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ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「ギター/ベース用ケーブル」

“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今月クロス・レビューするのは、ギター/ベース用ケーブルのGB-TripleC-FMだ。

第17回「ギター/ベース用ケーブル」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

GB-TripleC-FMは世界初のノイズ除去機能付きギター用ケーブルです。日立金属が開発したノイズ除去素材“FINE-MET”をケーブル内部に搭載することで、ギター/ベースとアンプの間はもちろん、エフェクターやそのほかの機器から発生する伝送上のノイズを一掃できるため、S/Nが劇的に向上。過去のギター用ケーブルとは一線を画すもので、世界初の音響専用導体“PC-TripleC”を迷走電流の発生の無い極太の単線で採用し、絶縁材には現在最も比誘電率の低いテフロンを使い圧倒的な伝送スピードを実現しています。

緩衝材には、静電気の発生を防ぎ有機的な音色を実現する天然シルクを採用。フォーン端子には、磁気ひずみの原因となる鉄心を除去した真ちゅう無垢材からの削り出しに金メッキを施し、伝送特性を極限まで高めています。GB-TripleC-FMは、外来ノイズの影響を受けず正確な位相特性を実現する2芯シールド構造となっており、従来のギター用ケーブルとは別次元のクオリティを実現しています。

<Price>
●GB-TripleC-FM(ギター/ベース用ケーブル):24,000円(3m)、38,000円(5m)、52,000円(7m)、73,000円(10m)
※端子形状は、ストレート/ストレート、ストレート/L字を選択
※長さの特注可能(要見積もり)
※写真は3mのストレート/L字
●PC-FM(パッチ・ケーブル):9,800円(15〜30cm)
※完全受注生産
※発注時に長さや端子形状を指定

Cross Review

Engineer
小崎弘輝
kosakisan<Profile>音楽制作会社LiMu Createを主宰するエンジニア。NYでの修行後、つばさプラスなどを経て現在に至る。近年は、加山雄三のライブ・ミックスなどを手掛けている。

粒立ちが良くて超ローノイズ
とりわけ低域が整理されている

タイトでソリッド。前面に出てくる存在感と超ローノイズ。トリートメントされた音。ライン録りした音がミックスを経たサウンドに近い。今どきの音楽に最適。それがこのケーブル、GB-TripleC-FMの印象です。

今回は、5mのものをギターとベースのライン録りに使用。ギターを渡辺裕太氏に、ベースを加藤裕一氏に演奏してもらい、お二人が普段使用しているBELDENのケーブルと比べました。まずディストーション・ギターでの印象は、BELDENよりも低域が整理されているので、ひずみ音色なのにすべての音の粒立ちがとても良くなりました。もっと音を汚したいとき、アンプでローを少しずつ足していくような微調整ができる音です。また、フロント・ピックアップでカッティングするときなどは特に音が濁りやすいため、この粒立ちの良さは最適です

抜けが不足しがちなセミアコに試してみると、ケーブルを換えただけで音の粒立ちが向上。またエレアコやエレガットは特に秀逸な変化をとげ、整理されたクリアで絶妙な低域、ふくよかで温かみのある中低域、痛くないのに生々しく前面に出てくる中高域、そして自然に伸びていく高域が非常に好印象でした

ベースに試したときも同じような印象でしたが、筆者が普段使っているBELDEN 8412に比べて、整理されたローが少し物足りない感じ。ただ、マイク録りした音とブレンドすることで、太くて存在感のあるサウンドになるでしょう。

オケ中での音の分離も実に素晴らしく、変なクセもありません。幅広い周波数レンジとローノイズを実現するGB-TripleC-FMは、特に録りでの使用をお勧めしたいです。

Bassist/Producer
Shingo Suzuki
shingo<Profile>国内外で高評価を受けるトラック・メイカーであり、バンドOvallの一員。プロデューサー/ベーシストとして、矢野顕子やChara、KREVAなどをサポートしてきた。

解像度が高くノイズレスに近い
楽器の質や演奏が正確に出る印象

3mのGB-TripleC-FMをベースのレコーディング現場で使用しました。ケーブルとフォーン端子がしっかりと接合されており、一本一本丁寧に生産されていることがうかがえます。一般的なギター/ベース用のケーブルよりもひと回り太く、硬めの印象で、これは安心感が持てますね。今回は録音でのチェックでしたが、ライブでは想定よりもゆとりを持った長さで使うとよいのではないでしょうか。

ベースとプリアンプ/DIの接続に使ってみたところ、普段使用しているMONSTER CABLEやBELDENに比べてキャラクターとして純度が高いというか、ワイド・レンジに感じました。言い換えると、解像度が高く、S/Nが良くてノイズレスに近い、ということになると思います。またノイズが激減するからと言って高域が落ちることはなく、変に中低域が膨らんだ音になったりもしません。楽器本来の音を出力するためのツールとして、基準の一本になると思います。ごまかしが効かず、正確にレコーディングできるので、楽器の良し悪し、そして演奏の良し悪しが問われますね。

Guitarist/Producer
ミヤ(MUCC)
miya_main<Profile>ロック・バンドMUCCのギタリスト。音響機器への造詣も深く、都内にプライベート・スタジオを構える。ダンス・ミュージックのクリエイター/DJとしても活動。

まとまりが良く
オケ中でも埋もれないサウンド

今回は、3mのGB-TripleC-FMをチェックしました。ハイエンドなギター用ケーブルは、楽器単体で鳴らしたときに良く聴こえてもバンド・サウンドの中に入ると埋もれてしまい、これまでガッカリさせられることが多かったです。なので敬遠しがちだったのですが、GB-TripleC-FMの音はオケの中でもしっかりと抜けてきます。テストの際は真空管アンプのほか、KEMPERのアンプ・プロファイラーやPOSITIVE GRIDのバーチャル・アンプ・システムBias Ampでも試してみたところ、こちらも良好です。ギターそのもののとモデリング・アンプのキャラクターをより鮮明に伝えてくれました

ケーブルが太く、しっかりとした作りなので取り回しに不安があったのですが、実際はとても安定感があり、過酷な現場でも安心できる作りだと思います。エフェクター同士をつなぐパッチ・ケーブルとして使っても、ディレイなどの奥行きが増す感じで、楽器とプレイのポテンシャルが今まで以上に試されると思いました。

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE GB-TripleC-FM (ギター/ベース用ケーブル)

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2018年9月号からの転載となります)