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CLASSIC PRO CPL4050 レビュー:3種類の出力モードを搭載したコンパクトな4chクラスDパワーアンプ

CLASSIC PRO CPL4050 レビュー:3種類の出力モードを搭載したコンパクトな4chクラスDパワーアンプ

 CLASSIC PROは、サウンドハウスがプロデュースしている業務用音響機器のブランドで、コストパフォーマンスの良い製品を多くリリースしています。今回はそのCLASSIC PROより新しくリリースされた4chパワーアンプCPL4050をご紹介いたします。

スッキリとしたデザインのフロントパネル 視認性の高い4セグメントのLEDメーター

 では早速、CPL4050の製品概要をチェックしていきましょう。1Uサイズの筐体に、定格出力が4Ω負荷で75W×4/8Ω負荷で50W×4(ステレオモード)、8Ω負荷で150W×2(ブリッジモード)のクラスDアンプが搭載されています。重量は3.6kg、奥行きは230mmとコンパクトで、設置場所を選ばないデザインだと思いました。

 外観をチェックしていきましょう。フロントパネルは、アンプの出力レベルを簡単に確認できる4セグメントのLEDメーターと大きめの出力レベルコントロール・ノブが4ch分、そして右端に照光式パワースイッチがあるスッキリとしたデザインとなっています(上掲の写真)。

 続いて、リアパネルを見ていきましょう。

リアパネル。左から電源コネクター、4ch分のスピコン出力端子、4ch分の入力端子(XLR/TRSフォーンコンボ)。A-B、C-Dの各入力端子の間にはMONO(モノラル)/STEREO(ステレオ)/BRIDGE(ブリッジ)の各動作モードに切り替えるスイッチが用意されている

リアパネル。左から電源コネクター、4ch分のスピコン出力端子、4ch分の入力端子(XLR/TRSフォーンコンボ)。A-B、C-Dの各入力端子の間にはMONO(モノラル)/STEREO(ステレオ)/BRIDGE(ブリッジ)の各動作モードに切り替えるスイッチが用意されている

 入力はXLR/TRSフォーンコンボ×4、出力はスピコン×4を装備。各チャンネルのアルファベットに対応して出力されるだけではなく、例えば、Aの出力端子の1±からCH A、2±からCH Bに出力といったように、2ウェイで簡単な接続もできるように配線されています。

 動作モードは、ステレオ/モノラル/ブリッジの3種類を用意していて、リアパネルの入力セクションに搭載されたスイッチで切り替えが可能です。ブリッジモード時は、A/C出力端子でプラスは1+、マイナスは2+から出力されるようになっています。省スペースに収めるための工夫が見られる出力配線ですね。

小規模ライブにも対応する力強くクリアなサウンド 長時間の使用にも耐えうる冷却性能

 さて、ここまでCPL4050の製品概要を見てきましたが、実際にその出力は十分であるのか、音質はどういった具合なのか? 現場で試用する前に、弊社スタジオにてチェックしてみました。10インチ2ウェイのSRスピーカーを接続して、ポータブルプレーヤーから、さまざまな音源を再生してテスト。スピーカーのボリュームを上げていくと、レベルコントロール・ノブが12時くらいでも十分迫力あるサウンドが再生されて、この結果にはちょっとびっくりしました。50Wクラスのアンプとは思えないくらい力強い迫力と、想像以上の明瞭なサウンド。これは現場での試用でも、良い結果を期待できそうです。ちなみに、400W×4chの他社製デジタルアンプとも比較してみましたが、CPL4050は価格以上の良い音質だったことをご報告させていただきます。

 次に、実際に現場に持ち出してテストしてみました。まずは、400人規模の小ホールライブでのテスト。持ち込みFOHスピーカーの中抜け用10インチ2ウェイをドライブしてみます。さすがに75Wではどうかと思いましたので、ブリッジモードの出力150Wでのテストを試みました。スピコン(NEUTRIK NL4FX)も特殊な配線をして1+/2+から出力できるように変換ケーブルを用意してドライブしました。その結果は、とても良好。聴こえやすいクリアなサウンドで、音量も十分に現場での使用に耐えうるものでした。客席前方ではしっかりと中抜け防止の効果を感じられました。ちなみに今回は、レベルコントロール・ノブの位置が3時での試用です。

 ライブは11:30〜19:30の長時間でしたが、本体が熱くなることもなく、ライブ中に何度か筐体の上面を触ってみましたが発熱していませんでした。内部にラジエーターと小型の冷却ファンがあるようで、排気音は全く気にならないレベル。この成果にもとても満足しました。

 その翌日、今度は1,500人規模の野外ライブでテスト。CPL4050で、リップフィルスピーカーをドライブしてみました。今回もアンプ設定は前日と同様、ブリッジモードでの出力150Wです。ライブが始まった10:30から終演の20:00まで、客席中央前方で存在感を放っていたサウンドは、満足のいくものでした。前日と異なり、レベルコントロール・ノブの位置をフルに振り切って使用しましたが、消費電力も100Wと小さく、この日も発熱することなく無事に1日を乗り切ることができました。

 もともとCPL4050を試用する前は、スペック面からして、実際の運用例としてはカフェのBGM用などを想定していました。しかし、今回の異なる環境/規模の現場での2日間の試用を通じて、スペック以上に使えるパワーアンプであるということが実証できたと思っております。CPL4050は、設備用の運用だけではなく、小規模ライブでの運用も見据えた導入も考えられる、実用的なパワーアンプだと感じました。

 

井上朗
【Profile】1989年にイノックスサウンドデザインを設立。日本初の西武球場コンサートを手掛け、長年にわたりスタジアム〜アリーナ級からライブハウスに至るまでのPAオペレートを担当している。

 

 

 

CLASSIC PRO CPL4050

27,800円

CLASSIC PRO CPL4050

SPECIFICATIONS
▪動作方式:クラスD ▪入力インピーダンス:バランス/20kΩ、アンバランス/10kΩ ▪入力レベル:9V ▪ステレオ出力:75W×4(4Ω)、50W×4(8Ω) ▪ブリッジ出力:150W×2(8Ω) ▪周波数特性:20Hz~20kHz ▪SN比(dBA、RMS):80dB以上 ▪ダンピングファクター(1kHz、8Ω):250 ▪感度:0.775V ▪スルーレート:33V/μs ▪クロストーク@レートパワー(1kHz、8Ω):−64 dB ▪消費電力(1/8パワー):100W ▪電源電圧:100〜240V(50/60Hz) ▪保護回路:ショート保護、DC保護、リミッター、内部温度保護、主電源異常保護 ▪外形寸法:440(W)×45(H)×230(D)mm(突起含まず) ▪重量:3.6kg

製品情報

CLASSIC PRO CPL4050

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