
10種類のシーン・セレクトを用意
24ビット/96kHzの音声収録に対応
基本性能として、動画解像度は2.3Kに相当する最高3M HD(2,304×1,296ピクセル)/30fps時に対応し、レンズはF2.0/広角160°の画角を持っており、前機種のQ4を上回っています。映像機能として10種類のシーン ・セレクトを用意しており、その収録シーンのほとんどが音楽関係のシチュエーション。音にはこだわりたいけど、映像はある程度ちゃんとしていればいい、なんていう音メインのユーザーにとってはとてもありがたいですね。ステレオ・マイクは本体背面にあるスライダーで持ち上げて、AB/XY方式の切り替えを手動で簡単に行えます。また、音声収録は最高24ビット/96kHzに対応! 映像レコーダーでこの解像度はすごいですね。単純に音録りだけのレコーダーとしても使えます。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードを採用し、動画フォーマットはMOV(MPEG-4 AVC/H.264)です。さらに、コンピューターとUSBケーブルで接続して、本機をWebカメラとして使用したり、APPLE iPadのUSBマイクとしても活用できます(別途カメラ・コネクション・キットが必要)。
暗い室内でも明るく撮れる広角レンズ
大音量での収録を可能にする録音レベル
さて、今回はホーン・セクションが5人に、リズム・セクションなども入った大所帯ファンク・バンドのリハ録に本機を試してみました。全体の音量はハード・ロック・バンドよりは小さいですが、ダイナミクスがかなりあり、チェックには最適かと思われます。
映像機能に関しては、5段階のデジタル・ズームの中の一番引いた状態でも、絵の隅のゆがみがそれほど無く、かなり自然でした。今回はシーン・セレクトをAutoにして試したのですが、映像の明るさは普通のリハスタの室内ということを考えると、かなり明るく感じます。
録音レベルは、Auto GainがConcert/Solo/Meetingの3種類で用意されていますが、今回はマニュアルに設定。そして、バンド・メンバーが音を出している間に録音レベルを設定。本体上面の1〜10まで設定できる録音レベル・ツマミを真ん中の5くらいにしてちょうど良いくらいでした。それほど大音量を出すバンドではないですが、この録音レベルで大丈夫ということは、相当な大音量を出すバンドにも対応できるなと思いました。また、液晶モニターを自分の方向に向けられるので、演奏をしながらピーク・インジケーターで録音レベルを確認できるのはうれしかったです。
マイクのAB/XY方式による各セッティングでの音の違いは、今回のバンド演奏の現場ではあまり大きな差を感じませんでした。しかし、その後ドラムだけを狙ったレコーディングを各方式で行ってみたところ、広がりや立体感で違いが出ました。これはどちらが良いかというよりも、欲しい音像によって方式を切り替えるのが良いのでは?という印象です。
音声収録はAAC(192kbps)とWAV(24ビット/48kHz、24ビット/96kHz)などで試してみました。驚いたのは、AACでもかなり音が良い!ということ。用途にもよりますが、リハ録音などではこれくらいでも十分過ぎるほどです。WAVの方はさらに密度が上がっている印象で、特にバラードだとその差がよく分かり、トランペットの響きなどは96kHzだと美しく感じます。
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特筆すべきは操作のしやすさで、ほとんどの設定をマニュアルを見ずに行えました。収録時に設定にもたついていると録画チャンスを逃してしまうので、これは素晴らしいことだと感じます。また、本機をAPPLE iMacとUS
Bケーブルで接続し、録画したものをAPPLE iMovieで編集する過程において、SDカードを本機から出し入れせずにカード・リーダーとしても使用でき、作業はとても楽でした。音収録での使用がメインで、かつ映像も撮りたいというユーザーにとっては超お薦めの製品だと思います。

製品サイト:https://www.zoom.co.jp/ja/products/field-video-recording/video-recording/q4n-handy-video-recorder
(サウンド&レコーディング・マガジン 2016年3月号より)