
8系統のフェーダーと57個のボタン
ミキサーライクなレイアウトのパネル
FP8の大きさはコンピューターのキーボードとディスプレイの間に収まりが良さそうなLPレコード・サイズ。パネル上面がつや消しのアルミで、高級感がありますね。パネルを見てみると初代FPと同等のタッチ・センシティブ・モーター・フェーダーが8本あるのに目がいきます。見慣れたトランスポート系やミュート、ソロといったミキサーライクなボタンのレイアウトによって、説明書無しでも基本的な操作が簡単に行えるでしょう。ボタンはトランスポート系以外に57個あり、さまざまな機能を操作可能。チャンネル・ストリップにはフェーダーやミュート、ソロ、チャンネルを選択するためのSelectボタン、その上にはパラメーターの情報などを映し出す小さなLCDがあり、パンは左上のエンコーダー(もしくは右に並ぶフェーダー・ボタンのパンを押してフェーダー)で操作できます。フェーダーは適度なトルクがあるALPS製でコントロールも快適です。パネル右下部分に再生、録音などのトランスポート・コントロールがあり、その上にはさまざまな活用方法があるセッション・ナビゲーター、オートメーション系の操作を切り替えるオートメーション・コントロールなど、普段の作業に必要なセクションが並んでいます。
Studio Oneはネイティブ・モードで対応
そのほか多くのDAWでも使用可能
まずはネイティブ・モードで対応する同社のDAW、Studio One 3でチェックしていきたいと思います。ドライバーのインストールは不要で、Studio One 3の外部デバイス設定でFP8を選べば使用可能です。ネイティブ・モードで動く特徴的な機能としては、Control Linkというものがあります。この機能では、8本のフェーダーとSelectボタン、Userボタン、F1〜F8までのファンクション・ボタンにプラグインのパラメーターやショートカットを割り当てられるのです(画面①)。これによってワークフローの短縮が期待できますね。複数のパラメーターのオートメーションを一気に記録できるので、例えば音色の変化を確認しながらシンセのカットオフ・フリケンシーや内蔵エフェクトなどを感覚的にFP8で操作して、レコーディングできるでしょう。

FP8はStudio One 3だけではなく主要DAWにも対応しています。今回は筆者のMac環境にあるAVID Pro ToolsやAPPLE Logic、ABLETON Live、STEINBERG Cubaseでそれぞれチェックしました。設定は簡単で、左2つのSelectボタンを押しながらFP8の電源を入れ、LCDに表示される、使用するDAWに合ったプロトコル(HUIかMCU)をSelectボタンで選択し、“EXIT”と表示されたLCD下のSelectボタンを押します。それからDAW側の設定で外部デバイスに本機を選択するだけで、すぐに作業ができました。操作は若干違いますが、Studio One 3のときと同じくFP8のフェーダーやボタンで多くの機能をコントロールでき、プラグインのパラメーターの調整も可能です。
さて、万能に使えるフィジコンという印象のFP8ですが、少し操作の手順に慣れる必要があると感じました。プラグイン・パラメーターのアサインやそのモードに入るときに独自の手順があるためです。しかし、決して複雑ではないので、一度使い方を覚えるとFP8無しの作業はできなくなるでしょう。個人的にはFPをマスター・アウト専用にして、FP8との併用もありではないかと思いました。

(サウンド&レコーディング・マガジン 2017年6月号より)