MUSIC LAB Real Guitar 6 レビュー:スチール弦とナイロン弦の2ソフトを同梱したアコースティック・ギター音源

MUSIC LAB Real Guitar 6 レビュー:スチール弦とナイロン弦の2ソフトを同梱したアコースティック・ギター音源

 今回、ソロはもちろん、コード・バッキングが得意という印象があるアコースティック・ギター音源、MUSIC LABのReal Guitarシリーズ最新バージョンであるReal Guitar 6をチェックすることができたのでレポートしていこう。

視覚的で分かりやすい操作感 ノイズ関連も細かく設定できる

 Real Guitar 6は、スチール弦のアコースティック・ギター音源であるReal Guitar Steel Stringと、ナイロン弦のクラシック・ギター音源のReal Guitar Classicという2つのソフト音源で構成されている。

 Real Guitar Steel Stringは一般的なスチール弦ギターのほか、2種類の12弦、2種類のナッシュビル・チューニングという5種類のギター・パッチから選択できる。しかも、各パッチで7弦ギター(12弦のパッチのときは14弦になる)やバリトン・ギターにも切り替え可能だ。

 Real Guitar Classicはスチール弦とナイロン弦でそれぞれピックでの演奏はもちろん、クラシック・ギターらしいフィンガー・ピッキングなどの奏法違いも加えた8種類のギター・パッチが収録されている。

 また本バージョンでは、ギター・アンプ・シミュレーターが搭載されており、200種類以上の新しいサウンドが収録されたとのこと。音色全体も改善されているそうだ。

 早速、Real Guitar Steel StringのSOLOモードをMIDIキーボードで試奏してみた。このモードでは鍵盤で自由に演奏できるが、画面上の指板には現在押さえている音名が表示され、発音時にはその音名表示が光るため、どの音が鳴っているのかが分かるようになっている。細かい部分まで行き届いた仕様という印象だ。普段からギターを演奏していて鍵盤は弾かないという方でも、視覚的に脳内でギターを持っているような感覚で演奏や打ち込みを行いやすそうである。画面上のピックを横方向にドラッグして、ピッキング位置の調節が可能で、もちろん音色も変化する。とても視覚的な操作感である。

 肝心の音色の方は、どれもオケの中のソロ・フレーズでも埋もれない“きらびやか”な傾向で、なおかつ低音域もしっかり出ている印象を受けた。ミュート奏法の音もきちんとピッチ感があり音階演奏できるので細かな打ち込みができそうである。

 さらに、画面上部のTUNEタブでは細かいチューニングの設定を行え、VELOタブではベロシティ・カーブの設定、MIXER 1/2タブではフレット・ノイズやピッキング・ノイズ、ミュート時のサウンドなどの音量を細かく調整できる。ノイズに関しては筆者もよくいじる箇所で、大幅にノイズを加えることにより打ち込み終わった後などでも楽曲に合った自分好みの音を作り込めそうだ。

VELOタブの画面(赤枠)とMIXER 1の画面(黄枠)を開いたところ。前者ではベロシティ・カーブ、後者では各種のノイズ音量を設定できる

VELOタブの画面(赤枠)とMIXER 1の画面(黄枠)を開いたところ。前者ではベロシティ・カーブ、後者では各種のノイズ音量を設定できる

ボイシングをユーザーが変更可能 キー・スイッチのパラメーターも充実

 次にMULTIモードを試してみた。こちらはコードを鍵盤で簡単に演奏できるモードだ。例えば、Cコードであればドの鍵盤、Cmコードであればルートのドと短3度にあたるミ♭の鍵盤を同時に弾けば、それらのコードが演奏される。ほかのコードも同様で、ルート、3度、7度、テンションなどポイントとなる音を押さえるだけでコードを鳴らすことができる。

 さらにUSER CHORDS EDITERというボタンより、コードのボイシングも変更可能。強引にオン・コードなども設定でき、試しにD/Cを設定してみたのが次の画面だ。制作している楽曲で使わないコードがアサインされた鍵盤で、オン・コードなどを設定しておくと便利かもしれない。

UXER CHORDS EDITER画面で、D/Cを作ったところ。左側のMy Bank欄にボイシングが表示されている

UXER CHORDS EDITER画面で、D/Cを作ったところ。左側のMy Bank欄にボイシングが表示されている

 また、キー・スイッチ(鍵盤のグレー部分)をオンにして、楽曲の雰囲気に合わせてストラミングや奏法を調整することにより、さらにリアルなコード・バッキングが可能になる。筆者は普段から本物のアコギを膝に抱えながら、チマチマとアコギの打ち込みを行うタイプなのだが、コード・ストロークならこれだけで弾き語りができそうである。

キー・スイッチの設定画面。ストラミングのスピード変更やスライド・アップ/ダウン、ハーモニクスなど多彩な項目を用意

キー・スイッチの設定画面。ストラミングのスピード変更やスライド・アップ/ダウン、ハーモニクスなど多彩な項目を用意

 次に、Real Guitar Classicも試奏してみた。こちらは前述の通りクラシック・ギター音源で、音色の方向性はReal Guitar Steel Stringと同じく、とてもきらびやかでありながらも、低域も名前の通りリアルな印象だ。基本的な使用法はReal Guitar Steel Stringと似ているが、PATTERNというタブが追加されており、ここには多数のMIDIパターンがジャンルごとに丁寧にカテゴリー分けされている。ギターを普段演奏しない方もリアルな演奏を簡単に行えるだろう。MIDIデータなので、DAWのインストゥルメント・トラックなどにドラッグ&ドロップして自分流にアレンジして使うことも可能だ。

 筆者は生のアコースティック・ギターを自宅でレコーディングすることもあるが、打ち込みっぽいアレンジの曲などではどうしても浮いてしまうことや埋もれてしまうことも多く、生のアコギに打ち込みのアコギを重ねることもある。そうすることで生っぽくもあり、ダンス・サウンドなどでも埋もれない音になるので、そのようなアコギ音源の使い方も個人的にとてもお勧めである。

 さまざまなアコギ音源がある中で、Real Guitar 6はギターを普段あまり弾かない方でも、スムーズに楽曲へアコギのアレンジを加えることができ、普段からギターを触る方は視覚的にも直感的にリアルなアコギを打ち込むことが可能だ。特に鍵盤奏者にとっては、リアルなギター・ボイシングで演奏しながら打ち込める音源と言えるだろう。

 

サクライケンタ
【Profile】作詞/作曲/編曲家、ギタリスト。株式会社ekoms代表。さまざまなアーティストへ楽曲提供しつつ、自社所属のアーティストやアイドルのプロデュースも手がける。

 

MUSIC LAB Real Guitar 6

29,381円(価格は為替レートによって変動)

MUSIC LAB Real Guitar 6

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.12/10.13/10.14/10.15/11(INTEL CPU/ARM)/12(INTEL CPU/ARM)
▪Windows:Windows 10(64ビット)/11
▪共通項目:INTEL Core 2 Duo以上のCPU、2GB以上のRAM、OpenGL 3.2+以上対応のGPU
▪対応フォーマット:スタンドアローン、AAX(AVID Pro Tools 12/64ビットに対応)、AU、VST2、VST3、

製品情報

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