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SURFY INDUSTRIES Surfybear Reverb Studio Edition レビュー:60'sのスプリング・リバーブを現代のスタジオ用にアレンジした一台

SURFY INDUSTRIES Surfybear Reverb Studio Edition レビュー:60'sのスプリング・リバーブを現代のスタジオ用にアレンジした一台

 SURFY INDUSTRIESから、1Uサイズのスプリング・リバーブSurfybear Reverb Studio Editionが発売されました。1960年代のスプリング・リバーブFENDER 6G15をモデルにしたSurfybear Classic Reverb Unitなど、ギター用の機種は既にリリースされていましたが、こちらはスタジオ向けにリファインされた一台とのこと。6G15がリイシュー品も含めて廃番になっているので、スタジオ・ワークに使えるスプリング・リバーブを探している方は多いはず。その実力に期待が高まりますね。

ACCUTRONICS製のカスタム・リバーブ・パン

 Surfybear Reverb Studio Editionはサーフ・ロックで一世を風びし、ギター用リバーブとして流行した6G15に範を取っていますが、アンプ回路は真空管からJFETに置き換えられ、モダンな仕様です。そして、1960年代にFENDERが採用していたリバーブ・パンACCUTRONICS 4AB3C1Bを現代向けに進化させたSurfyPanを搭載。このSurfyPanは、SURFY INDUSTRIESがACCUTRONICSに依頼して開発されたカスタム品です。

天板の一部をクローズアップしたところ。天板中央には穴が空いており、ACCUTRONICSがSURFY INDUSTRIESのために開発したリバーブ・パン=SurfyPanを間近に見ることができる

天板の一部をクローズアップしたところ。天板中央には穴が空いており、ACCUTRONICSがSURFY INDUSTRIESのために開発したリバーブ・パン=SurfyPanを間近に見ることができる

 Surfybear Reverb Studio Editionの入出力は、前面にギター・インが1つ、ギター・アンプ用のモノラル/ステレオ・アウトが1系統。入出力レベルはいずれも−20dBvです。背面にはライン・インとライン・アウトがあり、それぞれXLR(+4dBバランス)とフォーン(−10dBアンバランス)が用意されています。また、いずれもステレオですが、ライン・インはMONOボタンを押すことでモノラルに変更可能です。

背面には左から、12V DCパワー・サプライを接続する電源端子、ライン・アウトL/R(−10dBアンバランスのフォーン、+4dBバランスのXLR)、ライン・インL/R(−10dBアンバランスのフォーン、+4dBバランスのXLR)を装備。ライン・インLは、赤いMONOボタンを押せばモノラル入力としても機能する

背面には左から、12V DCパワー・サプライを接続する電源端子、ライン・アウトL/R(−10dBアンバランスのフォーン、+4dBバランスのXLR)、ライン・インL/R(−10dBアンバランスのフォーン、+4dBバランスのXLR)を装備。ライン・インLは、赤いMONOボタンを押せばモノラル入力としても機能する

内蔵ゲートで残響の長さを調整可能

 前面のコントロール部にはDWELL(リバーブ・パンへの送り量)、TONE(リバーブ音のトーン調整)、MIXER(原音/リバーブ音のバランス)などベーシックなパラメーターに加えてTHRESHOLD、DECAY、WIDTHなど見慣れないものも並びます。

 スプリング・リバーブは、スプリングの長さを変更できないため、普通はリバーブの長さが一定なのです。しかし本機はゲートを搭載しており、THRESHOLDとDECAYの組み合わせでリバーブの長さを調整可能。スプリングを備えたゲート・リバーブの単体機は、ほかに類を見ないのではないでしょうか?

 WIDTHでは、コム・フィルターを使った擬似ステレオ効果でリバーブ音を広げることができます。また、6G15には無かった出力レベル・ノブのVOLUMEが装備されているため、音量調整が楽ですね。周波数レンジは6G15に合わせてありますが、内部のジャンパー・ピンを挿し替えればフルレンジで鳴らすことも可能。電源供給は、付属の12V DCパワー・サプライから行う仕様です。

クリーン・ブースターとしても優秀なVOLUME

 それでは実際に音をチェックしていきたいと思います。まずはFENDER Stratocasterをつないで、同社のギター・アンプPrincetonで鳴らしてみました。手元に6G15が無いので過去の記憶からの印象なのですが、オリジナルと比べて泥くささが少ない感じがします。6G15は、良くも悪くもつないだだけで音が変わるようなところがあり、例えばTwin Reverbでリバーブをかけるのと、Twin Reverbの前に6G15をつないでリバーブをかけるのとでは、別のアンプの音という感じがします。Surfybear Reverb Studio Editionは、ギター・アンプの前につないでも大きく音が変わる感じを受けないので、リバーブ非搭載のアンプにつないでもリバーブありのアンプを使っている感覚で演奏できます。

 ピチャピチャ鳴る感じは、まさに求めていた音。FENDERのアンプにつないでいるのも手伝ってか、全く違和感がありません。TONEを上げると、きらびやかな音になるので、ニューウェーブっぽい音楽でも使えそうです。また、VOLUMEがクリーン・ブースターとして優秀で、嫌な味付けを全く感じません。クリーン・ブースターは大抵、音量が上がるだけでなくギラッとしすぎたり、詰まった感じになったりするのですが、すごくナチュラルに音量が上がるので、これだけでも高評価です。

オケに溶け込みながらも主張のあるリバーブ

 次にAPOGEE Symphony I/O MKIIに接続して、AVID Pro Tools|HDXシステムでのミックスに使用してみました。まずドラムに使ってみたところ、もうかけた瞬間に“コレコレ、この感じ!”と笑みがこぼれるほど。複数のプラグインと比較してみましたが、スプリング・リバーブ専用にシミュレートされたものでさえ、確かに似ていますが心にどこかモヤモヤが残ります。それが、本機に差し替えた瞬間に一発解決!という感じで、根本的に別物だと感じました。

 原音のキャラクターを変えすぎないので、混ぜてもリバーブ音が悪目立ちしません。システムにすんなり組み込める音というのも好印象です。また、ダブっぽい処理をしたいときに、ピチャピチャとスプリングが跳ねた感じを出そうとすると、プラグインの場合は音量をかなり突っ込まなければならなかったり、雰囲気を出せても残響が濁って存在感が希薄だったりするものです。しかし本機では、オケに違和感なく溶け込みながらもリバーブ音にはっきりとした主張があり、かなり使いやすい。さらに、WIDTHを使うと混み合ったオケでもリバーブがクリアに聴こえます。内蔵のゲートに関しては、やはりシンプルにスプリングの長さが短くなるような効果ではなく、ゲート・リバーブ的な効き方だと思いました。

 続いてギターとボーカルにかけてみます。ギターは、ミックス段階での後がけにもかかわらず、かけ録りしたかのような混ざり方。ボーカルは1960年代のサイケっぽいニュアンスになりました。本機はAKGのスプリング・リバーブのようなナチュラル系ではなく、ピチャピチャ成分が強く出るタイプなので、パーカッシブな素材に対しては分かりやすくスプリングらしいキャラクターが付加されます。そのため、メロウな曲調のボーカルでは気持ち良くかかりますが、歯切れの良い歌い方だとアタック部分がピチャッとしやすかったです。ただ、スプリング・リバーブをかけるのはそういう効果を狙ってのことだと思いますし、気になるならコンプレッションしてからセンドすれば対処できますね。演奏にもミックスにも使えるスプリング・リバーブで、実機ならではの魅力にあふれた一台です。

 

中村公輔
【Profile】neinaの一員としてドイツの名門Mille Plateauxなどから作品発表。以降KangarooPawとしてソロ活動を行い、近年は折坂悠太、宇宙ネコ子、大石晴子らのエンジニアリングで知られる。

 

SURFY INDUSTRIES Surfybear Reverb Studio Edition

93,500円

SURFY INDUSTRIES Surfybear Reverb Studio Edition

SPECIFICATIONS
▪入出力:ステレオ/モノラル ▪リバーブ・パン(リバーブ・タンク):ACCUTRONICS製SurfyPanカスタム・モデル ▪最大入力レベル:+14dBu(XLRのライン・イン) ▪最大出力レベル:+14dBu(XLRのライン・アウト) ▪インピーダンス:1MΩ(ギター・イン)、10kΩ(フォーンのライン・イン)、40kΩ(XLRのライン・イン)、600Ω以下(各アウトプット) ▪S/N比:80dB以下(原音)、70dB以下(リバーブ音) ▪外形寸法:約482(W)×44(H)×250(D)mm ▪重量:3kg

製品情報

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