ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「コンセント・ベース/電源コンディショナー」

“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今月クロス・レビューするのは、コンセント・ベースのCB-1DB(写真左)と電源コンディショナーのRPC-1(同右)だ。

第10回「コンセント・ベース/電源コンディショナー」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

壁コンセントは柔らかな構造の壁に取り付けられているため、スピーカーや演奏による振動からの影響でコンセントが共振し、ひずみやノイズが発生してしまいます。また、仮に音を出さなくてもAC(交流)電源が流れることによる微振動でコンセントが共振し、ひずみやノイズの発生は避けられません。

コンセント・ベースCB-1DBは、壁コンセントと壁との補強を行うことで共振の発生が無くなり、高SN比かつワイド・レンジでエネルギー感が上がるなど電源クオリティを劇的に向上させることが可能です。電源コンディショナーRPC-1は、家庭内やスタジオ内の電源経路に乗っている高周波ノイズを吸収/消滅させることで、SN比を飛躍的に高めることが可能となります。通常のノイズ・フィルターのように音やせしたりドライな音色になる副作用も一切無いばかりか、逆に滑らかで厚みがある質感に改善し、立体感や密度も大きく向上するなど、アイソレーション・レギュレーターやトランスなどのクリーン電源の効果をはるかに凌駕(りょうが)します。

<Price>
●CB-1DB(コンセント・ベース/写真左)
価格:19,715円
素材:2017S航空レベル・アルミ合金+黄銅
その他特徴:最高級アルマイト処理+クローム・メッキ処理
外形寸法:95(W)×140(H)×12(D)mm
●RPC-1(電源コンディショナー/写真右)
価格:248,000円
素材:ヒッコリー(筐体)、PC-TripleC(ケーブル部)
外形寸法:170(W)×80(H)×170(D)mm
ケーブル部の長さ:370mm
重量:1.3kg

Cross Review

Producer/Engineer
Hiro
HR<Profile>METAL SAFARIのギタリストを経て、STUDIO PRISONERでプロデューサー/エンジニアとして活動。NOCTURNAL BLOODLUSTなどのバンドを手掛ける。

CB-1DBに付け替えてみると
どこにもピークの感じられない音に

CB-1DBは、ギター・アンプPEAVEY 5150を鳴らすのに使っていたOYAIDE WPC-Zからの交換。リプレース前後で試奏&リアンプして比べました。CB-1DBに付け替えると、低域が整理されタイトさを維持しながら深く伸びていきます。中高域は暴れが収まり、不思議なほど特定の帯域が耳を突くことが無いのです。EQすべきポイントが見当たらないほど自然で、全帯域に色付けが無くなったからか、積極的に音作りできる幅が増えました。あまりに自然な音なのでギター・トラックの音量を以前より上げられ、無理なくラウドでヘビーな仕上がりを目指せるように。録り音への効果が極めて大きい製品だと認めざるを得ません。

RPC-1は、電源トランスの空きコンセントに差した途端、シンバルやルームの響き、スネアの余韻がクリアに聴こえ、太鼓類のアタック感も明りょうに。こういう質感の素材だったのかと再認識させられる感覚です。音像は中央/左右共に額縁が大きくなり、超低域の質感もあらわに。外すと全体的に軽く立体感が無くなり、分厚さが減りました。

Producer/Engineer
Atsushi Asada
AA<Profile>プロデューサー/ミックス・エンジニア。AmPmやFriday Night Plans、ナオト・インティライミなどを手掛ける。“海外のシーンで共感される音作り”がモットー。

電源200V化への欲求が消えるほど
奥行きの解像度を上げるCB-1DB

私はACOUSTIC REVIVEの電源およびスピーカー・ケーブルなどを愛用しており日ごろから多大な信頼を寄せているが、今回の製品は電気信号には間接的である。楽しみな半面、正直疑念も多かった。しかしCB-1DBを設置してみると、わくわくが収まらなくなった。“音の密度/実体感”が濃くなり、特にうれしいのは“音像の立体的な深度”が深くなった点だ。音の各パーツの奥行きが認識しやすくなり、“歌の両奥にあるコーラス”“キックの少し下&奥のベース”という具合に、奥行き/空間に対する解像度が格段に上がったと感じる。この見事な変化は、電源を200Vに変えたときの変化と同じ印象だ。私は現在の環境では200V化できずにいたのだが、今回のチェックで図らずも200V化への欲求が消え去り本当に驚いている。

RPC-1は、どの空きコンセントに差すかで変化が若干変わったが、暴れがちな超低域をならし、耳障りだった超高域を心地良い粒立ちにしてくれる傾向。最終的な位置ではセンターのフォーカスがピタリと合う快感があった。

Artist
佐藤元彦(L.E.D./omni sight)
MS<Profile>ベーシスト/サウンド・クリエイター。L.E.D.のリーダーで、ドラマー平井直樹とともにomni sightでも活動。海外からの作品リリース/国外ツアーも積極的に行う。

中高域に張りが出るCB-1DB
クラブ環境などにも効果的なRPC-1

200V電源を引いた自宅スタジオで試しました。APPLE MacBook Proからさまざまなジャンル/フォーマットの音源をRME Fireface 800経由で再生し、YAMAHA NS-10Mなどから出力してのテストです。まずはCB-1DB。SN比や解像度が一気に向上し、各パートの定位、輪郭がクリアになって音の鮮度や粒立ちも格段にアップ。特に中高域への印象が秀逸で、張りのある明るい音に変化しました。RPC-1は、SN比向上という同傾向ながら、全帯域でもう少し落ち着きある音に。レンジが広がることで分離も良くなり、低音楽器のもたつきが消え、中低域の心地良さを残しつつタイトな音になりました。素材の特性や質感など本来の情報にクローズアップし、実在感が際立ちます。

そしてこれらを併用し、予想以上の相乗効果に驚きました。CB-1DBのエネルギッシュな中高域とRPC-1のスケール感が混ざり、レンジの広がりで犠牲になりがちな中低域もキープしたまま、非常にバランスの良い音に。高解像度はそのままに聴いていて楽しくなる“音楽的なサウンド”が得られる見事なパフォーマンス。併用環境で音楽制作すれば各帯域での音像感覚、定位や空間系エフェクト処理など細部まで見渡せるセンスが磨かれそうです。

RPC-1は、京都DNA PARADISEのUREIミキサーが入った環境でもチェック。すると瞬間的に音の変化を認知でき、各帯域に薄く張っていた膜が取れ、スピードとキレのある音に。いわゆる“踊れて聴き疲れしない音場”に変化しました。使い方次第ではクラブやライブ・ハウスなど大音量な現場でのポテンシャルも見逃せません

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE コンセント・ベース
ACOUSTIC REVIVE 電源コンディショナー

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2019年8月号からの転載となります)