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ZOOM R4 MultiTrak レビュー:4つのオーディオトラックに加えバウンス機能も備わったポータブルMTR

ZOOM R4 MultiTrak レビュー:4つのオーディオトラックに加えバウンス機能も備わったポータブルMTR

 ハンディレコーダーといえば真っ先に思い浮かべるメーカーのZOOMが、2023年秋にリリースしたポータブルマルチトラック・レコーダー、R4 MultiTrakを紹介します。クリエイティブな発想をいつでもどこでも広げることができる魅力的なアイテムです。

32ビットフロート/48kHzの録音に対応 用途に合わせた2種類のバウンス方法

 本体の外形寸法は74(W)×36(H)×138(D)mmで、重量は287gと持ち運びに大変便利なサイズです。入力はXLR/フォーンのコンボ端子が2つ備わっており、最大2トラック同時に録音できます。

底面にはINPUT A/BのXLR/フォーンコンボ入力を装備

底面にはINPUT A/BのXLR/フォーンコンボ入力を装備

 48Vファンタム電源は、各入力で個別にオン/オフ可能。また、ゲイン調整なしで録音できるデュアルAD回路を搭載し、32ビットフロート/48kHzの録音に対応します。

 マルチトラックレコーダーとしては、4つのオーディオトラックを備え、トラックごとにミックスバランスを調整できます。そして、ボタン一つで新たなトラックにまとめてバウンスを作成可能。バウンスには、短時間で1〜4トラックをまとめることができる“Quick Bounce”、バウンス中にモニタリングしながらフェーダーで音量を調整できる“Real Time Bounce”の2種類があります。プレイバックもボタン一つで簡単です。バウンスしてからさらに重ねてレコーディングをすることも可能なので、ほかのミュージシャンとのセッションや曲作りの際にも活用できます。

 そのほか、パソコンやスマートフォン、タブレットと接続すれば、2イン/2アウトのUSBオーディオインターフェースとしても扱えます。ここまで聞いただけでも並大抵のハンディレコーダーじゃないことは伝わるはずです。

 電源は、単3電池4本(最大約7時間駆動)または別売りのACアダプター(ZOOM AD-17)で駆動できます。USBモバイルバッテリーをつないで動作させることも可能です。

 本体には無指向性のマイクも搭載されていて、屋外で弾き語りをすれば気持ちの良い音を録れそうです。本体裏側には1/4インチのネジ穴を装備しており、スタジオでリハーサルを行う際、メンバーの真ん中でスタンドに立ててセッティングして録音するような活用法が考えられます。屋外で弾き語りをする際、フィールドレコーディング的に環境音も取り込みながらレコーディングしてみるのもよさそうです。

本体左の側面には、ヘッドホン出力(ステレオミニ)とボリューム調節スイッチを備える

本体左の側面には、ヘッドホン出力(ステレオミニ)とボリューム調節スイッチを備える

右の側面には、パソコンやスマートフォン/タブレットとの連携のほかACアダプターなどを接続するためのUSB-C端子、microSDカードスロット、電源ボタンを装備

右の側面には、パソコンやスマートフォン/タブレットとの連携のほかACアダプターなどを接続するためのUSB-C端子、microSDカードスロット、電源ボタンを装備

豊富なエフェクトを収録 ガイドだけでなくさまざまなリズムパターンも搭載

 短期間では使いこなしきれないほど機能が満載ですが、操作性はシンプルです。まずはmicroSDHCカード(4〜32GB)またはmicroSDXCカード(64GB〜1TB)を用意して、本体にセットします。先述の通り、基本的に機能それぞれを“ボタン一つ”で操作できるデザインとなっています。

 それでは早速レコーディングしてみましょう。INPUT Aにコンデンサーマイクを、INPUT Bにアコースティックギターを接続。パネルの右にあるINPUTボタンで録音するトラックを選択し、フェーダーでボリュームをコントロールします。その中で私が感動したポイントは、フェーダーの上にあるTRACKボタンを選択した際に表示される画面です。

Track画面では、High /Middle/Lowの3バンドEQ、Panのほか、センドエフェクトとして備わっているエコーとリバーブも調整可能

Track画面では、High /Middle/Lowの3バンドEQ、Panのほか、センドエフェクトとして備わっているエコーとリバーブも調整可能

 3バンドEQやパンの調整のほか、エコーやリバーブをかけながら、そしてそれをリアルタイムでモニタリングしながらボーカルを録音することができました。しかも、その操作もとても分かりやすいです。

 EFFECTボタンを押すとプリアンプやコンプを選択でき、それらもリアルタイムのモニタリングに対応しています。

EFFECTボタンを押すとインサートエフェクトを使用可能。黄色がアンプなど25種類、水色がコンプ、オーバードライブ、ディレイなど25種類、合計50種類のエフェクトを備える

EFFECTボタンを押すとインサートエフェクトを使用可能。黄色がアンプなど25種類、水色がコンプ、オーバードライブ、ディレイなど25種類、合計50種類のエフェクトを備える

 エフェクターのアイコンがレトロで可愛く、選んでいるといつまでも夢中になってしまう……。内蔵エフェクトは、なんと全50種類(!)。今回のチェックではすべてを試すのは諦めましたが、しばらく時を忘れて楽しめると思います。

 また、面白かったのがRHYTHMボタン。シンプルなクリックはもちろん、シャッフルやブルース、ポップスやヒップホップなどなど、さまざまなジャンルのリズムパターンを選択できます。こちらはなんと80種類以上! 5拍子のクリックやカホンの音色もあります。私自身、曲を書く際にはリズムから始めたいときもあります。思いもよらないアイディアが浮かぶのは自分にとって新しいリズムパターンの上で作ったときだったりします。本機からヒントを得て作曲していくのも楽しそうです。

 ハンディレコーダーでありながら曲のアイディアのスケッチにとどまらず、本格的なSNSコンテンツ制作や楽曲制作のアイディアの手助けまでしてくれるR4 MultiTrak。ハンディレコーダーとしてありそうでなかった機能が満載で、ミュージシャンの遊び心をかき立てます。クリエイターの自由な発想をさらに広げてくれる画期的なアイテムです。

 

ナミヒラアユコ
【Profile】神奈川県座間市出身のシンガーソングライター。2023年の夏に、ニューアルバム『DAYS』をリリース。現在は音楽だけでなく、絵やアニメーションにも手法を広げている。

 

 

 

ZOOM R4 MultiTrak

オープン・プライス

(市場予想価格:19,900円前後)

ZOOM R4 MultiTrak

SPECIFICATIONS
▪入力:内蔵マイク(無指向性)×1、XLR/フォーン・コンボ×2 ▪出力:ヘッドホン(ステレオミニ)×1 ▪入力インピーダンス:XLR/2.3kΩ、フォーン/1MΩ ▪最大入力レベル:XLR/+4dBu、フォーン/+10dBu ▪内蔵マイクの最大入力音圧:115dB SPL ▪同時録音トラック数:最大2トラック ▪録音フォーマット:WAV(48kHz)、32ビットフロート、モノラル ▪記録メディア:microSDHCカード/4~32 GB、microSDXCカード/64GB~1TB ▪オーディオインターフェース:2イン/2アウト、ビット/サンプリングレートは24ビット/32ビットフロート/48kHzに対応 ▪電源:単3電池×4、またはACアダプター ▪外形寸法:74(W)×36(H)×138(D)mm ▪重量:287g(電池含む)

製品情報

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