TASCAMのMIDI/オーディオ・インターフェースUSシリーズが、さまざまな新機能を搭載し新たに生まれ変わった。チャンネル数などの違いで、US-2×2、US-4×4、US-16×08の3機種をラインナップしていたが、このたび、最上位機種となる20イン20アウトのCelesonic US-20×20が登場。内部のチップからデザインまで、音質/機能/操作性にこだわり開発された本機について、TEAC音響機器事業部の小泉貴裕氏、福島弘基氏、後藤秀明氏、早坂要氏に話を聞いた。
8基のマイク・プリと3モード切替を搭載した
20イン20アウトのオーディオ/MIDIインターフェース
独自のUltra-HDDAマイク・プリアンプを搭載
高いダイナミック・レンジ性能を実現
さまざまなラインナップをそろえるUSシリーズ。今回登場したCelesonic US-20×20は、最大24ビット/192kHzに対応し、Ultra-HDDAマイク・プリアンプを8基搭載した最上位モデル。入力は8系統のXLR/TRS、2系統のTRSに加え、S/PDIF COAXIAL、光デジタル端子によるマルチチャンネル・デジタル入力を装備し、合計20chの同時入力(44.1/48kHz動作時)が可能。出力は10系統のTRS出力、S/PDIF COAXIAL、光デジタル端子の搭載で、20chの同時出力を実現している。接続タイプはUSB 3.0(Windows10環境)またはUSB 2.0。Mac/Windowsのほか、APPLE iPadなどのiOSデバイス接続も可能となっている。DAWと連携した通常のインターフェース・モードのほか、パソコンとの接続を前提としないマイク・プリ・モード、ミキサー・モードの3モード切替で高い汎用性を実現しており、DSPミキサーも搭載している。まずは本機の開発コンセプトについて、製品企画を担当した小泉氏に聞いてみよう。「Celesonic US-20×20は最後のとっておきと言えるような製品です。基本的なコンセプトは、音質の良さ、そして使いやすさの2つを軸にしています。過去からエントリー向けの製品を多く発売してきましたが、多チャンネルでワード・クロックからデジタル入出力まで搭載した機種はなかったんです。そういった機能を搭載したモデルの要望をいただいいていた経緯もあり、今回シリーズを一新する際に、ハイエンドのモデルをラインナップすることにしました。ターゲットとしては、個人のクリエイター/エンジニアの方に使ってもらいたいと思っています」録音音質の決め手は、ディスクリートで構成された独自のUltra-HDDAマイク・プリアンプだ。開発リーダーの後藤氏がそのこだわりについて解説してくれた。「Ultra-HDDAはオペアンプに雑音特性に優れたNJM5532を使用して、音を極めました。あえてトランジスタをディスクリートで組み、ゲインをたくさん稼いでいます。さらに、低ノイズにこだわり、EIN(等価入力雑音)は-125dBuを達成しました。使用しているICや、AD/DAコンバーターもこれまでのモデルより高級な物を使用しています。チップ1枚でもできるところを、わざわざディスクリートにしたことで、自社のノウハウを生かしたパーツ選び、音作りにこだわることができたのです。下位モデルからUltra‒HDDAを搭載していますが、より高いオーディオ性能を得るために、ボリューム・ノブなど、このモデルにしか使っていないパーツも幾つかあるんですよ」
![▲ディスクリート構成のUltra-HDDAマイク・プリアンプ部。ノイズの少なさを示すEIN-125dBuを達成し、コンデンサー・マイクからダイナミック・マイクまで幅広く対応する](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901164052.jpg)
汎用性の高い機能を実現するための
インターフェース/マイクプリ/ミキサー・モード
Celesonic US-20×20に搭載されたモード切換について、小泉氏が語る。「最近は、1人のミュージシャンが作曲からエンジニアリングまで、いろんなことをやっていますよね。いろんなシチュエーションがあるので、汎用性の高い機材にしたいとと思い、モード切替え機能を搭載しました。例えばスタジオにはAVID Pro Toolsが標準的にありますから、オーディオ・インターフェース単体ですと持ち出すことはあまりないですよね。でもマイク・プリ単体として、もしくはライブのPA用ミキサーとしても使えるので、どこにでも持って行って使ってほしいと思っています。そうやって長く使っていただけたらなと。特にマイク・プリとしては一生使っていける性能を持っていると思いますよ」
![▲フロント・パネルに独立して搭載されたモード切換ボタン。DAWのインターフェース・モードのほか、パソコンとの接続を前提としないマイク・プリ・モード、ミキサー・モードを搭載し、さまざまなシーンに活用可能となっている](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901164048.jpg)
![▲筐体デザインはアクセル・ハートマン氏によるもの。衝撃から本体を守るメタルジャケット仕様で、わずかに角度をつけたアングルド・デザインにより、デスクトップに前面で操作する際の使用に配慮している。またラックにマウントして使用できるように、ラック・マウント・アダプターも付属する](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901164034.jpg)
![▲DSPミキサー画面。すべての入力チャンネルにローカット・フィルターを装備したEQ、コンプレッサーを装備。ミキサーの設定は10パターンまで記憶できるほか、パッチベイも搭載。また、モニタリングやPA/SRに活用できるリバーブ・エフェクトも内蔵している。上部タブで、ミキサーのほかドライバーの現在のステータス(INTERFACE)、出力設定(OUTPUT SETTING)を確認/設定が行える](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901164037.jpg)
![▲今回話を伺ったTEAC音響機器事業部の小泉貴裕氏、福島弘基氏、後藤秀明氏、早坂要氏(左から順に)](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901163929.jpg)
![▲リア・パネルには左からCOAXIAL IN/OUT(RCAピン)、USB(3.0/2.0 Bタイプ)、OPTICAL IN/OUT(ADAT)、WORD IN/OUT(BNC)、ライン・アウト1〜10(TRS)、ライン・イン9/10(TRS)、AUTO POWER SAVEスイッチ、DC IN](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/snrec/20220901/20220901164045.jpg)
SPECIFICATIONS
□接続タイプ:USB 3.0(Windows10)、2.0
□入出力:10イン/10アウト(アナログ)、10イン/10アウト(デジタル)
□ビット&レート:最高24ビット/192kHz
□外形寸法:445(W)×59(H)×222(D)m
□重量:2.7kg
●マイク入力1〜8/ライン入力3〜8
□ゲイン・レンジ:−12dBu〜−68dBu/+4dBu〜−52d
□入力インピーダンス:2.4kΩ/10kΩ
□最大入力レベル:+8dBu/+24dBu
●インストゥルメント入力1/2
□ゲイン・レンジ:−12dBV〜−68dB
□入力インピーダンス:1MΩ以上
□最大入力レベル:+8dBV
●ライン出力1〜10
□出力インピーダンス:100Ω
□最大出力レベル:+24dBu
□周波数特性:20Hz〜20kHz(44.1kHz/48kHz時)、20Hz〜40kHz(88.2kHz/96kHz時)、20Hz〜89kHz(176.4kHz/192kHz時)◎Celesonic US-20×20製品紹介ページ→http://tascam.jp/product/us-20x20/