ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「導通向上クリーナー」

“原音忠実”の理念の下、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回のテーマは導通向上クリーナーのECI-50だ。これをアウトボードなどに試していただき、効果をレビューしてもらおう。

第18回「導通向上クリーナー」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

ECI-50は、接点をクリーニングすると同時に導通性も向上させ、さらに接点の保護と安定化を実現する“一石三鳥”の効果を備えています。ECI-50は、高分子オイルの中にナノレベルのダイヤモンド・カーボン粒子を含んでいます。これが接点の点接触の部分に集まっていく“量子効果”と呼ばれる作用により、接点を増大させ、時間の経過とともに導通性がみるみる向上。24時間後には安定状態となり、効果は長期にわたって継続します。

例えば、コンピューターのLAN端子などに塗布すると、転送速度が最大で20~30%も速くなるなど効果絶大です。また、ほかの接点材のように接点を汚すこともなく、樹脂を破壊する界面活性剤や絶縁材となるポリマーなどを使用してもいないため、安全にクリーニングと導通特性の向上を実現。音質的副作用の発生もありません。

ビンテージ・アウトボードなどは、経年劣化によりあらゆる接点に接触不良が発生しています。ガリの発生などは接触不良の最たるものですが、大きなノイズにつながらずとも微細な接点の接触不良は各所で発生しており、これがシステム全体のS/Nやひずみ率などを悪化させています。ECI-50は、これらの接触不良を完全に解消しますので、低ひずみで高S/Nなエネルギー感にあふれた音質へと、劇的なクオリティ・アップが可能となります。

<Price>
●ECI-50(容量50ml):8,800円

Cross Review

Engineer
三好敏彦
M<Profile>HAL STUDIOを拠点とし、ビンテージ機器やケーブル類まで造詣が深いエンジニア。Superfly、Little Glee Monster、坂本真綾、安野希世乃などを手掛けてきた。

低〜中低域が充実しビッグな音に
液体が透明なのも現場向けの特徴

アウトボードなどビンテージ機材の多いスタジオでは接点復活剤が必需品で、我がスタジオも25年前の発足当初からいろいろな製品を使ってきましたが、このECI-50はほかと一線を画す革命的な接点復活剤と言えるでしょう。

通常ナノカーボン系の接点復活剤はとても導通が良くなるので、アタックのスピード感がアップしつつ鮮明度や解像度も上がるのですが、どうしても音の厚みが減りスリムになる傾向があります。極端に例えると、肉から脂肪の旨味が落ちたように、何か大切な音が失われるところも出てきます。しかしECI-50は、それらが失われたり犠牲になるところが一切ありません。

低域はキックのアタック感が出つつ、低域〜中低域が充実してビッグな音に。とは言え高域が減ることはなく素直に伸び、中域〜高域は解像度が上がりつつ、ピーク感やひずみ感が和らぎます。全体として、音楽制作の現場で求められている音が、変質したりやせたりすることなくワンランク上の音像になる印象です。またナノカーボン系の製品は液体自体が黒いので、汚れと見分けが付かず接点が汚くなるのが欠点ですが、ECI-50は液体が透明で、現場で重宝されるものになっています。

今回はさらに、ACOUSTIC REVIVEのライン・ケーブルXLR-1.0TripleC-FMを同時に使ってみました。色付けが少なくワイド・レンジで、高域の広がりと空気感が好印象。また低域の力強さや中低域の肉付きをダブつかせず、ソリッドに鳴らす感じです。極端な音質変化は無いのに、確実に一級品の音像になり、まさにベスト・マッチ。私にとっても久々に出会えたとても良いオーディオ製品です。

Engineer
清水裕貴
S<Profile>マルニスタジオを経てフリーに。音楽プロデューサー島崎貴光の作品で録音&ミックスを多数担当し、MiL Studio 目黒のチーフに。キノコホテルなどを手掛ける。

音に芯と安定感が出て
EQによる変化も分かりやすくなる

ECI-50による変化を確実に体感すべく、ステレオのコンプとEQを使い、通した音を録って比較。ECI-50を塗布し24時間経過後にチェックしてみたところ、塗布前の音像が散って聴こえるほどのまとまり感で、特に中~低域が素晴らしいと感じました。芯と安定感が出て、EQによる変化も分かりやすくなったのです。トランジェント特性も改善されたようで、塗布前の音&波形よりも立ち上がりが良くなっています。さらにライン・ケーブルを同社のXLR-1.0TripleC-FMに替えてみると、高域に余裕が出て伸びやかな音に。サンプル・レートを一段階上げたような印象です。

次に歌録りでチェック。同一のマイク、プリアンプ、コンプを2セット用意し、片方にのみECI-50とXLR-1.0TripleC-FMを使用しました。キュー・ボックスで歌い手本人にも切り替えができるようにしてみたところ、ECI-50を使った方が歌いやすいと好感触。声の立ち上がりと語尾の余韻感をコントロールしやすくなったようで、明らかに表現力が上がり良いテイクになったことが筆者にも分かりました。

Composer/Arranger
益田トッシュ
TM<Profile>映画の『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』挿入歌の作編曲、NHKオンライン『みいつけた!』のエンディング曲「グローイングアップップ」の編曲などを手掛ける。

原音には無い雑味が減り
クリアかつ低重心なサウンドに

DAW内の音をアナログ出しするミックスやマスタリングを想定し、単体機のDAおよびADコンバーター、アウトボードの入出力とライン・ケーブルを含めた接点のすべてにECI-50を使用。DA出力はもう一つのDAWシステムにアナログ入力し、録音しました。ケーブルは同社XLR-1.0TripleC-FMと普段自分が使っているものを用い、各ケーブル、接点含めてECI-50あり/なしの2パターンを比較。試聴したところ“接点ってこんなに大切なんだ!”と気持ちを新たにしました。これほどの差が出るとは正直驚きです

ECI-50を使うと音のクリアさが増し、重心が下がり、ノイズっぽさというか雑味が減ります。この雑味は一聴すると派手さのようにも感じられるのですが、実は原音には無い成分。アナログ出しすると付帯してしまうのかな?と今まで思っていたのですが、ECI-50使用後の音が真実でした! XLR-1.0TripleC-FMはエッジの効いた音なのに耳に痛くなく、大変ファットでスピード感と力強さがあります。細部の表現に優れ、仕込んだ音のすべてが聴こえました。

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE ECI-50 (導通向上クリーナー)

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2019年12月号からの転載となります)