ROLANDFA-06
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220908/20220908154638.jpg)
ROLANDから制作/ライブの両方に向けたワークステーション・シンセ、FAシリーズがリリースされました。同社音源モジュールのフラッグシップ機、Integra-7直系の音源/エフェクトを備えるほか、Mac/Windowsに対応したUSBオーディオI/O機能やコントロール・マップの装備により、DAWとの高い連携性を実現。今回は、61鍵モデルのFA-06をレビューしていきます。
クリアできらびやかなピアノ音色
ドラムは生音系から電子音まで多彩
本機の鍵盤はベロシティ対応で、タッチは同社のJuno-Dなどに近い印象。速い指使いにも適した柔らかい感触で、細かいパッセージも楽に弾くことができます。グランド・ピアノに慣れた人には軽く感じられるかもしれませんが、普段シンセ鍵盤に親しんでいる人にとっては自然な重さでしょう。音源部は全16パート。楽器音色やプレイヤーの演奏ニュアンスを高度に再現する独自技術“SuperNATURAL”(以下、SN)による音色をはじめ、同社音源モジュールXV-5080に収録されたPCM音色のブラッシュアップ版を備えています。SN音色は生楽器系が中心で、PCM音色はシンセやドラムがメイン。液晶画面下のボタンでは楽器カテゴリーが選べ、それぞれにSNとPCMの両音色が一緒になって入っているので、ジョグ・ダイアルでシームレスに選択できます(写真①)。
![▲写真① 楽器カテゴリー・ボタンで目的のものを選ぶと、その中に入った音色のリストを表示することができる。SuperNATURAL音色とPCM音色が一緒になって収録されており、写真右のジョグ・ダイアルでシームレスに選択可能だ。音色名の左側にはアイコンが付いており、“SN”と冠されたものはSuperNATURAL音色、“PCM”と付いたものはPCM音色となる](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220908/20220908154643.jpg)
全68種類のマルチエフェクトや
クラブ映えしそうなトータルFXを搭載
内蔵音色を一通りチェックしたところで、それらに彩りを持たせるエフェクト類にも目を向けてみましょう。液晶にエフェクトの編集画面を呼び出すと一目りょう然なのですが、本機の内部には幾つかのエフェクト・インサート・ポイントがあります(写真②)。
![▲写真② エフェクト・エディットの画面に入ると、各エフェクトのルーティングを見ることができる。エフェクトの選択やON/OFF、コーラス/リバーブへの送り量の設定などが行えるほか、選んだエフェクトのパラメーター・エディット画面に飛ぶことも可能だ](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220908/20220908154646.jpg)
内蔵シーケンサーで打ち込んだ内容は
オーディオにパラで書き出し可能
パネル右側に目を向けてみると、16trの内蔵シーケンサー・セクションが配置されています。液晶にピアノロール画面を表示し視覚的に扱えるよう設計されており、リアルタイム/ステップの両方式で打ち込みが行えます。作成した最大16tr分のMIDIトラックは、“マルチトラック・エクスポート機能”により一度の操作でWAVのオーディオ・ファイルにパラで書き出すことが可能。もちろんスタンダードMIDIファイルとしてもエクスポートでき、書き出したものはSDカードに保存可能なため、DAWへの取り込みも簡単です。シーケンサーの右隣にはサンプラー・セクションが用意されており、SP-404SXに通じる弾力のある16個のパッドが目を引きます。赤く自照するのもSPシリーズ直系で良いですね。サンプルは鍵盤の演奏/オーディオ・イン/背面のUSB端子から取ることができ、そのうちどこからサンプリングするかを設定したら、後は割り当てたいパッドを押して録音を開始するだけです。筆者のようにライブ活動するキーボーディストにとっては、パネル右側にパッドが配置されているのはありがたいですね。左手で鍵盤を弾きながら右手でパッドをたたくことができるので、ステージでの演奏がバラエティ豊かになります。さて冒頭で述べた通り、本機にはUSBオーディオI/O機能が搭載されていますので、ケーブル1本でコンピューターと接続すれば、鍵盤やサンプラーでの演奏やシーケンスを直接DAWに録音することができます。また、STEINBERG CubaseやAPPLE Logic Proなど主要DAWのコントロール・マップを備えているため、DAWコントローラーとして活用することも可能です。最後になりましたが、これだけ多機能な本機、一体重量はどのくらいだと思いますか? 何と5.7kgという軽さなのです。ライブ会場など、外の現場に持ち込むのにも適していますね。ハードウェア的な部分で言うともう1つ、電源入力がカバーされており、アダプターが不意に抜けてしまったり端子が曲がるのを防止する配慮が見られます。総合的に見て、細かいところまで気配りされた実用性の高いシンセと言えるでしょう。
![▲リア・パネルには、左からコンピューターとつなぐためのUSB端子、システム・アップデート用のUSBメモリーを接続するためのUSB端子、MIDI IN/OUT、フット・ペダル・イン(CTRL1、CTRL2、HOLD)、マイク/ギター・イン用のゲイン・ツマミ、マイク/ギター・イン(フォーン)、ギター/マイク・イン切り替えスイッチ、ライン・イン(ステレオ・ミニ)、サブアウト(TRSフォーン)、メイン・アウトL/R(フォーン)、ヘッドフォン端子(フォーン)、DCイン、電源スイッチがレイアウトされている](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220908/20220908111917.jpg)
SB端子、MIDI IN/OUT、フット・ペダル・イン(CTRL1、CTRL2、HOLD)、マイク/ギター・イン用のゲイン・ツマミ、マイク/ギター・イン(フォーン)、ギター/マイク・イン切り替えスイッチ、ライン・イン(ステレオ・ミニ)、サブアウト(TRSフォーン)、メイン・アウトL/R(フォーン)、ヘッドフォン端子(フォーン)、DCイン、電源スイッチがレイアウトされている
ROLAND
FA-06
オープン・プライス (市場予想価格:110,000円前後)
▪鍵盤:61鍵(ベロシティ対応)
▪最大同時発音数:128音(音源負荷により変化)
▪パート数:16パート
▪音色:SuperNATURALアコースティック/シンセ/ドラム・キット、PCMシンセ/ドラム・キット(GM
2音色含む)
▪エフェクト:マルチエフェクト68種類×16系統、パートEQ×16系統、ドラム・パート用コンプ/EQ×6系統、コーラス3種類、リバーブ6種類、マスター・コンプ(インサート・エフェクト78種類に変更可能)、マスターEQ、トータル・エフェクト29種類、マイク・イン・リバーブ8種類
▪シーケンサー:16tr
▪サンプリング・フォーマット:16ビット/44.1kHz、PCM
▪外部メモリー:SDカード
▪外形寸法:1,008(W)×101(H)×300(D)mm
▪重量:5.7kg