
ホース無しでトークボックス・エフェクト
シンセ・ボイスも可能なTalkbox Synth
Talkbox Synthはトークボックスをより使いやすくシミュレートし、機能性も高めたコンパクト・エフェクターです。往年のトークボックス・サウンドをホースを使わず簡単に鳴らすことができます。接続は至ってシンプル。エレキギターなどの楽器を本体向かって右側にあるインスト・インに入力。アウトからミキサーに接続し、次にマイクを接続します。そして、本体向かって左側にあるインスト・スルーをギター・アンプに接続すれば、エフェクト・オン時にアンプへの信号は自動的にオフになり、トークボックス・サウンドだけが出力されます。このときトークボックスの音はギター・アンプには出力されません。これは、ギター・アンプから出た音をマイクが拾ってハウリングが起こるのを防ぐためです。Styleノブに記載されたプリセット1〜4はトークボックス・サウンドになっていて、ギターを弾きながらマイクでしゃべると、言葉に合わせて入力された楽器の音色が変化します。
プリセット1は少しひずんだ往年のクラシックなトークボックス・サウンドで、プリセット2はよりクリーンでモダンなトークボックス・サウンドです。プリセット3と4は、プリセット1と2のサウンドと、インスト・インへ入力した音をミックスして出力するようになっています。プリセット5〜8では内蔵された4種類のシンセ・サウンドを元にインスト・インに入力した楽器がシンセのピッチ・ガイドとして機能し、ボコーダーのようにも使えます。
Talkbox Synthはエフェクト・オフ時にもマイク入力した音声をブラッシュ・アップしてくれる機能が満載。Toneスイッチを押すとアダプティブ・トーン機能がオンになり、マイク入力した音声がより鮮明に聴こえます。また、マイク入力された音声を一番近い音階に自動的に合わせてくれるピッチ補正機能も搭載し、中央のCorrectionノブでその感度を調整できます。その隣のReverbノブでは、3種類のリバーブの切り替えと量を設定します。
この製品をテストしているときに、ちょうどあるイベントのライブSEを制作していたので早速実戦投入してみました。トークボックス・サウンドやロボット・ボイスはとても印象的で、よいアクセントになりました。また、シンセなどをインスト・インに入力して演奏すると、ボコーダーとはひと味違ったサウンドになりお勧めです。いろいろ実験してみると面白いでしょう。
声に厚みを加えるCritical Mass
スタジオ・クオリティのリバーブも内蔵
Critical Massはボーカル用ピッチ・シフターで、スタジオ・クオリティのリバーブ・エフェクトも収めた製品です。入出力はマイクとアウトだけですので、マイクとミキサーの間に本機を接続するだけ! こちらもTalkbox Synth同様に、アダプティブ・トーン機能をオン/オフするToneスイッチとリバーブ量を調節するReverbノブを搭載しています。リバーブはよくあるおまけ的なものではなく、リッチで奥行きのあるサウンドです。
Styleノブには、メロディに厚みを加えるMELODIC(プリセット1〜4)と、かけ声に迫力を出すGANG(プリセット5〜8)の2種類があります。それぞれにユニゾン、オクターブ上+オクターブ下、オクターブ上、オクターブ下のハーモニーが搭載され、原音とハーモニーのミックス・バランスは中央のMixノブで調整が可能です。
実際に音色を確かめてみると、プリセット1のUnisonはプリディレイを少し長めにしたリバーブのよう。エフェクトをいくつも組み合わせて音色を作っているようで、一人で歌ってもまるで複数人で歌っているような効果が得られました。ボーカルの声に厚みを足したいときはもちろん、コーラス・パートに使えば曲の盛り上がり感が確実に出せると思います!
近年ライブ・ハウスでは、このようなボーカル用エフェクターを持参してパフォーマンスしている人が増えているように思います。弾き語りやバンドでも、本製品をうまく楽曲に取り入れて使用すれば、ほかのアーティストとはひと味もふた味も違った楽曲やライブ・パフォーマンスができることでしょう!
撮影:川村容一
(サウンド&レコーディング・マガジン 2017年9月号より)