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「ELEKTRON Analog Heat」製品レビュー:8種類のキャラクターを持ったステレオ・アナログ・ディストーション

ELEKTRONAnalog Heat
2016年11月に発売されて以降、僕の周りでもうわさになっているELEKTRONのAnalog Heatは個人的にもかなり気になっていました。早速いじり倒してみたところ、僕もかなりヒートしてしまい、どうやら暖房要らずの冬を過ごせそうです。それでは本機の性能をチェックしていきましょう。

ミキサーのオーバー・ゲイン・サウンドや
アシッド・ベースに最適なひずみも得られる

Analog Heatは、SidstationやMachinedrumなど、超個性的な製品を数多く生み出しているELEKTRONがリリースしたアナログ・サウンド・プロセッサーです。その名の通りアナログ回路を搭載しており、8種類のキャラクターを選べるステレオ・アナログ・ディストーションに加え、アナログ・マルチモード・フィルターと2バンドEQを備え、さらには各所にアサイン可能なエンベロープとLFOを搭載しているという、公式サイトにも書いてある通り、まさにオーディオ・デストロイヤー! もうこれを聞いただけで血が騒ぎます。

ではその熱い中身を詳しく見ていきましょう。まずは一番目に付く大きなダイアル・ノブ。ここで選択可能なひずみのキャラクターは、先述の通り8種類あります。その中から僕が気になった幾つかを試してみました。“Clean Boost”はクリーンな回路のようで、大まかに言うとミキサーのゲインに近いもの。最大値までブーストするとアナログ・ミキサーのオーバー・ゲインのような効果が得られました。音のイメージはできるだけそのままに、でもほんの少しだけ味付けしたい、というときにはこれを選択ですね。次のキャラクターは“Classic Dist”。マニュアルに“アシッド・ベース・ラインに最適”と書いてあるので、ROLAND TB-303の音を早速インプットしてみましたが、これはもうそのために作られたとしか言いようが無い、あのTB-303改造版の“Devil Fish”のようなビヨビヨ音を完全に再現してくれます。後述するレゾナンス・フィルターと組み合わせれば、さらに破壊力増し増しモンスターになりますよ。

ステレオならではのフィルター効果
ENV/LFOで複雑な音作りも可能

入力信号は次にフィルター・セクションとEQに向かいます。このフィルター部がまたうれしいことに、“HIGH PASS”“LOW PASS”など7種のタイプから選択可能。その中でも特に気に入ったのが“PEAK”です。試しにスマホのアプリからお世辞にも迫力があるとは言えないギターやドラム音源を突っ込み、ドライブのキャラクターを“Saturation”にします。Analog Heatはドライブ量とDry/Wetの割合をコントロールできるので、ドライブ量をお好み、Dry/Wetはドライ寄りで調節し、“PEAK”でフィルタリングしてみたところ、とてもパワフルでつやのある音に様変わりしました! 高域に倍音を追加したければ“HIGH PASS”フィルターを使うも良し、ドライブを“Enhancement“にして“LOW PASS”フィルターとレゾナンスを組み合わせ、超ドンシャリ極太ビートをとどろかす、なんていうことも可能です。

また、“FRQPAN”というパラメーターも用意されており、カットオフ周波数によってパンニングするこの機能は、ステレオ・フィルターならではの面白いものだと思いました。さらにはエンベロープ・ジェネレーターとLFOを、フィルターやドライブ量などさまざまなパラメーターにアサインすることにより、かなり複雑な音作りが可能になります。各設定は“ENV”“LFO”ボタンを押すことによりディスプレイにパラメーターが表示され、その下のノブで数値やモードを切り替えることができます。マニュアルによると、設定によってはコンプやフェイザーのような効果も得られるとのことです。しっかり自己発振をする凶暴さとアナログならではの滑らかなカットオフの美しさ、そしてエンベロープやLFOに呼応して乱れまくる変態さは、あのアナログ・フィルター/ディストーション・ユニット、SHERMAN Filterbankに勝るとも劣らずと言えるでしょう。

本機はパソコンとUSB接続することでオーディオI/Oとしても機能し、さらにOverbridgeというソフトウェアを使うことで、Analog HeatをVST/AUプラグインとしてDAW上でも使用できます。ほかにも、MIDI IN/OUT/THRUを備えており、コントロール入力がCVにも対応していたりと、昨今ブームのアナログ・シンセやガジェット系機材と接続してライブを披露、みたいな機会にも持ってこいですね。各ボタンやノブ、ディスプレイのレイアウトや触り心地も秀逸で、本体の1.5kgという程良い安定感もあり、操作していてとても気持ち良く……いや、ヒートしてしまいました! 何やらとんでもない暴れん坊のように受け取られてしまうかもしれませんが、フル・アナログならではの音の美麗さをしっかり兼ね備えた本機は、ELEKTRONが生んだ新たな傑作だと思います。

▲リア・パネル。コンピューター接続用USB端子はほかのハードウェアと連携させたり、24ビット/48kHz対応のオーディオI/Oとしても使用可能。MIDI THRU/OUT/IN、コントロール入力×2、インプットL/R、アウトプットL/R(以上フォーン)、ヘッドフォン端子(ステレオ・フォーン)が並ぶ ▲リア・パネル。コンピューター接続用USB端子はほかのハードウェアと連携させたり、24ビット/48kHz対応のオーディオI/Oとしても使用可能。MIDI THRU/OUT/IN、コントロール入力×2、インプットL/R、アウトプットL/R(以上フォーン)、ヘッドフォン端子(ステレオ・フォーン)が並ぶ

サウンド&レコーディング・マガジン 2017年2月号より)

ELEKTRON
Analog Heat
73,982円
▪エフェクト・タイプ:8種類(Clean Boost、Saturation、Enhancement、Mid Drive、Rough Crunch、Classic Dist、Round Fuzz、High Gain) ▪フィルター・タイプ:7種類(LOW PASS 1、LOW PASS 2、BAND PASS、HIGH PASS 1、HIGH PASS 2、BAND STOP、PEAK) ▪AD/DA:24ビット/48kHz ▪外形寸法:215(W)×63(H)×184(D)mm ▪重量:約1.5kg