ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「電源ケーブル+スピーカー・ケーブル」

“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回は、パワード・モニターの出音を向上させるという電源ケーブルとスピーカー・ケーブル(XLR/XLRのライン・ケーブル)がテーマだ。

第6回「電源ケーブル+スピーカー・ケーブル」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

パワード・モニター・スピーカーは、電源ケーブルやライン・ケーブルを良質なものにすることで、劇的にクオリティが向上し作業しやすくなります。しかしオーディオ用の電源ケーブルやライン・ケーブルには、極端にドンシャリにしたりハイ上がりにしたりするものも多く、ひずみやノイズで特定の帯域を盛り上げているため、見通しが悪くなり逆に作業効率は悪くなってしまいますので注意が必要です。

ACOUSTIC REVIVEの電源ケーブルライン・ケーブルは世界初の鍛(たん)造製法による音響専用導体PC-TripleCや比誘電率に優れたテフロン絶縁の採用により、フラット・バランスでひずみや付帯音が無い再生を可能とします。また日立金属が開発したファインメットビーズの採用により、電源ノイズやグラウンド・ノイズ、伝送上のノイズをすべてシャットアウトできる“ノイズ除去機能付きケーブル”である点も特筆すべき点。これらの特徴から、位相特性も正確になります。従来のケーブルとは一線を画すACOUSTIC REVIVEケーブルにより、モニター環境の作業効率が飛躍的に上がることをお約束いたします。

<Price>
●電源ケーブル
Power Standard TripleC-FM(写真左)またはPower Standard TripleC-FM-MG:38,000円/2m
※-FMは3ピン、-FM-MGは2ピンのメガネ型コネクター
AC-2.0 TripleC(写真中央上):18,000円/2m
AC-2.0 TripleC-MG:23,000円/2m
※以上、長さ特注可(+0.5mあたり5,000円。2m以下は2mと同価格)
●スピーカー・ケーブル(XLR/XLRライン・ケーブル)
XLR-1.0TripleC-FM:188,000円/1mペア
※長さ特注可(+0.5mあたり62,000円。1m以下は1mと同価格)
XLR-1.0TripleC-FM 1.4×1.8mm導体仕様:218,000円/1mペア
※長さ特注可(+0.5mあたりペアで88,000円。1m以下は1mと同価格)
LINE-1.0X-TripleC-FM 3芯シールド(写真右):38,000円/1mペア
※長さ特注可(+0.5mあたりペアで12,000円)

Cross Review

Artist/Engineer
Chihei Hatakeyama
C<Profile>2006年に米国アンビエント・レーベルKrankyより1stアルバムをリリース。以降、各国から数十枚の作品を発表する。エンジニアやレーベル・オーナーとしても活動。

“音が良くなる”の次元を超えている
すこぶる自然で存在感のあるサウンド

スピーカーのケーブル類をACOUSTIC REVIVEのライン・ケーブル/電源ケーブルに交換したとき、それまでのケーブルとの差にがく然としてしまった。あまりに素晴らしく、すべての景色のパズルがはまったかのような、もしくはピンボケした写真の焦点が合ったかのような印象を受けた。“音が良くなる”というのはあいまいな概念で、単にハイファイになれば良いのか、高域が奇麗に聴こえれば良いのかなどいろいろあると思うのだが、このケーブルはその次元を超えていて、音の存在を、そこで演奏されているかのような自然さで出力する。そういう意味で、あらためて“良い音とは何か”ということを考えさせてくれるのだ。

具体的には各帯域のバランスが極めて良く、分離も良いのだが、それでいてファットにまとまっている。不自然な強さではなく、あくまでも自然。結果、新たな視点を得られ、ミックスのアイディアもわいてくる。例えば、リバーブの奥行き感が増すにもかかわらず、音の輪郭があいまいにならず解像度が高いので、これまでできなかった繊細な表現が可能となった。また音の存在感が増すことで小音量でもそれなりに鳴るため、大音量が必要でなくなり、心地良い音量での作業が可能となって耳の疲れも減った。

筆者は、以前のケーブルでは特定の帯域に音がたまってしまうという悩みを抱えていたが、それも解消された。自分の音楽やエンジニアリングを次のレベルに引き上げたいと思うとき、スピーカー・ケーブルや電源ケーブルに投資するというのはどうしても後回しになってしまいがちだが、このケーブルは真に投資すべきアイテムだと思う。

Engineer
山崎寛晃
Y<Profile>HAL STUDIOに所属のレコーディング/ミキシング・エンジニア。SuperflyやBuild Dub Green、坂本真綾、Little Glee Monsterらのサウンドに携わる。

クリアでスピード感があり分離も良い
音作りの判断に迷いが無くなりそう

普段から使用しているGENELEC 1030Aで、まずは電源ケーブル3機種を試したところ、すべてクリアでスピード感があり、分離の良いサウンドです。周波数レンジが広く、高域はヌケが良いのですがトゲトゲしさの無い自然な質感で、低域もローエンドまで出ているもののブーミーな感じがしません。AC-2.0 TripleCに比べると、Power Standard TripleC-FMの方がファットで厚みがあります。

次にライン・ケーブル2機種を試してみると、これらも一貫性のあるキャラクターで、ACOUSTIC REVIVEの目指す方向性がハッキリと感じられます。濁りが減るような印象で、音の切れ際まで聴こえやすくなるため、スネアのリリース感や歌のリバーブ感などを調整したり、ミックスの細部を詰める際にも迷いなく判断できそうです。電源/ライン・ケーブル共に、グレードに応じてより表現力が向上。ハイエンド・モデルのXLR-1.0TripleC-FMなどでは劇的に解像度が上がり、ステレオ感や奥行き感共に空間がひと回り広くなったように感じます。

Engineer/Producer
柏井日向
K<Profile>Bigfish代表。エンジニアとしてアナログな質感を生かした音作りを得意とし、これまでにKIRINJIやSHISHAMO、the HIATUS、iriなどを手掛けてきた。

特筆すべきはひずみ感の大幅軽減
落ち着きがありスケールの大きな音

自身のスタジオBigfish Soundsのメイン・スピーカー、MUSIKELECTRONIC GEITHAIN ME802Kに試してみました。ライン・ケーブルはMOGAMI 2534、電源ケーブルはBELDEN 19364からの変更です。何より特筆すべきは、ひずみ感が大幅に軽減されることではないでしょうか。にじんでいた音が奇麗に線になるような感覚で、奥行き表現も見事です。ライン・ケーブルと電源ケーブルで、差異こそあれ同じ方向性を目指しているように感じます。

周波数は、上下が伸びつつ中抜け感がありません。ピークとディップをならしてくれる感覚で、スピードもスタジオの標準状態より速く、しかし行き過ぎることなく絶妙です。長年愛用の同社DigiLinkケーブルにも通じる、どちらかと言えば落ち着きのあるスケールが大きい音。モニター環境は限りなく無色透明なのが好ましいので、そこに使う道具として実に信頼できます。CRANE SONG Avocet IIAの電源ケーブルとしても試してみたところ、ニアフィールド・モニターやラジカセの音も透明度が上がりました。

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE 電源ケーブル
ACOUSTIC REVIVE スピーカー・ケーブル(ライン・ケーブル)

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2019年6月号からの転載となります)