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ZOOM M2 MicTrak レビュー:32ビット・フロート録音に対応するハンドヘルド・マイク型2trレコーダー

ZOOM M2 MicTrak レビュー:32ビット・フロート録音に対応するハンドヘルド・マイク型2trレコーダー

 ZOOMが、32ビット・フロート録音対応のハンドヘルド・マイク型2trレコーダー、M2 MicTrak(以下、M2)を発売しました。早速レビューしていきましょう。

指向角90°のX/Yステレオ・マイクを搭載 ハンドリング・ノイズを低減する強化コーティング塗装

 M2は最大入力音圧135dB SPL、指向角90°のX/Yステレオ・マイクを搭載するハンドヘルド・マイク型レコーダー。録音時のビット/サンプリング・レートは32ビット・フロート/96kHzで、最大1TBのmicroSD/microSDXCカードにモノラルおよびステレオでの録音が可能です。マイク・グリルには軽くて頑丈なハニカム構造が、本体にはハンドリング・ノイズを低減する強化コーティング塗装が採用されています。

 本体上面から見ていきましょう(メイン写真)。特徴はモノクロ液晶ディスプレイで、録音中の音声波形をリアルタイムに表示します。この真下には、録音する音声形式をステレオ/モノラルで切り替えるSTEREO/MONOキー、音量表示を縮小するための−キーと、拡大するための+キー、ローカット設定を変更するためのLO CUTキーを装備。ローカットは、オフ/80/160/240Hzの4段階でポイントを切り替えることができます。

 さらに下には、録音/再生/停止/早送り/巻き戻しといったトランスポートに関連する5つのキーのほか、録音した音声を確認できるスピーカーも内蔵しています。

 次は本体の左面です。左からヘッドフォン端子/ライン出力(ステレオ・ミニ)、VOLUMEキー、バス・パワー対応のUSBポート(Type-C)が並んでいます。このUSBポートにコンピューターやスマホ/タブレット機器を接続することで、M2を32ビット・フロート対応のUSBマイクとして使用することも可能。対応機種はWindows/MacのコンピューターとiOS/Androidデバイスです。

M2 MicTrakの左面。左からヘッドフォン端子/ライン出力(ステレオ・ミニ)、VOLUMEキー、バス・パワー対応USBポート(Type-C)が並ぶ。このUSBポートにコンピューターやスマホ/タブレット機器を接続することで、本機を32ビット・フロート対応のUSBマイクとして使用することが可能だ

M2 MicTrakの左面。左からヘッドフォン端子/ライン出力(ステレオ・ミニ)、VOLUMEキー、バス・パワー対応USBポート(Type-C)が並ぶ。このUSBポートにコンピューターやスマホ/タブレット機器を接続することで、本機を32ビット・フロート対応のUSBマイクとして使用することが可能だ

 本体の右面にはmicroSD/microSDXCカードを挿入するためのスロット、メニュー画面を表示するためのMENUキー、電源スイッチ、キー操作を無効にするためのHOLDスイッチが並びます。

M2 MicTrakの右面には、microSD/microSDXCカードを挿入するためのスロット、メニュー画面を表示するためのMENUキー、電源スイッチ/HOLDスイッチが備わっている

M2 MicTrakの右面には、microSD/microSDXCカードを挿入するためのスロット、メニュー画面を表示するためのMENUキー、電源スイッチ/HOLDスイッチが備わっている

 M2は、単三乾電池×2本で約11時間駆動します。背面には電池ケースを固定するためのネジがあり、これを緩めると底面から電池ケースを取り外すことができます。USB ACアダプターのZOOM AD-17(オープン・プライス:ZOOM STORE価格2,000円)を本体右面のUSBポートに接続することで、さらに長時間の使用も可能。付属品は、吹かれを防止するウィンド・スクリーンとマイク・スタンドに設置するためのマイク・クリップとなっています。

再生時の音量を整える再生音量自動調整機能 本体で録音ファイルのノーマライズ処理が可能

 それでは実際に試してみます。まず驚いたのは本体の軽さ。カラオケにあるマイクほどのサイズで、手に負担を感じさせません。例えばフィールド・レコーディングでは地面から木の上までさまざまな高さを狙うため、静止した状態で録音することがありますが、そういったときでもM2は軽いので非常に役立ちます。しかも、フィールド・レコーディングでは通常コンピューター、マイク、オーディオ・インターフェースを持ち運ぶ必要がありますが、M2ならこれ1台でOK。可搬性にも優れるため小さなバッグ一つでレコーディングする場所へ向かえますし、散歩しながら録音する対象を探すといったことも可能です。

 次に32ビット・フロート録音の検証をしてみました。楽器の録音やフィールド・レコーディングにおける使用では、ほとんど音割れが発生しないと言えます。入力ゲイン調整を行う手間が省けることが、これほどまでに便利だということを実感しました。さらにM2は再生音量自動調整機能を搭載するため、録音時のレベルがバラバラでも再生時に音量をそろえてくれます。もちろん出力端子にイアフォンやヘッドフォンを接続すれば、モニターしながら録音することも可能です。

 楽器や歌の録音においてM2が優れていると感じた点は、音の深みや空気感が正確に捉えられること。ギターの高域、サウンド・ホール内の響き、声の低域や声色の表情などが繊細に再現できます。環境音の録音では距離感や空間の広がりが感じられ、音素材として空間的な演出にも活用できるでしょう。

 液晶ディスプレイの視認性や、各キーの操作性が優秀である点も見逃せません。これはM2だけでなく、ZOOM製品全体に言えることですが、非常に使い勝手が良いと感じました。ローカットの設定も簡単で、ステレオとモノラルの切り替えがワン・アクションで素早く行える点も魅力です。ハンドリング・ノイズは若干あるものの、強化コーティング塗装によりほとんど気にならないでしょう。

 なお録音ファイルは、M2内でノーマライズ処理をすることができます。またファイルを書き出す際、用途に応じてビット深度を24ビット/16ビットで選択可能な点も便利です。

 M2は32ビット・フロート録音技術により、入力ゲイン調整の手間が大幅に減少し、さまざまなシーンでストレス・フリーな録音を実現しています。高品質な録音と優れた可搬性はポッドキャスターやインタビュアーにも向いており、シンプルな操作性は機材の扱いに不慣れなゲーム配信者にもお薦めです。もちろん、フィールド・レコーディングや自宅での録音が手軽に行えるため、音楽制作初心者にとっては最初のレコーダーとして非常に適しているでしょう。

 

碧海祐人
【Profile】メロウでジャジーなムードを携えた情緒的なサウンドと、海外のインディーR&Bなどからの要素も感じ取れるような、繊細さと気怠さを混在させた歌声で各所から注目の的となっている

 

ZOOM M2 MicTrak

オープン・プライス

(ZOOM STORE価格:24,000円)

ZOOM M2 MicTrak

SPECIFICATIONS
▪入力:X/Yステレオ・マイク ▪最大入力音圧:135dB SPL ▪出力:ヘッドフォン端子/ライン出力(ステレオ・ミニ)、内蔵スピーカー ▪録音フォーマット:WAVファイル、32ビット・フロート/44.1/48/96kHz、ステレオ/モノラル、BWFおよびiXMLフォーマットに対応 ▪記録媒体:microSDHC規格対応カード(4~32GB)、microSDXC規格対応カード(64GB~1TB) ▪電源:単三乾電池×2本、USBバス・パワー対応、ACアダプターZOOM AD-17(別売り) ▪外形寸法:221.5(W)×59.3(H)×61.9(D)mm ▪重量:204g(電池含む)

製品情報

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