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ISOVOX ISOPOP BroadCast レビュー:サウンドとビジュアルの両面から配信環境を向上させるポップフィルター

ISOVOX ISOPOP BroadCast レビュー:サウンドとビジュアルの両面から配信環境を向上させるポップフィルター

 レコーディングレベルのクリアな音質で配信をしたい。音楽コンテンツを配信したことのあるミュージシャンが一度は考えることだと思います。しかし実際に配信を行う段になると、気を使わなければならない問題が山積みです。“スクリーンの向こうにいる視聴者に、音楽と熱量をそのまま届けたい。でもできるだけ手軽に、配信中に煩わされることがないような環境を手に入れたい……”。このISOVOX ISOPOP BroadCastはどんなときも、鮮明かつハイレベルな声を視聴者に届けてくれるポップフィルターだと感じました。

選べるフィルターでクリアさと歯擦音除去を追求 ハンドヘルドマイクにも装着可能

 ISOPOP BroadCastはマイクに直接装着するタイプのポップフィルターで、配信者の顔を隠さないフォルムと、その音質の良さが際立つアイテムです。カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色展開となっています。

ISOPOP BroadCastのカラーバリエーションには、メイン写真のシルバーのほか、ブラックも用意されている

ISOPOP BroadCastのカラーバリエーションには、メイン写真のシルバーのほか、ブラックも用意されている

 テストに使用したマイクは、配信環境で使われることも多いSHURE SM7Bです。まずはポップフィルターなしの場合。吐息や“P”“B”などの破裂音がそのまま収音され、とても聴きづらいです。次にSM7B付属のポップフィルターを装着してテストしました。先ほどまでの嫌な音はなくなります。そしてISOPOP BroadCastを装着。本当に驚きました。本体の付属ポップフィルターだけの場合がややこもって聴こえるほどの明瞭な音像でした。

SHURE SM7Bに装着してテストしている様子(筆者撮影)

SHURE SM7Bに装着してテストしている様子(筆者撮影)

 ISOPOP BroadCastにはクリアな“Neutral”と、歯擦音なども除去してくれる“DE-ESS”の2種類のプロフィルターが同梱されます。

ISOPOP BroadCastに付属する2種類のプロフィルター。写真右がポップ音を除去するNeutral、同左がポップ音に加えて歯擦音も除去するDE-ESS。いずれも速乾性で水洗いが可能となっている

ISOPOP BroadCastに付属する2種類のプロフィルター。写真右がポップ音を除去するNeutral、同左がポップ音に加えて歯擦音も除去するDE-ESS。いずれも速乾性で水洗いが可能となっている

 まずNeutralを試したところ、とにかく本当にクリアでした。僕は楽曲で英語を使用することも多いのですが、英語でもポップ音は完全に除去されました。

 次にDE-ESSを装着して試すと、こちらはキシキシした嫌な成分が若干除去されたように感じました。音が中域に集中するような感覚がありましたが、この辺りはマイクとの相性や好みによるかもしれません。歯擦音がとても気になる方は、プラグインを使わずにディエッサー効果が得られるということで、とても重宝されると思います。

 配信用のマイクなどは持ち合わせておらず、いつもライブで使用しているマイクで配信をしたい、という方も多いと思います。このISOPOP BroadCastは、ハンドヘルドマイクにも装着できるので非常に便利です。ハンドヘルドマイクでの使用感を試すため、ここでは僕がいつもライブで使用しているbeyerdynamic TG V70 dでもテストを行いました。

beyerdynamic TG V70 dに装着してテストしている様子。ISOPOP BroadCastはハンドヘルドマイクにも直接装着できる

beyerdynamic TG V70 dに装着してテストしている様子。ISOPOP BroadCastはハンドヘルドマイクにも直接装着できる

 まずはライブで使用するようにポップフィルターなしでテストしましたが、ライブでは“熱量”や“ライブ感”として捉えられる息遣いが、配信では雑音に感じられてショックでした。声が息に埋もれてしまって聴き取りづらいですし、特にポップ音では耳が押されるような感覚がありました。

 そこでISOPOP BroadCastのNeutralを使用すると、とてもクリアで、マイク自体を交換したような感覚がありました。DE-ESSを装着すると、SM7Bでテストしたときよりも歯擦音がカットされているのがよく分かり、こちらのマイクにはDE-ESSの方が適していると感じました。

マイクとの適切な距離を常に保ち配信に集中 視聴者の目を引くスタイリッシュなデザイン

 また、配信中はつい没頭してマイクとの距離が分からなくなってしまったりするのですが、ISOPOP BroadCastを装着することで、常にマイクとの適切な距離を保ってくれるのも一つの魅力かなと感じました。

 この製品の売りでもある装着時のスタイリッシュさも、とてもうれしいポイントです。配信中に何らかの理由で自身やカメラの位置を変更した場合にも、顔が見えるようにポップフィルターの位置を調整する煩わしさがありません。マイクに直接装着するわけですから、配信中にマイクとの距離や、ポップフィルターがマイクからズレてしまうような問題も一度に解消されます。

 音楽などの配信を経験したことがある方には共感していただけるかと思いますが、配信中に気になることのほとんどが、ネットワーク接続やカメラ位置などの配信環境、状況に関することではないかと思います。そもそも配信が止まってしまっては元も子もないですから。なので音質の問題は後回しになってしまって、アーカイブを見てガッカリ、というケースも多いと思います。本機があれば視聴者とつながる上で特に重要な声を届けるマイクを常にサポートしてくれる、配信時に音楽に集中させてくれるのは本当にありがたいです。

 ISOPOP BroadCastは、配信という環境においてマイクの音質をフルに生かし、また高めてくれる製品だと感じました。個人的には、SM7BにNeutralのフィルターを装着したときの感動がすごかったです。EQ処理が不要になる感覚すらあったので、レコーディング時にも機能するスペックだと思います。

 また、余談かもしれませんが、装着すると見た目が未知のマイクみたいになってかっこいいので、視聴者の目を引くと思います。配信という環境について本当に考え抜かれた、とても素晴らしいポップフィルターだなと感じました。

 

山路洸至
【Profile】ソウルミュージック、インディーロック、ダンスミュージックなどを独自のサウンドに昇華するバンドthe engy(ジ・エンギー)のボーカル/ギター/キーボーディスト。トラックメイクも手掛ける。

 

 

 

ISOVOX ISOPOP BroadCast

13,200円

ISOVOX ISOPOP BroadCast

SPECIFICATIONS
▪対応機種:SHURE SM7B、SM7dB、MV7、SM58、SENNHEISER MKH 416、Electro-Voice RE20、RØDE PODMIC、PROCASTER、UNIVERSAL AUDIO SD-1、AEA KU5A、PreSonus PD-70、TELEFUNKEN M80、他(直径19〜60mmのマイクであれば装着可能) ▪重量:約34g

製品情報

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