CLASSIC PRO CWE802M レビュー:受信機とハンドヘルド・マイク2本がセットになったワイアレス・システム

CLASSIC PRO CWE802M レビュー:受信機とハンドヘルド・マイク2本がセットになったワイアレス・システム

 音響に詳しくなくとも、ミュージシャンなら一度は耳にしたことがあるだろう“CLASSIC PRO”。コスト・パフォーマンスだけでなく、操作性、機能、サウンドにおいてもユーザーが求めているものを徹底的に追求しているブランドだ。そんなCLASSIC PROのワイアレス・システムCWE800シリーズから、2チャンネルの受信機とハンドヘルド・マイク2本がセットになったCWE802Mをテストしてみた。

SQダイヤルでノイズ・フロア・レベルの調整が可能

 CWE802Mは、受信機1台とハンドヘルド・マイク2本がセットになっており、電源アダプターとケーブル2本が付属する。受信機は受信周波数が806.125~809.750MHz、発信方式はPLL周波数シンセサイザー方式を採用。外形寸法は262(W)×42(H)×102(D)mmで重さは375gと、コンパクトで軽いのも特徴だ。

同梱される電源アダプターとケーブル×2本(フォーン)

同梱される電源アダプターとケーブル×2本(フォーン)

 前面には電源ボタンに加え、音声信号(AF)と電波信号(RF)の受信状態を確認できるインジケーター、選択中のチャンネルが表示されるLEDディスプレイおよび、チャンネル・セレクター・ボタンが2チャンネル分あり、至ってシンプルな構成になっている。周波数帯の8チャンネルの中から使用するチャンネルを2つ選ぶだけですぐに使用可能だ。

 背面には、XLR出力、フォーン出力、MIC/LINEスイッチ、SQダイヤルがそれぞれ2チャンネル分用意されるほか、ch.Aとch.Bのミックス出力、電源コネクターが搭載されている。MIC/LINEスイッチは、音声出力レベルをMICレベル(−20dB)、LINEレベル(0dB)で切り替えられるスイッチ。SQダイヤルは、回すとノイズ・フロア・レベルの調整ができる。

受信機のリア・パネル。左からXLR出力、フォーン出力、音声出力レベルをMIC(-20dB)とLINE(0dB)で切り替えるMIC/LINEスイッチ、ノイズ・フロア・レベルを調整するSQダイヤルがあり、これらが2ch分並んでいる。中央にはch.Aとch.Bのミックス出力(フォーン)、右端には電源コネクターを備える

受信機のリア・パネル。左からXLR出力、フォーン出力、音声出力レベルをMIC(-20dB)とLINE(0dB)で切り替えるMIC/LINEスイッチ、ノイズ・フロア・レベルを調整するSQダイヤルがあり、これらが2ch分並んでいる。中央にはch.Aとch.Bのミックス出力(フォーン)、右端には電源コネクターを備える

 ハンドヘルド・マイクの送信周波数は、806.125~809.750MHz。外形寸法は54(φ)×260(H)mm、重さは266gと、軽すぎず重すぎず、持ったときにしっくりくる印象だ。付属の識別用カラー・シールは現場での取り扱い間違いの防止に役立つので、ぜひとも活用してほしい。マイク1本につき単三電池が2本必要なので、リハーサル用、本番用とお忘れなく。

受信機とマイクの同期は30秒以内に完了

 実際に弊社のライブ・ハウス、原宿ストロボカフェでテストしてみた。常設しているワイアレス・マイクや、利用者が持ち込むさまざまなメーカーのワイアレス・マイクと比較しながら、CWE802Mの使用感をレビューしていく。

 まず驚いたのは、音を出せる状態にするまでの速さだ。設置してからケーブルをミキサーに接続し、電源を入れ、受信機とハンドヘルド・マイクを同期させるまで30秒もかからなかった。初めてワイアレス・マイクを扱う方でも、説明書を見ずに難なく接続ができるくらい簡単だ。

 デフォルトの設定はch.1になっているが、受信機の前面にあるチャンネル・セレクターボタンを5秒ほど長押しした後、同じボタンを何回か押していけば、ほかのチャンネルにすることができる。ハンドヘルド・マイクのチャンネルは、グリップ部分のカバーを外した所にチャンネル・セレクター・ボタンがあるので、そこから受信機とチャンネル数を合わせればよい。

ハンドヘルド・マイクのカバーを外した状態。緑色のチャンネル・セレクター・ボタンを押して、チャンネルを切り替えることができる

ハンドヘルド・マイクのカバーを外した状態。緑色のチャンネル・セレクター・ボタンを押して、チャンネルを切り替えることができる

 マイク表面の電源スイッチはちょうど握る位置にあるものの、少し硬めに調整されているので、使用中に誤って電源をオフにしてしまうことは避けられそうだ。

 カタログ・スペックの通信距離が90mとのことで、会場の外まで歩いて、どの辺りで通信が途切れるかも試してみた。直線距離にして70mくらいで途切れたが、会場フロアの厚い壁を経て1階上に上がっても、通信は途切れなかった。

 音は低域から高域までしっかりと出ており、特に中高域辺りが強めに出ている印象なので、カラオケにボーカルを乗せる場合は相性が良さそうな感じがした。ライブで使用する場合は、音楽ジャンルや楽器編成、ボーカリストの声質に合わせてEQ処理が必要になると思ったが、マイク自体に嫌な個性はなくEQ処理をすると音が素直に変わってくれるので、PAエンジニアから見ても扱いやすい製品だろう。話し声の帯域が一番よく出ているので、個人的には音楽ライブよりも講演会やトーク・セッションなどで使用するのが良さそうな印象を受けた。

 CWE802Mは同一エリア内で2セットまで使用することができるので、最大マイク4本の同時使用が可能となる。カラオケを使った4人組のアイドル・グループやコーラス・グループ、複数人でのトーク・セッションなどでの使用が想定できるだろう。2本のワイアレス・マイクがセットになっていてこの価格というのはとても手頃なので、お薦めできる製品だ。

 

吉田裕也
【Profile】ライブ・ハウス原宿ストロボカフェのPAエンジニア兼店長。ライブ・サウンドのほかにもSCANDALなどのマニピュレートも手掛けるなど、DAWソフトへの造詣も深い。

 

CLASSIC PRO CWE802M

オープン・プライス

(市場予想価格:32,800円前後)

CLASSIC PRO CWE802M

SPECIFICATIONS
●システム性能
▪チャンネル数:8ch ▪同時使用可能数:4波 ▪アンテナ方式:ダイバーシティ ▪到達距離:約90m ▪周波数帯:806.125~809.750MHz

●受信機
▪発信方式:PLL周波数シンセサイザー方式 ▪受信チャンネル数:2ch ▪SN比:100dB以上 ▪スプリアス・レスポンス:70dB以上 ▪受信感度:52dB ▪全高調波ひずみ率:1%未満(@1kHz) ▪ダイナミック・レンジ:100dB以上 ▪外形寸法:262(W)×42(H)×102(D)mm(突起部を除く) ▪重量:410g

●ハンドヘルド・マイク(送信機)
▪指向性:ダイナミック ▪周波数安定性:±0.005% ▪スプリアス発射:60dB以上 ▪電源:1.5V単三形アルカリ乾電池×2本 ▪外形寸法:54(φ)×260(H)mm ▪重量:266g

製品情報

CLASSIC PRO CWE802M

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