
キャラクターの立ったものが多数!
FL Studioの標準搭載プラグイン
Ujico*/Snail’s Houseです。前回に続き、僕が普段使っているIMAGE-LINE FL Studioについて書いてみます。今回は、標準搭載されている特徴的なプラグインの使い方を紹介していきましょう。
Vocodexに入れたコードやベースを
ボーカル素材でモジュレーション
まずはボコーダーのVocodex。ボコーダーと言えばロボット・ボイスのようなサウンドを生み出す使い方が有名ですが、仕組みとしては、基本となるシンセ音(=キャリア)を人の声でモジュレーションすることにより、ああいったサウンドを生成しています。

それでは僕が普段、Vocodexで行っているボーカル・サンプルの処理を解説してみます。ここでは分かりやすいようにFL Studioの純正ツールのみで話を進めてみましょう。まずは3オシレーターのシンセ3X OSCを起動。OSC1をノコギリ波にして、OSC2と3は出力しないように設定し、“Phase Rand”(位相のランダム化)のノブを最大値に振り切ります。次に3X OSCでコードを鳴らし、その出力をミキサーのCh5に設定。チャンネル下部の▲アイコンから“Route to this track only”を選び、Ch5をCh6にルーティングします。この設定によりCh5の音が直接マスターへ行かなくなり、Ch6から出力されます。続いてはCh7にボーカル・サンプルを入れ、同じやり方でCh6にルーティング。Ch5をRch、Ch7をLchに振ります(このパンニングについては後述します)。


次にVocodexをCh6へ立ち上げ“L-R ENCORDING”をアクティブに。この機能を入れると、Vocodexを立ち上げているチャンネルのRchの音をキャリア、Lchの音をモジュレーターとして使用できます。さっきのパンニングはこのためだったわけですね。これで3X OSCの音(キャリア)をボーカル・サンプルでモジュレーションできるようになります。ただしそのままでは使いづらい音なので、Vocodex上のBandwidthノブなどを回してちょうど良いサウンドになるまで調整してみましょう。
ひねった音にしたい場合は、シンセをSytrusに変更します。FL Studio純正で、マルチシンセシス・エンジンを備えたものですね。例えば“Pulstar”というプリセットを選ぶと、16分音符刻みでボーカルがオン/オフするようなサウンドに。また純正のFruity Reeverbで空間と質感を作れば、オケとのなじみがさらに良くなります。

次はベースの音をキャリアにしてみます。純正シンセのHarmorなどでベース・ラインを鳴らしたら、3X OSCのときと同様のルーティングを実行。次にボーカル・サンプルを選択しプレイリスト(トラック画面)上にドラッグ&ドロップしたら、発音タイミングと長さをベースのパターンに合わせます。長さの調整はタイム・ストレッチ機能で行うため、最初から“あ〜”といったようなロング・トーンを選んでおいた方が音質変化の面でも有利でしょう。この素材をHarmorとは違うミキサー・チャンネルに立ち上げ、あとは3X OSCのときと同じ設定を続けます。

さて、ベースをボコーディングすると、低域に暴れが生じがちです。そこでFruity Parametric EQ 2でローカットを施した上で、邪魔な帯域を削っていきます。しかしこの処理で低域が減ってしまうため、その補完として3X OSCのサイン波などをベース・ラインのMIDIで鳴らし、ボコーディングした音とミックスしてみましょう。

全12種類のエフェクトを
X/Yパッドで扱えるEffector
Vocodexに続いては、Effectorという純正エフェクトの使用法です。ドラム・サンプルをロードしてパターンを鳴らしていくだけだと物足りないときに、質感を変えたり、ひねった音にするのに重宝します。

まずは基本的なドラム・パターンを構築し、そのチャンネルにEffectorを立ち上げます。次に画面下部から任意のエフェクトを選択。全12種類ですが、ここではLO-FIを選んでみましょう。画面上のX/Yパッドのクロス・ポイントをデフォルトの位置から動かすと、音が変化します。これをキマっていると思える位置に設定した後、オートメーションを描きます。例えば、X軸の値を動かすことで得られる質感変化をオートメーションで制御したい場合、“X PARAM”ノブを右クリックして“Create automation clip”を選択。するとプレイリスト上にオートメーション・クリップができるため、右クリックでカーブを描くことで質感を部分的に変えたりもできます。
チャンネルのルーティングで
サイド・チェイン・コンプを設定
次はFL Studioでの基本的なサイド・チェイン・コンプのかけ方について解説します。一例として、3X OSCのシンプルなサイン波にキックをトリガーとするサイド・チェインをかけてみましょう。まずはトリガーとなるキックを作成。僕はドラム・キットのキックとは別途、トリガー用に短めのキックを用意します。このトリガー・キックのチャンネルを“Sidechain to this track”というメニューで3X OSCのチャンネルにルーティング。マスター・チャンネルには行かず、3X OSCのチャンネルに立ち上げるコンプへサイド・チェイン入力できるようになりました。

使用するコンプは、標準搭載のコンプ/リミッターFruity Limiter。画面上の“SIDECHAIN”を“1”に設定すれば、自動的にサイド・チェイン・モードに切り替わります。あとはトリガー・キックをドラム・キットのキックと同じパターンで鳴らし、コンプの各パラメーターを調整するだけ。使用するキック・サンプルやどのくらいコンプレッションしたいかによって設定が変わるので、出音を確かめながら一番しっくりくるセッティングを作ってみましょう。

最後に少し変わったエフェクト、Gross Beatを紹介。原音の発音タイミングやボリューム・エンベロープに変化を加えられるもので、例えばドラムにかけると簡単にフィルやグリッチを作れます。シンセなどにも同様の効果を与えられるため、普段と違う音が得られるでしょう。

今回はここまでとなりますが、次回もFL Studioについて僕なりの視点で書いていきますので、お楽しみに!
FL Studio シリーズ・ラインナップ
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