UNDRGRND LO-FI SOUL レビュー：ローファイ・ヒップホップ向けの複雑なリズムを収録

レビュー＆テキスト：碧海祐人

　『LO-FI SOUL』は、ローファイ・ヒップホップ向けのサンプル・パックです。現代のトレンドをくみ取った364種のループ、240種のワンショットを収録しています。

　まず特筆すべきは、ドラムのループです。デッドな録り音で音質が良く、リズム・パターンも豊富。ヒップホップらしい切り張りをしたものから、レイドバックやシャッフルを多用したものまでそろっています。個人的には、今の時代、宅録で誰でもリズムを作れるが故、複雑で高速なリズム・パターンが増えてきていると感じていたのですが、ハイハットの7連符が特徴的な“US_LFS_Drum_88_impatient”は、“ここまで時代に沿ったものが用意されているのか”と驚きました。それぞれのリズム・パターンは、全体、ハイハットのみ、キックのみ、などに分けて収録されているので、細かい加工も可能。サチュレーターでひずませたり、フィルターなどで帯域を狭めれば、すぐに使用できます。また、複雑なリズム・パターンの波形を分析するという使い方もできそうです。

　ドラム以外についても、複雑でアンビエントやテクノ的な要素を感じる、楽曲のアクセントになりそうなものばかり。ボーカルやコード系は、ボコーダーやチューブ・ボックス、ギターはシマー・リバーブのような処理をされているものもあり、ベッドルーム的な音作りにも活用できるでしょう。

　使い道が多様で誰にでも有用な製品ですが、特に初歩的なトラック制作ができる音楽家の方に、自分の引き出しを増やす意味でお薦めしたいと感じました。

碧海祐人