESSIONALEon One Pro
JBL PROFESSIONALのポータブルPAシステム、Eon Oneにモバイル・バッテリーを追加し、より軽量&コンパクトになったEon One Proが新登場した。テストを通して、その性能を確認していこう。

バッテリー駆動とBluetooth接続で
ケーブル不要のシステムを構築可能

Eon One Proは、高域用スピーカーと連結パーツを組み合わせ、ミキサーとサブウーファーが一体となった本体に差し込んで使用するPAシステムだ。本体の背面に高域用スピーカーと連結パーツ×2本を収納できるようになっている。連結パーツの使用本数によって、高域用スピーカーの高さを3段階に調節することが可能。スタンド不要で自立できることも本機の特徴だ。

▲高域スピーカーと連結パーツは、本体背面に収納可能。トップ・パネル部分に持ち手が付いているので、可搬性も高い ▲高域スピーカーと連結パーツは、本体背面に収納可能。トップ・パネル部分に持ち手が付いているので、可搬性も高い

入力はXLR/フォーン・コンボ×4+ステレオRCAピンの計6ch。4系統あるXLR/フォーン・コンボの内、2つ(ch3/4)はHi-Z対応なのでマイクのほかにエレキギターなどを直接つなぐこともできる。また、Bluetoothオーディオ接続に対応しており、APPLE iPhoneなどをワイアレスで接続可能。ミキサー内のBluetoothボタンを押して、接続するデバイス側で本機を選択すれば簡単にペアリング設定できる。出力端子はモニター・アウト用のステレオRCAピン、スピーカー拡張用のPASS THRUアウト(XLR)を装備。スマートフォンやタブレットの充電用USB端子、トップ・カバー裏のタブレット・スタンドなど、何ともうれしい機能も備わっている。

▲リア・パネル。入力のch1〜4はXLR/フォーン・コンボ、ch5/6はステレオRCAピンとなっている。モニター・アウト用のステレオRCAピンとボリューム・ノブ、スルー・アウト(XLR)、スマートフォンやタブレットを充電できるUSB端子も装備 ▲リア・パネル。入力のch1〜4はXLR/フォーン・コンボ、ch5/6はステレオRCAピンとなっている。モニター・アウト用のステレオRCAピンとボリューム・ノブ、スルー・アウト(XLR)、スマートフォンやタブレットを充電できるUSB端子も装備

ミキサー部分は本体トップ・パネルにあり、操作時にスピーカー背面をのぞき込む必要が無いのが便利だ。ch1〜4には高域と低域を調整できる2バンドEQ、リバーブを用意。リバーブ・タイムが少し長く感じたが、不自然なかかり方にはなっていない。ch1/2にはコンデンサー・マイク/DI用に48Vファンタム電源も装備されている。

▲トップ・パネルにあるミキサー。ch1〜4には高域を調整するTREBLE、低域を調整するBASS、リバーブ量を決めるREVERB、リバーブのオン/オフ・ボタン、マイク/ライン・インの切り替えボタン、ボリューム・ノブが備わっている。右端の列ではバッテリー残量やリミッターの動作が確認できるインジケーターのほか、マスター・ボリューム、Bluetooth接続ボタン、ch1/2の48Vファンタム電源オン/オフ・ボタン、ch3/4のHi-Z切り替えボタン、ch5/6のボリューム・ノブが並ぶ ▲トップ・パネルにあるミキサー。ch1〜4には高域を調整するTREBLE、低域を調整するBASS、リバーブ量を決めるREVERB、リバーブのオン/オフ・ボタン、マイク/ライン・インの切り替えボタン、ボリューム・ノブが備わっている。右端の列ではバッテリー残量やリミッターの動作が確認できるインジケーターのほか、マスター・ボリューム、Bluetooth接続ボタン、ch1/2の48Vファンタム電源オン/オフ・ボタン、ch3/4のHi-Z切り替えボタン、ch5/6のボリューム・ノブが並ぶ

本機のポイントである内蔵バッテリーは1回のフル充電で約6時間の使用が可能であり、残量はミキサーのインジケーターでいつでも確認できる。バッテリー駆動とBluetoothを合わせれば、ケーブル不要のポータブル・システムが構築可能。見た目がスマートなので、ショップや展示会場にもってこいだ。電源の取り口に縛られず、PASS THRUアウトを使えばケーブル1本で直列に増やしていくことができるので、サテライト・スピーカーとしての用途にも向いているだろう。昔、DJプレイも行われるアパレル・ブランドのオープニング・レセプションにサブウーファーとフルレンジのシステムを持ち込んだことがあったが、設置した際の見た目の配慮に四苦八苦した。そのときにこのEon One Proがあったらと、今さらだが悔やまれる。

37.5Hzまでの低域再生能力
ベース・ミュージックもストレス無く再生

では曲をかけてみてEon One Proのサウンドを聴いていこう。まず、コンパクトな見た目とは裏腹に、そのパワフルなサウンドに圧倒された。筆者はクラブでの仕事が多く、低域にはこだわりを持っているのだが、Eon One Proは8インチ・ウーファーにもかかわらず、37.5Hzの超低域まで再生できることに驚いた。ドラムンベースやダブステップといったベース・ミュージックの低域もストレス無く再生できて、最大音圧レベルも118dB SPLと申し分ない。まさに“踊れる音”なのだ。

次にマイクをつないでテストしてみよう。高域スピーカーは2インチのコーン・ユニット×6が垂直方向にマウントされており、指向角度は水平100°×垂直50°と広め。コンサートなどで使用する大型ラインアレイ・スピーカーの技術を応用したDirectivity Control Geometryテクノロジーを採用し、高域ドライバーを適切な角度に設置することで、音を均一に遠くまで届けることを可能にしている。多くのスピーカーに搭載されているコンプレッション・ドライバーとは違うため高域の抜けが不安であったが、18.5kHzまで伸びたサウンドによってハイハットの粒感がシルキーに再現されており、非常に好印象を受けた。

Eon One Proは、ポータブルPAシステムの決定版と呼ぶにふさわしい、久しぶりに即買いだと思える製品である。高域スピーカーと連結パーツを収納した状態でわずか17kgと片手で持てる重量だが、別売りのキャリング・ケースにはキャス ターとちょっとした小物が入るポケットが付いているので、ぜひ本体と合わせて手に入れることをお勧めする。

▲Eon One Proを別売りのキャリング・ケースに収めた様子。汚れや衝撃を防ぎ、キャスターを付けることで移動も便利になっている ▲Eon One Proを別売りのキャリング・ケースに収めた様子。汚れや衝撃を防ぎ、キャスターを付けることで移動も便利になっている


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年9月号より)

JBL PROFESSIONAL
Eon One Pro
オープン・プライス(市場予想価格:169,000円前後)
▪型式:2ウェイ・パワード・フルレンジ ▪周波数特性:37.5Hz〜18.5kHz ▪指向角度:100°(水平)×50°(垂直) ▪最大音圧レベル:118dB SPL ▪パワー・アンプ出力:250W ▪入力チャンネル:6ch(モノラル4ch+ステレオ) ▪外形寸法:267(W)×2,023(H)×400(D)mm(使用時/最大)、267(W)×592(H)×400(D)mm(収納時) ▪重量:17kg