第1回 Yokohama O-SITE
ROLANDのPA用デジタル・ミキサーM-200i。APPLE iPadをタッチ・パネルとして使うというアイディアで低コスト化を実現したこのモデルは、2013年の発売から既に5年が経過しているものの、低価格ながら音の良いコンパクトなオールインワン・コンソールとして人気を得ている。そんなM-200iが使われている現場の声を、連載で紹介していくことに。初回は横浜駅至近にあるライブ・ハウス、Yokohama O-SITEに伺った。
エフェクトも含めほぼすべてがM-200iで完結
Yokohama O-SITEは横浜駅から徒歩5分の相鉄ムービルに、2015年1月にオープン。最大客席数184で、アコースティック編成を中心にアイドルまで、さまざまなジャンルの出演者が集まる。今回お話を伺ったのは、音響管理を担当するナックルポート所属のエンジニア、望月翔太氏。同じO-GROUPの渋谷TSUTAYA O-EASTやTSUTAYA O-Crestなどでもオペレートすることもあるという。
そんな望月氏にM-200iの印象を尋ねると、「何不自由無く、何の不満も無く使えています」というシンプルな答えが。その真意を探るべく、システムや普段のオペレートについて詳しく聞いてみることにした。
「ほとんどの機能の操作がAPPLE iPadに集約されているので、リハーサル時にステージ側で操作したり、モニターの調整に便利です。特にここはステージまで行くのに、PAブースから階段を降りて、客席まで上って、また階段を降りないといけない。それが結構大変なので、助かっています」
今どきのデジタル・ミキサーでは必須と言える遠隔操作機能だが、望月氏が「不自由が無い」と語るのは、その操作性の良さにもあるようだ。
「エフェクトもすべてM-200i内蔵のもので、アウトボードとしてあるのはメイン・アウトのグラフィックEQだけです。会場の設定としてUSERキーに4系統のモニター用グラフィックEQもアサインしてあるのですが、僕は直接iPadからアクセスしています。USERキーで触ったことがあるのは、タップ・テンポくらい(笑)。フェーダー以外の操作はすべてiPadで完結しているんです。反応もスムーズだと思います。モニターで言えば、AUXのプリ/ポストの切り替えも。アイドルのオペレートのときは、外音を上げれば中音も上がるようにポストで使うのが僕のやり方なので、簡単に切り替えできるのは便利です」
機能面では、チャンネルEQについても言及してくれた。
「低価格のデジタル・ミキサーだとバンド数が少なかったり、ローとハイがシェルビングだったりしますが、M-200Iは4バンド+ハイパス・フィルターで、ロー/ハイがピークにも切り替えられるので使い勝手が良いです。またQもかなり細くできるので、ハウリング・ポイントの補正なども可能になっています」
エフェクトも含めほぼすべてがM-200iで完結
ROLANDのミキサーと言えばデジタル・スネークREACを使った拡張性も魅力だが、O-SITEではシンプルにステージからアナログ・マルチで15chが直接M-200iに入力されている。そのほか、CDプレーヤー/レコーダーなどが接続されているという。
「ch1〜16がステージ・インプット、ch17以降はCDプレーヤーなどというレイヤー分けをしています。24ch分のヘッド・アンプが内蔵されてこのサイズというのはコンパクトだと思います。フェーダーの間隔は狭いですが、気になったことはないですね。普段はパッチの並びそのままでオペレートしていますが、編成が小さい場合はUSERレイヤーを使って、例えばch1〜8までがステージから、ch9以降にリバーブなどをアサインすると、レイヤー切り替えしなくて済みます。パッチを切り替えずにチャンネルの並びだけアサインできるのは便利ですね」
そういうすべてを踏まえ「音質を含めて何の不満も無い」と語る望月氏。言い換えるとするならば、このクラスの会場のオペレートに必要な機能がM-200iに凝縮されていることを端的に述べた、賛辞とも取れるだろう。
ROLAND M-200i
リコーラブルな16chヘッド・アンプを内蔵した32chデジタル・ミキサー。タッチ・ディスプレイとして市販のAPPLE iPad+専用アプリが使用でき、有線/無線での接続が行える。出力はメインL/R+8AUX+4マトリクス。4系統のマルチエフェクトや4系統の31バンド・グラフィックEQ、USBメモリーへのレコーダー機能なども搭載する。デジタル・スネークREACに対応し、I/Oの拡張やレコーダーの接続なども可能
https://proav.roland.com/jp/products/m-200i/
Presented by Roland