歴代のレゲエ・ダブマスターのサウンドは一聴してしてその人それと分かる個性的なものですが、その手法は謎が多く再現は非常に困難です。そんなダブマスターの一人、MAD PROFESSORのAriwa Soundsの魅力を満載した素材集の第二弾が登場。フォーマットはWAVファイルのほかREX2、EXS24、STEINBERG Halion、などに対応しており、容量は約1.52GB。ファイル・ネームにはBPMと素材のキーが記述されているので制作時に重宝します。Bass、Drum、Guitar、Horn & Fluteなどのループ素材に加え、各種ワンショットも収録しているためキットを組むことも可能ですが、お勧めしたいのは長尺のワンショットとループです。いわゆる“かけ録り”素材で“これって、あの曲のアレ？”なドラム・フィル、ホーン・フレーズ、オルガン、ベース・ラインなど、実際の楽曲に使用されたと思われる演奏素材に、一聴してそれと分かるMAD教授印のディレイ、フェイザー、リバーブなどがガッチリかけられています。エフェクトを含むミックスの空気感ごと収録された素材はネタ集といった趣が強いので、全く世界観の異なるトラックにエフェクトごとネタとしてハメ込んでいくのが効果的な使い方ではないでしょうか。またレゲエの生ドラムのチューニングはとても特徴的で、打ち込みでも生演奏でも再現が難しいので、フィルの素材だけでも使う価値があるでしょう。最後に、ものによってはエフェクトを外したバリエーションもあるので、上質なレゲエ演奏の素材としても使えます。丸く太いシンセ・ベースや、YAMAHA DX100のピアノがAriwa Sounds StudioでEQ加工された状態で収録されているのもうれしいかぎりです。ジャマイカものに比べるとクールなMAD教授のUK産ダブ・サウンドは主張しつつもトラックとの親和性も高いと思います。
