「GAMECHANGER AUDIO Light Pedal」製品レビュー:赤外線光学センサーを採用したスプリング・リバーブ・エフェクト・ペダル

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 GAMECHANGER AUDIOが、赤外線光学センサーを採用したスプリング・リバーブ・エフェクター、Light Pedalをリリース。早速チェックしてみましょう。

トレモロ/ディレイ/フィードバックなど
6つのユニークなエフェクトを内蔵

 Light Pedalの筐体は高級感漂う黒を基調としたデザイン。トップ・パネルの中央には“リバーブ・タンク”と呼ばれるスプリングが内蔵され、その周辺には複数のノブが搭載されています。重量は1,060gとずっしりしており、ギター・ペダルとしてステージ上でも安心して使えそうです。

 

 Light Pedalは通常のアナログ・スプリング・リバーブに加え、複数の赤外線光学センサーを装備。この光学センサーはスプリング表面の振動を繊細にキャプチャーするため、複雑なハーモニクスなどのテクスチャーをエフェクトに反映することができます。ここが普通のスプリング・リバーブとは一線を画する、Light Pedal最大の特徴と言えるでしょう。

 

 それではリア・パネルのインプット(フォーン)にギターを入力して、主要なパラメーターとそのサウンドをチェックしていきましょう。まずトップ・パネル左上にあるdryノブでは、エフェクト量を調整可能。左にノブを回し切ると、リバーブ成分のみが出力されます。

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リア・パネル。左からインプット(フォーン)、スプリング・ノイズをカットするshock sensorスイッチ、DC 9Vの電源端子(センター・マイナス)、エクスプレッション・ペダルとアウトプット(いずれもフォーン)

 続くspringノブでは、スプリング・タンク内にあるトランスデューサーの出力レベルを、opticalノブでは赤外線光学センサーの出力レベルをコントロール可能。左下にあるtoneノブでは、springとopticalの出力信号に対するトーン調整が行えます。左に回すほどスプリングの金属的な高周波が抑えられ、低域がブーストされていく印象です。反対に右に回すと高域が強調され、ローカットが効いていきます。

 

 次は、トップ・パネル右上にある6つのエフェクト・セレクター・ノブ。opticsを選択すると、この真下にあるctrlノブで“光学センサーの光がスプリングに当たる位置”をセレクトすることができます。実際にctrlノブを回してみると、センサーから発せられる光の位置が変わるのにつれて、サウンドも大きく変化。光をスプリング上部に当てると、とても金属的なリバーブになります。一方光をスプリングの中央に当てると、一番テンションの緩やかな場所となるためふくよかな音色に。光をスプリング下部にフォーカスすると、少しプリディレイがかかったようなリバーブになります。ちなみにctrlノブを右に回し切ると、光がスプリング全体に照射され、スプリング・リバーブとは思えない濃密な残響音を聴くことができるでしょう。

 

 モード・セレクター・ノブをsweepにセットすると、今度はセンサーの光が上下に揺れ動き、オート・フィルターのような効果が得られます。スプリングを上下にスクロールするように光が当たるため、とても独特なサウンドに。ctrlノブを動かすと、上下に揺れ動く光のスピードを制御可能です。

 

 tremモードではセンサーの光が点滅し、トレモロのような効果が得られます。ここでは、ctrlノブで光が点滅する速さを調整可能です。出力レベルをopticalのみにし、点滅を緩やかにすると、ギターのボリューム奏法のような効果が演出できます。これをシンセ・パッドに応用するのも面白いでしょう。

 

 続くreflectモードでは、スプリングの信号がリピートされてディレイのような効果を得られます。楽器の原音ではなく、スプリングを通った信号のみをリピートするため、通常のディレイよりもローファイかつ有機的なサウンドに。これはプラグインでは絶対に得られない音でしょう。

 

 feedbackモードにするとスプリングが自己発振し、フィードバック・サウンドを演出できます。入力信号に対してレスポンスするため、音楽的なフィードバック・サウンドを作り出すことが可能です。

 

 最後のharmoincモードでは、入力信号に対して1オクターブ上と下の音をミックスできます。ctrlノブを左に回すと1オクターブ下、右に回すと1オクターブ上という具合になるのですが、よくあるエフェクターのオクターバーとは違って、スプリング・タンク内で発生させているため、個性的なサウンドが聴けるでしょう。

 

スプリング・ノイズを3段階でカット可能な
ショック・センサーを搭載

 Light Pedalでは、エクスプレッション・ペダルも併用可能です。デフォルトではctrlノブがアサインされるため、各モードにおける効果を動的に演出しながらパフォーマンスも行えます。

 

 ctrlノブの下にあるdriveノブでは、リバーブ・タンクに送られる信号レベルを調整できます。また、この下にあるgateノブではリバーブ成分のリリースを制御可能です。ノブを左に回すとリリースがだんだん短くなり、ゲート・リバーブのような効果を演出することができます。

 

 トップ・パネル上段には、tailsスイッチとlatchスイッチがあります。tailsスイッチがオンの場合は、Light Pedalをバイパスにしてもリバーブ成分は消えないため、余韻を残したままほかのエフェクト・ペダルを操作するときなどに便利です。tailsスイッチがオフの場合はリバーブ成分も同時にカットされるため、このスイッチは曲に合わせて使い分けるといいでしょう。また、latchスイッチがオンのときは通常のフット・スイッチですが、オフの場合はフット・スイッチを踏み込んでいる間のみ音が鳴ります。瞬間的にリバーブを加えたいときに使えるでしょう。

 

 そのほかにも、Light Pedal本体を揺らすと内蔵スプリングが振動します。これを利用して、キース・エマーソンのようにステージ上でスプリング・リバーブを揺らしてノイズを鳴らすというパフォーマンスも可能です。

 

 また、リア・パネルには突発的な衝撃で生じるスプリング・ノイズをカットするshock sensorスイッチ(off/soft/hard)があります。これはペダルを強く踏み込んだ際などに生じるノイズを軽減したいときに便利です。

 

 Light Pedalはクラシックなスプリング・リバーブとしても素晴らしいサウンドです。それに加えて、赤外線光学センサーの効果により、有機的かつ温かみのある音を付与することができます。ギタリストはもちろん、キーボーディストやマニピュレーターが活用することもお勧めです。中央にあるリバーブ・タンクは、入力信号の強弱に連動して赤く点灯するため、パフォーマンス時の見映えもバッチリでしょう。

 

 

阿瀬さとし(Cojok/Smash Room)
【Profile】Kco(vo、ac.g)とのアコトロニカ・ユニット=Cojokでギターとプログラミングを担当。現在Smash Roomに所属し、CMソングや映画サントラの制作、マニピュレーションもこなす。

 

GAMECHANGER AUDIO Light Pedal

42,900円

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SPECIFICATIONS
▪内蔵スプリング:3 Springs Type(100mm) ▪最大入力レベル:+6.8dBu SPL ▪最大出力レベル:+6.8dBu SPL ▪入力インピーダンス:1MΩ ▪出力インピーダンス:100Ω ▪動作電圧:9V DC(500mA) センター・マイナス ▪外形寸法:105(W)×190(H)×40(D)mm ▪重量:1,060g

 

製品情報