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Maozonが使う「FL Studio」第1回

ASY「S.T.A.R.S.」の制作を例に
ソフトとしての使いやすさを紹介!

こんにちは、Maozonです。今回からIMAGE-LINE FL Studioの連載を担当することになりました。よろしくお願いします。僕がFL Studioを使い始めたのは高校生のころ。価格のリーズナブルさなども手伝って購入したのですが、触ってみると非常に扱いやすく、愛用し続けています。また一度購入すれば、永続的に最新版へと無償アップデートできるのも魅力。DAW初心者の方にもお勧めです。今回のテーマは、僕が以前トラック・メイクを担当させていただいたASYの「S.T.A.R.S.」。まずはソフトの基本機能に触れてから、本題に入ります。

ショートカットなどが充実していて
使い勝手抜群のピアノロール

FL Studioには音源やプラグイン・エフェクトがたくさんプリセットされていますが、僕が最も気に入っているのは“操作性”。特にピアノロールの使いやすさは特筆モノです。一例を挙げると、消去したいノートがある場合に右クリック一発でデリートできるのはとても便利。またショートカットがすごく充実していて、例えばWindowsキーボードの右シフト・キーを押しつつノート上をドラッグすると、スライス・ツールに持ち替えずとも分割できるんです。あと、僕はまれにしか使わないのですが、和音の入力機能“Chord”も便利だと思います。メニューにはsus4やaugなどのコード属性を表す言葉が並んでいるので、好きなものを選んでノートを入力すれば、そのノートをルートにしたコードが自動的に打ち込まれます。

◀FL-Keysを鳴らしているピアノロールの画面。コンピューター・キーボードの右の方のシフト・キーを押しつつ、ノートの上をドラッグでなぞるとカーソルが現れ(赤枠)、その位置でノートを分割することができる。分割したいノートと位置さえ決まれば、スムーズに作業できるのが魅力 ▲FL-Keysを鳴らしているピアノロールの画面。コンピューター・キーボードの右の方のシフト・キーを押しつつ、ノートの上をドラッグでなぞるとカーソルが現れ(赤枠)、その位置でノートを分割することができる。分割したいノートと位置さえ決まれば、スムーズに作業できるのが魅力

僕はピアノロールをメインに打ち込みしていますが、ステップ・シーケンサーも重要な機能。皆さんもご存じの通り、FL Studioには音源やオーディオをロードするための“チャンネル”(ほかのDAWで言うところのトラック)、各チャンネルのエフェクト処理や音量調整に使用する“ミキサー”、プロジェクト全体を時間軸上で見渡せる“プレイリスト”といったセクションが設けられています。ピアノロールやステップ・シーケンサーはチャンネルに標準装備の機能で、パターンを作成することが可能。ステップ・シーケンサーは最大64ステップですが、僕は普段16ステップに設定し、ドラムの打ち込みなどを行っています。ただしステップ分解能が16分音符までなので、32分音符などを入力したいときはピアノロールの出番。作成したパターンはチャンネル上部のセレクターで選択し、プレイリストにクリップとして張り付けられます。FL Studioがループ・ミュージックに強いと言われるのは、こうしたパターン主体の曲構成が行いやすいからでしょう。

▲FL Studioの各セクション。それぞれステップ・シーケンサーなどを装備したチャンネル(赤枠)、ミキサー(黄枠)、プレイリスト(青枠) ▲FL Studioの各セクション。それぞれステップ・シーケンサーなどを装備したチャンネル(赤枠)、ミキサー(黄枠)、プレイリスト(青枠)
▲各チャンネルのピアノロールやステップ・シーケンサーで作ったパターンは、チャンネル・ウィンドウ上部のパターン・セレクターで選択し(赤枠)、プレイリストにクリップとして配置できる(青枠)。こうして複数のパターンをつなげたり、曲の全体像を見渡すことが可能となる ▲各チャンネルのピアノロールやステップ・シーケンサーで作ったパターンは、チャンネル・ウィンドウ上部のパターン・セレクターで選択し(赤枠)、プレイリストにクリップとして配置できる(青枠)。こうして複数のパターンをつなげたり、曲の全体像を見渡すことが可能となる

オーディオ素材のロードには
Fruity Slicerが大活躍

「S.T.A.R.S.」に関しても、パターンを主体に制作。最初に作ったのはイントロのコード進行。柔らかい雰囲気のエレピ音色は、FL Studioに標準搭載のピアノ音源FL-KeysとNATIVE INSTRUMENTS Massiveの音をレイヤーしたものです。余談ですが、僕は音源のプリセットを一切使わないんです。ほかの人が作った音だからか、なぜか自分の曲にフィットしにくいんですね。なのでイチから作った方が何かとスムーズなんです。

コードの次は曲の骨格を成す部分=ドラムを作りました。キックやスネアはワンショット・サンプルをステップ・シーケンサーで入力。ハイハットに関してはVENGEANCE SOUNDのオーディオ・ループを使いましたが、チャンネルへのロード方法が独特です。FL Studioは画面左のブラウザーから素材を選び、読み込む仕様。その際、チャンネルにFruity Slicerというオーディオ・エディターを立ち上げた状態でロードすることができるのです。先のドラム・ループにはこの方法を採りました。Fruity Slicerにオーディオを読み込むと、拍単位で分割することができます。また1拍単位での分割や1/3拍ごと、1/4拍ごと……といったように選択肢が用意されているので、好きな設定が選べます。このドラム・ループは“Medium Auto-slicing”という設定で分割。処理した後はループに含まれる各打楽器が分かりやすく表示されるので、それぞれを個別に動かしたり削除するなどしてパターンに変化を与えられます。波形編集の必要が無いわけですね。

しかし、このドラム・ループはエディットしていません。ではなぜFruity Slicerを使ったのか……? それは、“オーディオの再読み込み”というプロセスを省略することができるからです。僕は曲を作っているときにプロジェクトのテンポを変えることがよくあるのですが、そうすると当然オーディオのストレッチが発生します。FL Studioではストレッチを行うとデータの再読み込みが始まるため、その間作業を中断せざるを得なくなります。オーディオをたくさん使っているほど、テンポ変更のたびに結構な待ち時間を要するわけですね。しかしFruity Slicerに読み込んでおけば、再読み込み無しにストレッチ/テンポ変更できるので作業が滞らないのです。

▲画面は、ハイハットなど複数の打楽器を含むドラム・ループをFruity Slicerに読み込んだところ。フレーズが拍で分割され(赤枠)、それによって生成されたエレメントが“Slice #1”“Slice #2”……と名付けられて、独自のGUIに反映されている(青枠)。このGUIでは任意のエレメントを消したり動かしたりすることが可能で、フレーズに変化を加えられる ▲画面は、ハイハットなど複数の打楽器を含むドラム・ループをFruity Slicerに読み込んだところ。フレーズが拍で分割され(赤枠)、それによって生成されたエレメントが“Slice #1”“Slice #2”……と名付けられて、独自のGUIに反映されている(青枠)。このGUIでは任意のエレメントを消したり動かしたりすることが可能で、フレーズに変化を加えられる

ピアノロールでサクサク書ける
ピッチ・ベンドのオートメーション

ドラムを打ち込んだ後はオケをプレイバックしながらMIDI鍵盤を弾き、リードなどのメロディックなフレーズを作成。鍵盤を弾くうちに良いメロディが出てきたら、ピアノロールにマウスで打ち込んでいきました。音源は主にMassiveを使用しましたが、音作りではFL Studioのピッチ・ベンド・オートメーションが大活躍。僕はピッチ・ベンドのニュアンスが大好きで、この曲でもベースやシンセ・リードに使っています。ピッチ・ベンドを多用したリードは、一部の方から“Maozonリード”と言われているようなのですが、この曲のリードはそう呼ぶには少しおとなしいかもしれません(笑)。ピッチ・ベンドのオートメーションは、ピアノロール下のエリアで書くことが可能。マウスのドラッグで操作できるので、作業がスムーズですね。プレイリスト上でも書けますが、細かい動きを付けたい場合はピアノロールの方がうまくいくと思います。

▲ピアノロールの下側では、ピッチ・ベンドのオートメーションを書くことができる。マウスのドラッグ操作により、絵を描くようにオートメーション作成できるため、非常に直感的だ(青枠)。奥の画面はベースのピアノロールで、手前はシンセ・リードのもの。それぞれ赤枠で囲んだ部分にピッチ・ベンドがかかっており、フレーズに生き生きとした感じが加わっている ▲ピアノロールの下側では、ピッチ・ベンドのオートメーションを書くことができる。マウスのドラッグ操作により、絵を描くようにオートメーション作成できるため、非常に直感的だ(青枠)。奥の画面はベースのピアノロールで、手前はシンセ・リードのもの。それぞれ赤枠で囲んだ部分にピッチ・ベンドがかかっており、フレーズに生き生きとした感じが加わっている
▲ピッチ・ベンドをはじめとする各種オートメーションは、プレイリスト上で書くことも可能。画面上段のトラックにはFL Studioに標準搭載のFruity Filterのカットオフ周波数、下段のトラックにはNATIVE INSTRUMENTS Massiveのフィルター・エンベロープのオートメーションが書かれている。細かいオートメーションはピアノロール、大きな動きはプレイリストという風に筆者は使い分けている ▲ピッチ・ベンドをはじめとする各種オートメーションは、プレイリスト上で書くことも可能。画面上段のトラックにはFL Studioに標準搭載のFruity Filterのカットオフ周波数、下段のトラックにはNATIVE INSTRUMENTS Massiveのフィルター・エンベロープのオートメーションが書かれている。細かいオートメーションはピアノロール、大きな動きはプレイリストという風に筆者は使い分けている

 さて、シンセの音をより良く聴かせるためにはエフェクトも重要。ということで、次回はFL Studioに標準搭載のエフェクトをテーマにお話ししたいと思います。

FL Studio シリーズ・ラインナップ

FL Studio 12 All Plugins Bundle(92,583円)
FL Studio 12 Signature Bundle(パッケージ版のみの販売:31,000円)
FL Studio 12 Producer Edition(22,222円)
FL Studio 12 Fruity Edition(11,852円)

<<<Signature Bundle以外はbeatcloudにてダウンロード購入可能>>>