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「PRESONUS FaderPort 8」製品レビュー:多くの機能に素早くアクセスできるDAWコントロール・サーフェス

PRESONUSFaderPort 8
DAWのみでのミキシングやアレンジ作業が当たり前になった現在でも、ボーカルの音量の細かいオートメーションを書くときや、複数トラックのバランスを取る際はフィジカル・コントローラーがあると非常に便利です。1フェーダー仕様のFaderPort(以下FP)はそんなニーズにマッチして小規模プロジェクト・スタジオの定番になり、発売から10年近くたった今でも現役で活用されているのを目にします。今回はそんな定番フィジコンの待望の8フェーダー・モデル、FaderPort 8(以下FP8)をチェックしてみたいと思います。

8系統のフェーダーと57個のボタン
ミキサーライクなレイアウトのパネル

FP8の大きさはコンピューターのキーボードとディスプレイの間に収まりが良さそうなLPレコード・サイズ。パネル上面がつや消しのアルミで、高級感がありますね。パネルを見てみると初代FPと同等のタッチ・センシティブ・モーター・フェーダーが8本あるのに目がいきます。見慣れたトランスポート系やミュート、ソロといったミキサーライクなボタンのレイアウトによって、説明書無しでも基本的な操作が簡単に行えるでしょう。ボタンはトランスポート系以外に57個あり、さまざまな機能を操作可能。チャンネル・ストリップにはフェーダーやミュート、ソロ、チャンネルを選択するためのSelectボタン、その上にはパラメーターの情報などを映し出す小さなLCDがあり、パンは左上のエンコーダー(もしくは右に並ぶフェーダー・ボタンのパンを押してフェーダー)で操作できます。フェーダーは適度なトルクがあるALPS製でコントロールも快適です。パネル右下部分に再生、録音などのトランスポート・コントロールがあり、その上にはさまざまな活用方法があるセッション・ナビゲーター、オートメーション系の操作を切り替えるオートメーション・コントロールなど、普段の作業に必要なセクションが並んでいます。

Studio Oneはネイティブ・モードで対応
そのほか多くのDAWでも使用可能

まずはネイティブ・モードで対応する同社のDAW、Studio One 3でチェックしていきたいと思います。ドライバーのインストールは不要で、Studio One 3の外部デバイス設定でFP8を選べば使用可能です。ネイティブ・モードで動く特徴的な機能としては、Control Linkというものがあります。この機能では、8本のフェーダーとSelectボタン、Userボタン、F1〜F8までのファンクション・ボタンにプラグインのパラメーターやショートカットを割り当てられるのです(画面①)。これによってワークフローの短縮が期待できますね。複数のパラメーターのオートメーションを一気に記録できるので、例えば音色の変化を確認しながらシンセのカットオフ・フリケンシーや内蔵エフェクトなどを感覚的にFP8で操作して、レコーディングできるでしょう。

▲画面① アサインしたいプラグインのパラメーターをクリックし、プラグイン画面(下部)左側にある手の形のアイコンをControl Link画面(上部)のアサインしたいフェーダーなどへドラッグ&ドロップすれば、FaderPort 8で操作可能になる ▲画面① アサインしたいプラグインのパラメーターをクリックし、プラグイン画面(下部)左側にある手の形のアイコンをControl Link画面(上部)のアサインしたいフェーダーなどへドラッグ&ドロップすれば、FaderPort 8で操作可能になる

FP8はStudio One 3だけではなく主要DAWにも対応しています。今回は筆者のMac環境にあるAVID Pro ToolsやAPPLE Logic、ABLETON Live、STEINBERG Cubaseでそれぞれチェックしました。設定は簡単で、左2つのSelectボタンを押しながらFP8の電源を入れ、LCDに表示される、使用するDAWに合ったプロトコル(HUIかMCU)をSelectボタンで選択し、“EXIT”と表示されたLCD下のSelectボタンを押します。それからDAW側の設定で外部デバイスに本機を選択するだけで、すぐに作業ができました。操作は若干違いますが、Studio One 3のときと同じくFP8のフェーダーやボタンで多くの機能をコントロールでき、プラグインのパラメーターの調整も可能です。

さて、万能に使えるフィジコンという印象のFP8ですが、少し操作の手順に慣れる必要があると感じました。プラグイン・パラメーターのアサインやそのモードに入るときに独自の手順があるためです。しかし、決して複雑ではないので、一度使い方を覚えるとFP8無しの作業はできなくなるでしょう。個人的にはFPをマスター・アウト専用にして、FP8との併用もありではないかと思いました。

▲FaderPort 8のリア・パネル。左から電源ボタン、電源端子、ハンズ・フリーでパンチ・イン/アウトができるフット・スイッチ用端子、USB端子が並んでいる ▲FaderPort 8のリア・パネル。左から電源ボタン、電源端子、ハンズ・フリーでパンチ・イン/アウトができるフット・スイッチ用端子、USB端子が並んでいる

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サウンド&レコーディング・マガジン 2017年6月号より)

PRESONUS
FaderPort 8
オープン・プライス(市場予想価格:60,000円前後)
▪接続:USB2.0 ▪フェーダー:モーター・フェーダー8系統(100 mmロング・スロー、タッチ・センシティブ) ▪対応DAW:PRESONUS Studio One 3、A VID Pro Tools、APPLE Logic、STEINBER G Cubase、ABLETON Liveなど ▪外形寸法:334(W)×57.2(H)×301(D)mm ▪重量:約2.3kg REQUIREMENTS ▪Mac:OS X 10.8.5以降、INTEL Core 2 D uo以上のプロセッサー(Core I3以上推奨) ▪Windows:Windows 7以降、INTEL Core 2 DuoまたはAMD Athlon X2プロセッサー以上(Core I3以上推奨) ▪共通項目:USB2.0端子、インターネット接続環境が必要(ファームウェアおよびStudio On e Artistのインストール時)