MACKIE. EM-98MS レビュー:デジタル・カメラやスマートフォンに対応するモバイル・ショットガン・マイク

MACKIE. EM-98MS レビュー:デジタル・カメラやスマートフォンに対応するモバイル・ショットガン・マイク

 MACKIE. EM-98MSは、カメラ/スマートフォン用ショットガン・マイクです。MACKIE.と言えばミキサーというイメージが強かったのですが、こちらのマイクも操作がシンプルで使いやすく、MACKIE.らしさをしっかりと感じました。

充電式のリチウムイオン・バッテリーを内蔵

 MACKIE. EMシリーズには、さまざまな形のマイクがラインナップされており、カメラやスマートフォンと合わせて使うことを前提に設計されています。カメラのアクセサリーシューに設置して使用する小型マイクEM-93M、小型のLEDライトがセットになったEM-93MK、ラべリア・マイクと小型アンプがセットになったEM-95MLがあり、今回レビューするのが、ショットガン・マイクのEM-98MSです。

 箱を開けると、作りの良いケースにマイク本体と付属品が入っていました。ケースは止水ファスナーのようになっており、持ち運びやすさに対するこだわりや運用面を意識した設計です。付属品の充実度には感心しました。スポンジ状のウィンド・スクリーンだけでなく、ふさふさのウィンド・ジャマーまで付属しています。最初から悪条件の屋外撮影も想定し、“どうせ使うんだから入ってなきゃだめだろ?”という心意気を感じますね。

上は付属のウィンド・ジャマーを装着した状態。下は付属のスポンジ状のウィンド・スクリーンを装着した状態

上は付属のウィンド・ジャマーを装着した状態。下は付属のスポンジ状のウィンド・スクリーンを装着した状態

 本体について見ていきましょう。見た目はちょっと短めの典型的なガン・マイクですが、特徴的なのはUSB-C端子とレベル調整用のリングです。カメラに装着するタイプのマイクは、プラグイン・パワーか乾電池でマイク本体やプリアンプの電源を供給することがほとんど。ところがEM-98MSはなんと充電式のリチウムイオン・バッテリーを内蔵しており、USB-C端子から充電することが可能です。また、レベル調整用リングは、まるでレンズのズーム・リングのようになめらかで、無段階の調整が可能になっています。

 カメラやスマートフォンとは専用のカール・コード・ケーブルで接続。モニタリング用のイアフォン端子も本体の後方にあるので、イアフォン端子が無いカメラやスマートフォンでも録り音を確認しやすいです。

付属のケーブル類。左から、スマートフォンに接続するステレオ・ミニ(4極) to USB-Cケーブル、カメラのマイク入力に接続するステレオ・ミニ(3極) to USB-Cケーブル、充電用のUSB-A to Cケーブル

付属のケーブル類。左から、スマートフォンに接続するステレオ・ミニ(4極) to USB-Cケーブル、カメラのマイク入力に接続するステレオ・ミニ(3極) to USB-Cケーブル、充電用のUSB-A to Cケーブル

カメラ後方にはモニター用のイアフォン端子を搭載。レベル調整用リングは無段階で調整が可能

カメラ後方にはモニター用のイアフォン端子を搭載。レベル調整用リングは無段階で調整が可能

音質はやや中音域にフォーカスされている印象

 それでは実地でのテストを行いましょう。今回は近くの公園で自分の声や環境音などを録ってみました。

 EM-98MSをカメラのアクセサリーシューに装着し、専用ケーブルでカメラのマイク入力に接続。マイク本体の電源ボタンを長押しして起動すれば、すぐに収録を始めることができました。中型のズーム・レンズであれば、マイク本体が長すぎて映像に映りこむということはなさそうです。

 電源のLEDが点灯した状態でもう一度電源ボタンを一回押すと、ステレオ信号の右チャンネルが−10dBになります。これはレベル・オーバーでクリップするのを防ぐ機構。プラグを挿してすぐ録っても失敗しないための、よく考えられた機能だと思いました。また、電源ボタンのほかにローカット・フィルターの切り替えスイッチがあり、バイパス/75Hz/150Hzのいずれかを選ぶことができます。

本体のスイッチ。下は電源ボタンで、長押しすると起動する。電源が付いている状態でもう一度電源ボタンを押すと、右チャンネルが−10dBになる。上のボタンはローカット・スイッチで、バイパス/75Hz/150Hzを切り替え可能

本体のスイッチ。下は電源ボタンで、長押しすると起動する。電源が付いている状態でもう一度電源ボタンを押すと、右チャンネルが−10dBになる。上のボタンはローカット・スイッチで、バイパス/75Hz/150Hzを切り替え可能

 指向性の簡易的なチェックとして、さまざまな方向から声を収録してみました。指向性は極端に鋭いわけではなく、左右45度くらいまでは極端な変化はありません。かといって音像が遠いというわけではなく、3メートルほど離れて録音しても声は比較的クリアに収録できていました。標準的なズーム・レンズの広角端は十分にカバーしている印象です。カメラ・マイクとして、映るものの音を録り逃さないバランスの良い指向性だと思います。音質は、やや中音域にフォーカスされている印象で、人の声を確実に録ることに主眼を置いているのかなと感じました。

 アクセサリーシューに装着できるマイクで前から試してみたかったのが、フィールド・レコーダーとの組み合わせ。レコーダーのステレオ・マイクの音声が左右に広がりすぎていたり、周囲のノイズを拾い過ぎていたとしても、EM-98MSをセンター・マイクとして使うことで、狙った音源をしっかりと捉えることができました。

フィールド・レコーダーと組み合わせて収録している様子

フィールド・レコーダーと組み合わせて収録している様子

 カメラ用マイクは本体を大型化できないので、機能を詰め込むと音質は多少犠牲になるものだと思っていました。しかし、EM-98MSはSN比についても併用したレコーダーのマイクと同程度で実用範囲内。カメラ・マイクとしての運用のしやすさと機能がこのサイズに詰め込まれていながら、音質も問題ありません。“挿して録って失敗しない”ことにフォーカスされた製品だと思いました。

 

ナカシマヤスヒロ
【Profile】作曲家。映画音楽やゲームに影響を受け、独学で作曲を始める。近年はトヨタやアストンマーティンなど国内外の企業のCM音楽を手掛け、日本にいながら世界を舞台に活躍を続けている。

 

MACKIE. EM-98MS

オープン・プライス

(市場予想価格:22,000円前後)

MACKIE. EM-98MS

SPECIFICATIONS
▪タイプ:コンデンサー ▪指向性:スーパー・カーディオイド ▪周波数特性:30Hz〜20kHz ▪感度:−24dB ▪SN比:80dB ▪出力インピーダンス:−32dB、200kΩ(ライン・アウト)、100mW、32Ω(ヘッドフォン・アウト) ▪外形寸法:23(W)×216(H)mm ▪重量:0.09kg

製品情報

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