KLEVGRAND Borsta レビュー:打楽器のブラッシングやストロークを独自のエンジンで再現するソフト音源

KLEVGRAND Borsta レビュー:打楽器のブラッシングやストロークを独自のエンジンで再現するソフト音源

 スウェーデンのプラグイン・ブランドKLEVGRANDから、ストロークとブラシをシミュレートする打楽器のソフト音源Borstaがリリースされました。通常のサンプル・ベースの音源とは異なるオーディオ・エンジンを搭載し、非常に自然な響きのブラッシング・フレーズとリズムを作成できるとのことです。

画面下側でベロシティやタイミングを、上側でエンベロープ・カーブを編集する

 Borstaにはスネア・ドラムやジャンベなど、18種類の楽器が収録されています。中でもCardboard Pipe(紙筒)やIron Sticks(鉄の棒)はなかなかほかの音源では見ないので、特徴的なサウンドを作れると思います。各楽器は400以上の高品質なサンプルに基づいているとのことです。

 基本的にはワンショットとブラシの音を重ねてパターンを作成していきます。メイン画面は大きく上下に分かれており、画面下側ではイベントを追加して、ベロシティやタイミングを設定することができます。画面左中央にある3つのボタンを押して画面を切り替えながらフレーズ・パターンを作っていきましょう。左からStroke(ブラシを擦る音)、One-shot1、One-shot2となっています。

画面左中央にあるボタン。左からStroke(ブラシを擦る音)、Oneshot1、Oneshot2になっており、それらを組み合わせながらフレーズを作成する

画面左中央にあるボタン。左からStroke(ブラシを擦る音)、Oneshot1、Oneshot2になっており、それらを組み合わせながらフレーズを作成する

 Strokeの場合、イベントを追加すると赤い帯が表示されます。この帯の幅は、ブラシを当てている時間です。Oneshot1/2の場合は帯ではなく、棒が追加されます。背景のグリッドに合わせてタイミングやグルーブを調整しましょう。帯や棒の高さでベロシティをコントロール可能です。音の長さや細かいタイム感まで調整できるので、クオンタイズ通りでは生まれない楽曲のノリなどを作りやすくなるかなと思いました。イベントの移動/追加/削除は、画面右上のToolから行うことができます。

画面右上にあるボタン。左から、ストローク・イベントの移動、イベントの追加/削除が行える

画面右上にあるボタン。左から、ストローク・イベントの移動、イベントの追加/削除が行える

 画面上側に表示されているエンベロープ・カーブは、ブラッシングの強度を表しています。このカーブは自由に動かして調整することが可能です。プリセットも用意されており、右側のボタンからさまざまなパターンにアクセスできます。もちろん自分で作成したエンベロープ・カーブを保存することも可能です。このように、画面下側でタイミングやベロシティを調整し、さらに上側でエンベロープ・カーブを調整することで、複雑でリアルなフレーズを作成することができるのです。いかようにもコントロールできるので逆に困ってしまうかもしれませんが、プリセットもたくさんあるので気に入ったものを見つけて軸にし、作りたい楽曲のグルーブに合わせて調整していくのが実際に使用する際は速いかもしれません。

 以上の手順で作成したループは12個まで保存可能で、画面上部にあるMIDI鍵盤のC2~B2に対応します。ワンショットはC1〜B1に対応しており、直感的で使いやすいです。MIDI鍵盤の右に表示されている再生ボタンを押すと再生モードになり、C2~B2のどれかが選択されているときは鍵盤を押していなくてもループが鳴り続けます。

画面上部に表示されているMIDI鍵盤。作成したループは12個まで保存可能で、C2〜B2に対応。C1〜B1はOne-shots(ワンショット)に対応している

画面上部に表示されているMIDI鍵盤。作成したループは12個まで保存可能で、C2〜B2に対応。C1〜B1はOne-shots(ワンショット)に対応している

ミキサー・ページでリバーブやEQなどを細かく調整可能

 画面上部からGLOBALタブに切り替えると、ミキサー・ページが表示されます。ボリュームやリバーブ、EQ、ピッチ、ハーモニクスなどを細かく調整可能です。リバーブはホール・リバーブ、ルーム・リバーブがあり、それぞれ6種類以上プリセットがあります。ブラシのアタックやリリースの調整、ワンショットのオープン/クローズの選択も可能です。

メイン画面上部からGLOBALタブに切り替えると表示されるミキサー・ページ。ボリュームやリバーブ、EQ、ピッチ、ハーモニクスの調整のほか、ブラシのオン/オフ、ワンショットのバリエーションを選択できる

メイン画面上部からGLOBALタブに切り替えると表示されるミキサー・ページ。ボリュームやリバーブ、EQ、ピッチ、ハーモニクスの調整のほか、ブラシのオン/オフ、ワンショットのバリエーションを選択できる

 いろいろなパラメーターを自分でコントロールできるプラグインですが、どうしても数小節のループ感が出てしまうのは否めないので、例えばまず8小節のループを作り、作ったループを少し変えたものを新たに8小節作成してつないでいく……というように楽曲の中でループを少しずつ変化させていくのが良いかなと感じました。すべての楽曲のリズムをBorstaで作るというわけにはいきませんが、それこそBorstaでないとできないグルーブ感や音色があるように感じたので、肝となるループに使えば楽曲の軸になると思います。具体的に言ってしまえば、劇伴の日常曲などで音数が少なくても存在感がある楽曲が作りやすそうに感じました。

 今までパーカッションのグルーブ感を打ち込みで表現するのはとても難しく、私もオーディオ素材に頼ったり、基本のMIDIパターンをもとに作ることもありました。しかし、ここまで一つのソフトで編集できると、“このソフトだからこのリズム・パターンが生まれ、そこから楽曲が完成する”ということもありそうですね。創作活動に刺激を与える音源だと感じました。

 

近谷直之
【Profile】CMや映画、ドラマ、ゲームなどへの楽曲提供のほか、ロックバンド鋭児のプロデュースも行う。最近ではMBSで放送のTVドラマ『あせとせっけん』の音楽やNHK『100カメ』のテーマ曲を担当。

 

KLEVGRAND Borsta

8,705円(価格は為替相場によって変動)

KLEVGRAND Borsta

REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.10以降、AAX/AU/VSTに準拠
▪Windows:Windows 7以降、AAX/VSTに準拠
▪共通:スタンドアローンで動作

製品情報

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