
各セクションに専用の操作子を設け
スムーズなコントロールを実現
ARQ Aero RhythmTrak AR-48(以下、AR-48)は、400種類以上のPCM波形と70種類のシンセ・オシレーターを搭載するグルーブ・マシン。本体のオーディオ・インに入力した音や外部のWAVファイルもインストゥルメントとして扱え、それらを使ってシーケンスを組むことも可能です。
AR-96と比較して最初に気付くのは、ボタンやツマミが大幅に増えて、液晶ディスプレイも2つに増加した点。AR-96は、インストゥルメントやエフェクトのパラメーターを扱うツマミが3つのみというシンプルなデザインで、ディスプレイ上のページ切り替えによってアサインする機能を変えていました。しかしAR-48では、ベース・ステーションがサウンド/シーケンス/エフェクト/録音&再生の4エリアに分かれ、それぞれに専用の操作子があるため、よりダイレクトなコントロールが可能となっています。
2つの液晶ディスプレイは、サウンドとシーケンスに関する情報を個別に表示するため、両方を同時に確認することができます。これもうれしいアップデートですね。ただしAR-96が高精細なカラー・ディスプレイだったのに対し、本機はモノクロでドットも幾分粗いものになったという点で、シェイプ・アップが図られている模様です。
シーケンサー用のステップ・キーを装備し
打ち込みのしやすさが向上
リング・コントローラーに関しては、AR-96ではトップ、サイド、ボトムの各位置に32個のパッドが付いていて、それら計96個でインストゥルメントの演奏からシーケンサーへの打ち込みまでを行う形です。しかしAR-48ではトップに16個のパッドがあるのみで、随分と簡略化されました。一方、ベース・ステーションには32個のステップ・キーがスタンバイ。シーケンサーに向けたもので、パターン・モード時は2小節分の打ち込みが、ソング・モード時はパターンの登録が行えます。こうしてシーケンサー用の機能を独立させたことで、はるかに操作性や視認性が向上。しかもリング・コントローラーのパッド1個あたりの面積が倍になったため、機動性も上がりました。
AR-96のリング・コントローラーには充電池が内蔵され、ベース・ステーションに設置している間に充電していましたが、AR-48では単三電池×2を使うか、付属のUSBカール・コードでベース・ステーションと接続することで電源供給する仕様です。またエフェクトのオン/オフ、アルペジエイター、ソロ/ミュートなどのボタンが備えられ、リアルタイム演奏に一層幅を持たせられるように。こうしたアップデートにより、最大32ステップ打ち込める仕様を維持しつつ、パフォーマンス性をより発揮できるようにしたのでしょう。またAR-96と同様に、音が鳴ったときにリング・コントローラーのLEDがどのようにアニメーション表示されるか設定できます。ライブ・ユースの際に、魅せるパフォーマンスが行えそうですね。
AR-96以上に直感的な曲作りとパフォーマンスが可能となったAR-48は、まさに“音を楽しむ”ことができるグルーブ・マシンだと感じます。


(サウンド&レコーディング・マガジン 2018年1月号より)