DORIAN×8030C〜クリエイターが愛用するGENELECモニター

自分より大きなスピーカーから鳴っているときの音を
小さい音量で聴いていてもイメージしやすいですね

40年の歴史を誇る、フィンランドのモニター・スピーカー・メーカー、GENELEC。現在のスタジオ・モニターでは主流となったアクティブ式のパイオニアと知られる同社は、コンパクトなデスクトップ機からスタジオ用ラージ機までを手掛け、世界中のエンジニアやクリエイターから厚い信頼を寄せられている。この連載では、そんなGENELECモニターを愛用するクリエイターを訪ね、制作のパートナーとしてのモニターを語ってもらう。今月は、トラック・メイカー/DJのDORIANの自宅スタジオに伺い、愛用の8030Cについて語っていただいた。

8030Cに変えてより下の帯域まで見えるように

「8030Cを昨年末に購入しました。それまでは他社の4インチ・ウーファーの2ウェイ・モニターです。8030をショップで試聴したのは何年も前。いつか欲しいなと思っていたんです。音はもちろんですが、デザインも気に入って。でも、8030の方がいいのは分かってはいたのですが、前のモニターに不満があったわけではないので、慣れもあったので、導入したのは割と最近ですね。気分を変えたかったというのが、このタイミングでの導入理由です」

そう語るDORIAN。8030シリーズの現行モデルである8030Cを導入後、1カ月くらいはセッティング調整や耳慣らしに時間をかけたそうだが、それ以降は快適に使えているという。

「モニター用としてはもちろんですが、アナログ盤も8030Cで聴いています。リスニングでも楽しい感じの音だと思いますね。特性としては、もちろん高域も奇麗だと思いますが、以前の4インチのモデルと比べたら低域がより見えやすい。当初は低域が多いのかなと思って、しばらくは上下左右の振り方を変えてみたり、リアのDIPスイッチでいろいろ調整してみました。今の設定は“低域を−2dB”で落ち着いています。あまり低域を下げ過ぎると、このスピーカーの良さが減ってしまう感じがして。低域が多くなったというより、さらに下の帯域まで見えるようになったと思います。位置も、現在のところに決まって以降は触らなくなりました。慣れてしまえば、作業はやりやすいですね」

スピーカーから少し離れた方が判断しやすい

“低域が分かりやすくなった”と言うDORIAN。普段の作業音量は、驚くほど小さい。「たまに低域の確認用に上げてみますが、それでもこのくらいですね」と聴かせてくれた音量は、それでも普通に会話ができるほどだ。

「今の環境的に小さい音量でモニターせざるを得ないのですが、以前はヘッドフォンで併用していた部分の確認が、8030Cの導入以降はあまりやらなくなりました

また、写真のようにDAWを操作しているとき以外は、少し離れてスピーカーと正三角形を描くくらいの位置でモニタリングしているという。

「僕らのようなクリエイターは自宅で制作するスタイルが多いですが、リスニング・ポイントがスピーカーと近過ぎる気がするんです。僕も操作するときはスピーカーに近付きますけど、少し離れた方が分かりやすい。特に低域の判断はしやすいと思いますね」

最後に“感覚的な話ですが”と前置きした上で、8030Cの出音はクラブで聴く音像に近いと語ってくれた。

「フロアにいて、サブウーファーがあって、その上にメインのスピーカーがあって……という感じに少し似ているような気がするんです。こんな小さい音量で聴いていても、自分より大きなスピーカーから鳴っているときの音をイメージしやすいと感じています

DORIAN 使用モデル

8030c_ver

8030C
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格76,000円前後/1基、ホワイト:市場予想価格84,000円前後/1基)8000シリーズ5機種のうちちょうど中間のサイズとなるモデル。前身となった8030BよりSPLが4dB上昇し、消費電力がさらに低下している。ユニットは5インチ・ウーファー+3/4インチ・メタル・ドーム・ツィーター。アンプはクラスD50W+50Wのバイアンプ構成を採用する

Creator of This Month

Genelec_Dorian

DORIAN
エレクトロニック・ミュージックからの影響をベースにアーバンかつエキゾチックなトラックを生み出すクリエイター/DJ。これまでに3枚のソロ・アルバムを発表するほか、七尾旅人、やけのはら、一十三十一などへのトラック提供などでも知られる。現在ソロ最新作向けて鋭意制作中
https://fruitsking.exblog.jp/

■GENELEC製品に関する問合せ:ジェネレックジャパン  https://www.genelec.jp/

2018年8月号

サウンド&レコーディング・マガジン2018年8月号より転載