![ここからは、実際に田辺氏のオリジナル楽曲「Keep on movin'」がどのように作られたのか、S1によるデモ制作から録音までを、機能紹介と併せて解説してもらおう。プロジェクト・ファイルを確認しながら読み進めてほしい。](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-17.49.33-650x47.jpg)
「Keep on movin'」は、前述の通り、最終的な完成形は生楽器がメインの楽曲ですが、デモの段階ではS1のバーチャル・インストゥルメントで各パートをシミュレートしています。まずはどんな曲にするのか、デッサンということでワン・ハーフ(ワン・コーラス+サビ)だけ作ります。ここから後々どんな生演奏をダビングするか考えながら、作曲/アレンジを同時に進めていきます。作家によっては(時間がないときは筆者も)メロ、コードだけ作り、後でアレンジしますが、今回はコンセプトがはっきりしていたので、大まかなコードとメロディ・ラインを同時に作って、それに沿ったアレンジを各パートに施していきました。そしてガイドのメロディ・ラインは、S1の付属音源Presence XTの“Grand Piano”の音色を使って確定していきます。
![14GBの大容量ライブラリーのほとんどが刷新されたサンプル・プレーヤーPresence XT。アコースティック楽器を基本に、ほぼすべてのプリセットにアーティキュレーションを変えるキー・スイッチを搭載した。今時のオケにも埋もれない太さと表現力豊かなプログラミングがされている。FXモジュレーション・マトリクスを搭載し、より複雑な音色のエディットが可能](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P114-画面①-650x465.png)
![ある程度のズームをすることにより、バーに音名が表示されるようになったピアノロールの画面。視認性が高まり、作業効率の向上につながる](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P114-画面②-650x408.png)
![ボーカル・レコーディングの際、プレイヤーとスタジオ側のモニター・バランスが、大きく違うことがある。その場合、S1の入出力設定で、オーディオ・インターフェースからパラアウトしてブース内のミキサーなどに送り、DAWのセンドからそれぞれのアウト先を選択。プレイヤーが独立してヘッドフォン・バランスを作れるという仕組みを構築した](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P115-画面③-423x470.png)
![スクリーンショット 2015-08-20 17.52.19](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-17.52.19-650x34.jpg)
![今回Ver.3の新機能の中で、ほかのDAWにはないオリジナル機能が“スクラッチパッド”。アレンジビューとは別の独立した時間軸で作業することが可能。例えば、ワン・コーラス制作後に構成を決める際、パート内にちょっとした変化(1コーラス目と2コーラス目の演奏違いのバリエーションなど)をオリジナルに変更を一切加えないで試すことができる。またもう1つの新機能“アレンジトラック”は、既存のマーカーより、さらにセクション認識が簡単にできるようになった。スクラッチパッドへの移動も、このアレンジトラックを作っておくとドラッグ&ドロップで可能。これを利用して、スクラッチパッド上でパターンを作り、アレンジトラックに張り付けて構成を作り上げて行くことや、まだ検証中だが、スクラッチパッドでライブ曲を複数管理することもできそうだ](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P115-画面④-650x230.png)
![スクリーンショット 2015-08-20 17.59.35](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-17.59.35-650x45.jpg)
![スクリーンショット 2015-08-20 18.01.20](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-18.01.20-650x54.jpg)
![S1のクオンタイズは、画面上部のツールバーの“Q”をクリックするとパネルが開きます。そこで、グリッドかグルーヴのモード選択、音価、連符とスウィング、スタート、エンド、ベロシティなどの設定をして実行。よく使う設定は最大5つまでプリセット保存可能で、さらにそれらはキーボード・ショートカットにアサインできます。筆者の場合はちょっと特殊で、パソコンのキーボードの左下、Z/X/C/Vと左から順に、主に左手だけでできるように割り当てています。](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P116-1_クオンタイズ-650x417.png)
![スクリーンショット 2015-08-20 18.01.29](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-18.01.29-650x54.jpg)
![ベロシティ・コマンドは、DAWで打ち込む際に、音楽の表現力を決める最も大事なエディットの1つですが、S1ではもともとショートカットが割り当てられていません。ですがよく使うコマンドなので、筆者は単純に“V”をアサインしています。“加算”“圧縮”“すべてを次に”のパラメーターがあり、数値入力とパーセンテージで変化させます。それぞれの項目にショートカットはアサインできないので、そこの選択は一つ一つ手動でやっています。](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P116-2_ベロシティ-650x452.png)
![スクリーンショット 2015-08-20 18.01.37](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-18.01.37-650x54.jpg)
![S1では“長さ”というコマンドで、よく使う機能は“レガート+オーバーラップ修正”だと思います。ノートとノートをレガートにつなげるコマンドですが、アルペジオやミュートの音色の長さを一定にする場合にも重宝しています。こちらはショートカットをアサインできるので、筆者はctrl+Dを割り当てています。](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P116-3_デュレーション-650x428.png)
![スクリーンショット 2015-08-20 18.01.45](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-18.01.45-650x54.jpg)
![複数のノートもしくは全体のキーを変更するコマンドです。こちらも“加算/減算”“すべてを次に”のパラメーターがあり、±2オクターブのシフト・チェンジもできます。ピアノロール内であれば、Shift+↑/↓でオクターブ・シフトさせることができ、↑/↓では半音単位で動かすことが可能です。](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P116-4_トランスポーズ-650x455.png)
![スクリーンショット 2015-08-20 17.59.50](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/スクリーンショット-2015-08-20-17.59.50-650x45.jpg)
![ボーカルやギター・ダビングの後、気になるピッチ修正のためにMelodyneを活用するが、ピッチだけではなくタイミングの調整、ブレス、スクラッチ・ノイズなどの軽減にも役立つ。S1はMelodyneが組み込まれている(Melodyne Essentialが付属する)ので、プラグイン版のようにリアルタイムでキャプチャーする必要がなく、リージョンを選択し、メニューから“Melodyneで編集”を選べば、一瞬にエディット準備完了](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P117_画面⑤-650x258.png)
![Studio One 3をWi-Fi経由でコントロールするアプリ“Studio One Remote For iPad”は、反応が速く、無償である点も魅力。DAWのフェーダー画面がそのまま表示され、上部にはアレンジトラックで作成したバーも表示される。カスタマイズ可能なソフト・エディット・ボタンも作業効率を上げるために役立つ機能だ](https://rittor-music.jp/sound/wp-content/uploads/sites/7/2015/08/P117_写真③_IMG_2433-650x433.jpg)
- Studio One 3をWi-Fi経由でコントロールするアプリ“Studio One Remote For iPad”は、反応が速く、無償である点も魅力。DAWのフェーダー画面がそのまま表示され、上部にはアレンジトラックで作成したバーも表示される。カスタマイズ可能なソフト・エディット・ボタンも作業効率を上げるために役立つ機能だ
![Studio One Remote for iPadのメイン画面](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901163624.png)
- Studio One Remote for iPadのメイン画面