QDC Superior レビュー:シングル・フルレンジのダイナミック・ドライバーを搭載したインイア・モニター

QDC Superior レビュー:シングル・フルレンジのダイナミック・ドライバーを搭載したインイア・モニター

 中国深センに本拠を置くカスタムIEM(インイア・モニター)ブランドQDCは、中国のプロフェッショナル向けオーディオ市場において、ステージ・モニター用カスタム・イア・モニターとしては70%を超えるシェアを誇るメーカー。今回はそんなQDCから新たに発売されたエントリー・ユニバーサルIEM、Superiorをご紹介します。細かく見ていきながら、その魅力に迫っていきましょう。

2タイプのイア・ピースを付属 音の粒立ち具合や空間の響きも感じ取れる音像

 Superior本体は、3Dプリンティング技術を採用したシェル形状でできていて、非常に軽く装着しやすいです。シングル・フルレンジのダイナミック・ドライバーを搭載しているということも軽さの理由の一つでしょう。フェイス・プレートにはミラー・パネルを採用。今回レビュー用にお借りしたサンプルのカラーはVermilion Redでしたが、角度によって反射具合が変わるのが美しく、高級感があります。

カラーはVermilion Redと、Piano Black(メイン掲載画像)の2タイプを用意

カラーはVermilion Redと、Piano Black(メイン画像)の2タイプを用意

 付属品はSuperior Cable(3.5mm3極アンバランスのケーブル)、ソフト・フィット・シリコンとダブル・フランジ・シリコンのイア・ピースがS、M、Lの3ペアずつで合計6セット、クリーニング・ツール、オリジナル・キャリング・ケースです。

Superior本体と付属品。右上から時計回りにオリジナル・キャリング・ケース、Superior Cable(3.5mm3極アンバランスのケーブル)、Superior本体、クリーニング・ツール、ソフト・フィット・シリコンとダブル・フランジ・シリコンのイア・ピース(S/M/Lの3ペアずつで合計6セット)

Superior本体と付属品。右上から時計回りにオリジナル・キャリング・ケース、Superior Cable(3.5mm3極アンバランスのケーブル)、Superior本体、クリーニング・ツール、ソフト・フィット・シリコンとダブル・フランジ・シリコンのイア・ピース(S/M/Lの3ペアずつで合計6セット)

 オリジナル・キャリング・ケースはセミ・ハード・タイプで、内側にポケットがあるので変換ケーブルやコネクター、予備のイア・ピースなどを一緒にしておくことができて便利ですね。付属ケーブルはPVC被膜でできており、ツルツルとした感触なので絡まりにくい仕様。タッチ・ノイズもさほど気になりません。エントリー・モデルということもありますので、必要十分な質感だと思いました。

 QDCのほかのモデルは同社独自のコネクターを採用しているのですが、本製品は汎用性の高いIEM用2ピン・コネクター(0.78mm)を採用しているため、ケーブルを交換して音質の変化を楽しむこともできます。あいにく筆者の環境では試すことができませんでしたが、QDC純正の4.4mmバランス接続に対応したSuperior Cable 4.4(5,500円)も別売りで用意されています。

 さて、肝心のサウンドですが一聴して“あ、これはすごくいいな”と思いました。中域がやや控えめな傾向で、メーカーが公開している周波数特性通りの印象です。ロック・バンドものだとディストーション・ギターの粒立ち具合までハッキリと聴こえ、先述の通り中域が少し控えめな傾向ですが、ボーカルが埋もれることもありませんでした。クラシックではストリングスの弦が擦れる音も聴こえ、空間の響きも感じ取ることができます。EDM系だと、細かなパンニングやどういう音色でどういうエフェクトを使っているかなども判断しやすく、キックとベースの押し出し感もちょうど良く分離して聴こえました。

開放型のヘッドフォンで聴いているような感覚 長時間の作業にも有用なしっかりとした遮音性

 筆者はバランスド・アーマチュア(BA)型の、特に高域が強調されたタイプのIEMがあまり得意ではありません。かといって、ダイナミック型(DD型)派かと聞かれるとそれはそれでDD型だと物足りなく感じることもあったりします。その点、Superiorはブランド初となる10mm径シングル・フルレンジのダイナミック・ドライバーを搭載しており、メタル・ノズルを採用しているからなのかDD型ならではのガッツのある感じもありつつ、滑らかな高音域を聴かせてくれました。

 筆者の所有している2万円台のDD型のイア・モニターと、10万円台のBA型のカスタム・イア・モニターをそれぞれ聴き比べましたが、大まかにいうとその中間の音色でした。当然価格帯が違いますので一概に良いとこ取りとは言えませんが、良いバランスだと思います。

 また、安価なIEMでは音がモコモコしていて遠く感じたり、高域を強調するあまり音のパツパツ感がきつかったりすることがありますが、Superiorは開放型のヘッドフォンで聴いているような不思議な感覚がありました。ですが、IEM特有の遮音性はしっかりとあり、長時間の作業にも向いていると感じます。リスニング用途、モニタリング用途のどちらにも適していると思いますので、プレイヤーの方は移動中に聴いていた本製品をそのまま演奏時のIEMとして使用することができますし、サウンド・エンジニアの方も作業する際の選択肢の一つとして持っていてもいいのではないでしょうか。最近は、ゲームも音のバランスや解像度が重要になってきていますのでゲーム用途にも向いていると思います。

 低域に関しては、若干控えめの傾向ながらパワーを感じる印象です。より音の輪郭を強調したい場合は、耳へのフィット具合も関係してくると思いますので、イア・ピースをいろいろ試してみればかなり改善するでしょう。

 Superiorは税込14,300円とのことで、数十万円クラスのIEMを多数発売しているQDCのモデルの中では文字通り桁違いの安さです。同価格帯のユニバーサルIEMの中でも頭ひとつ抜けている感じがします。

 筆者はミュージシャンや一般の方から“オススメのイアフォンありますか?”と聞かれることが割とあるのですが、今後は間違いなくSuperiorもお薦めの一つとして名前を挙げると思います。

 

濱本洋平
【Profile】フリーランスでPAやレコーディングを手掛けるエンジニア。これまでに赤い公園や集団行動、GARLICBOYS、あっぱ、Vampillia、Kroiなど、多くのアーティストのライブや作品に携わる。

 

 

 

QDC Superior

14,300円

QDC Superior

SPECIFICATIONS
▪ドライバー:ダイナミック型(10mm径シングル・フルレンジ) ▪形式:密閉型 ▪周波数特性:10Hz〜40kHz ▪感度:100dB SPL/mW ▪インピーダンス:16Ω ▪外音遮断:26dB ▪付属品:Superior Cable(3.5mm3極アンバランスのケーブル)、ソフト・フィット・シリコン・イア・ピース×3ペア(S/M/L)、ダブル・フランジ・シリコン・イア・ピース×3ペア(S/M/L)、クリーニング・ツール、オリジナル・キャリング・ケース

製品情報

関連記事