PIONEERブランドの同軸型パワード・モニターRM-07を星野誠が試す!

近年のDAW中心による音楽制作において、プライベート・スタジオで作業するクリエイター/エンジニアが増えてきた。また、音源の高解像度化が進み、正確なモニタリング環境も求められるようになっている。そんなニーズに応えるべくPIONEER DJ社が発表したのが、PIONEERブランドの2ウェイ同軸型パワード・モニターRMシリーズ。TADのテクノロジーを受け継ぐ本機を、エンジニアの星野誠氏が試聴し、そのインプレッションを語ってもらった。

音源のクオリティを忠実に再生できる本機のようなスピーカーで
皆さんも音楽を聴いて、その表現力を体感してほしいです


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音のスイート・スポットがハッキリしていて
“点音源”を実現している


RMシリーズは、6.5インチ・ウーファーのRM-07と5インチ・ウーファーのRM-05の2種類をラインナップ。それぞれ、50kHzまでの再生に対応するために開発された1.5インチの“HSDOM”ツィーターを搭載し、高い解像度の音源再生にも対応する。本機は、著名なスタジオに導入されているブランド、TADのテクノロジーを受け継ぐ新開発の同軸ドライバーを採用することで、音像定位を確認しやすい“点音源”を実現している。今回星野氏はRM-07を試聴。第一印象を次のように語ってくれた。「同軸スピーカーは、いわゆるアコースティック感を大事にする人がよく使うイメージでした。つまり、位相感やステレオ感が見えやすいということ。RM-07は新開発のツィーターを搭載していますが、まず聴こえてくるのは中域でした。アコースティック・セッションの楽曲では、中域のコード感、ピアノのふくよかさにプラスして、高域のドラムのトップの空気感、奥行き感の表現力が素晴らしかったです。また“点音源”再生を実現しているということで、セッティングにもシビアになりました。角度や付属のゴム足での調整で、聴こえてくるビジョンが変わるほど、ステレオ感を忠実かつ繊細に再現しているのでしょう。全体としては、さまざまな特色を持った同軸スピーカーがある中、RM-07は素直な出音で、モニターらしい製品だと思いました。僕がメインで使っているYAMAHA NS-10Mと切り替えて試聴してみたら、中域のフラットなイメージは変わらず、かといって低域が足りないこともない。ピアノのノイズになりそうな低音もしっかり再生され、好感を持てましたね」

録った部屋の広さが分かるくらい
クリアな音像


RMシリーズの筐体は高い剛性を持つアルミダイキャスト製。不要な振動を抑え、木製のそれに比べて内部容積を大きくすることができ、低域の再生に余裕を持たせている。また、筐体内、ポート部に設置した音響管は、独自技術の“AFSTテクノロジー”により、定在波の除去が可能。よりクリアな再生音を実現しているわけだ。星野氏もその点について次のように評価する。「アコースティック・セッションのドラムのトップ・マイクを聴くと、部屋の広さや造り、例えば木の部屋で録ったんだなというのがハッキリ分かるくらいクリアな音像なんですよ。これが同軸スピーカーのもたらす定位感で、素晴らしいなと思いました。また、EQをブーストしてスウィープさせて周波数帯域を追い込むチェックをしてみたら、5kHz周辺が少しへこむように聴こえました。この辺りは、楽器や歌の“痛い”帯域なんですけど、派手に聴こえる要素でもあります。この帯域をどう処理するかは好みが分かれますが、僕は音量を上げても疲れなくて、作業しやすいと感じました。このスピーカーでミックスする場合、その帯域を上げながら作業すると思うので、結果出来上がりの音は派手になるでしょうね」最後に星野氏は同スピーカーの在り方について、次のように締めくくってくれた。「50kHzまで再生能力があるというのは、高解像度の楽曲制作が増えた現代の音楽シーンならではですし、空気感/奥行き感を表現するのには大切なんだろうなと思います。ただ、僕が第一印象でも述べた中域の表現力は素晴らしく、これからも音楽に対する中域の重要度は変わらないので、そのフォーカスがしっかり合っているRM-07はすごく良いですね。皆さんも、音源のクオリティを忠実に再生できる本機のようなスピーカーで音楽を聴いて、その表現力を体感してほしいですね」RMmain 
▲リア・パネルのコントロール部のノブは、左からLEVEL(−40dB〜0dB)、LOW EQ(−4/−2/0/+2dB@50Hz)、MID EQ(−4/−2/−1/0dB@140Hz)、HIGH EQ(−2/−1/0/+1dB@10kHz)。下部の入力端子はRCAピンとXLRを装備している。その右はオート・スタンバイで、約25分以上音声入力が無い場合に電源を切る機能 ▲リア・パネルのコントロール部のノブは、左からLEVEL(−40dB〜0dB)、LOW EQ(−4/−2/0/+2dB@50Hz)、MID EQ(−4/−2/−1/0dB@140Hz)、HIGH EQ(−2/−1/0/+1dB@10kHz)。下部の入力端子はRCAピンとXLRを装備している。その右はオート・スタンバイで、約25分以上音声入力が無い場合に電源を切る機能

SPECIFICATIONS


●形式:バイアンプ2ウェイ・アクティブ同軸モニター・スピーカー
ウーファー:6.5インチ・アラミド繊維コーン/RM-07、5インチ・アラミド繊維コーン/RM-05
ツィーター:1.5インチ・アルミニウムHSDOM
周波数特性(-10dB):40Hz〜50kHz/RM-07、45Hz〜50kHz/RM-05
最大音圧レベル(1m/ピーク):109dB SPL/RM-07、104dB SPL/RM-05
クロスオーバー周波数:1.6kHz/RM-07、1.7kHz/RM-05
アンプ出力(クラスAB):100W(LF)+50W(HF)/RM-07、50W(LF)+50W(HF)/RM-05
入力インピーダンス:10kΩ
入力感度:−40dB〜+6dB
EQポイント:50Hz、140Hz、10kHz
外形寸法:244(W)×337(H)×260(D)mm/RM-07、203(W)×281(H)×225(D)mm/RM-05
重量(1本):12.3kg/RM-07、9.3kg/RM-05 製品の詳細は→http://pioneerproaudio.com