
YAMAHAのデジタル・ミキシング・コンソール“PMシリーズ”の最新版RIVAGE PM10。ここでは、サウンドクオリティ、操作性、機能、信頼性、拡張性など、世界が認める本機の導入事例を紹介していく。
先月から続いての第三弾は、さだまさしのコンサート。創業50周年を迎えたエス・シー・アライアンスがツアーのオペレートを務めており、所属するエンジニア、片桐健順氏に話を聞いた。
音の分解能がすごく良くて96kHz 環境の音は素晴らしいです

今年5月のツアーより導入されたというRIVAGE PM10。 まずは、その経緯と使用感について片桐氏が語ってくれた。
「弊社としては、RIVAGE PM10の発売が決まった時点ですぐに予約をして購入しました。やはりPM1Dの後継機ということで期待値も高かったですからね。実際に使用してみたと ころ、音の分解能がすごく良くて、初めてサウンド・チェックし たときに、バランスが取れていない状態でも、バンドの音がすべて聴こえたのは驚異的でした。質の良いレコーディング卓のようなイメージも持ちましたね。また96kHz環境の音は、今までのデジタル卓のイメージを変えるほど素晴らしかったです。あと、サーフェスの部分で、フェーダーが12ch単位になったのは、操作しやすいですし、ユーザー・ディファインドのバンクも増えたので、オペレーション上、非常に助かっています。これまで、月に6〜7本の現場で使用していますが、満足のいくパフォーマンスを見せてくれていますよ」
実際のライブでのオペレートについて片桐氏がこう続ける。
「TC ELECTRONICのリバーブを重宝していて、かなり多用しています。YAMAHAのSPXリバーブも、96kHzになっ て素直ですごく良い音です。またRUPERT NEVE DESIGNSのSILKは、楽器ごとに使い分けていて、特に弦楽器にはBLUEを使うことで柔らかい音になりました」
最後に片桐氏は「新しい時代の卓がついに登場したと思い ます。今後は弊社の主力の卓として、いろいろな現場で活躍していくでしょう」と締めくくってくれた。」


音に存在感があるのでミックスがすごくやりやすいコンソールです
2014年にデビューした6人組のLittle Glee Monsterは、CDリリースと数々のイベント、ライブ活動を通して多くのファンを獲得してきた。そのライブを支えてきたエンジニア奥村氏は、9月より開催された“リトグリライブツアー2016~Little Colorful Monster~”からRIVAGE PM10を導入したという。その経緯を尋ねてみた。
「サンフォニックスとしては、これまでもYAMAHA CLシリーズなどを使ってきましたが、最新機種としてRIVAGE PM10が発表されると、“これは絶対良い卓だろう”ということで導入したんです」
取材時は、奥村氏がRIVAGE PM10を導入後、数本目の公演だったが、「リハーサルの段階から音に存在感があって、ミックスがすごくやりやすい。音の個性がちゃんと出ている印象ですね。エフェクトも豊富に内蔵しているので、今はこれ1台で完結させています。だから搬入出もすごく楽です」
6人の声がキモとなるLittle Glee Monsterのライブにおいては、どのようにオペレートしているのだろう?
「元気いっぱいな声なので、ときどき痛い音域が目立ってしまうことがあります。それを内蔵のDynamic EQなどを使って1人1人の個性に合わせて調整しているんです。RUPERTNEVE DESIGNSのSILKプロセッシングによる音作りも面白くて、サウンドにロー感が欲しいときにはBLUE、存在感を出したいときはREDと、ほぼ全チャンネルに使っています」
今後もLittle Glee Monsterのライブでは、RIVAGE PM10と奥村氏がしっかりサポートしていくに違いない。
