GLIM SPANKYのプライベートスタジオ|Private Studio 2024

GLIM SPANKYのプライベートスタジオ|Private Studio 2024

ロックギターやボーカルのレコーディングが24時間可能な秘密基地

松尾レミ(vo, g)と亀本寛貴(g)からなるロックユニット、GLIM SPANKY。ダイナミックな歌声と巧みなギタープレイが特徴で、ブルースやロックを基調としたサウンドを展開している。11月15日には、7thアルバム『The Goldmine』をリリースしたばかり。ここでは、主に亀本が使用しているというGLIM SPANKYの制作拠点にお邪魔した。

いつでも演奏やアンプ録りが可能

 都内のバンドマンなら多くの人が直面するであろう騒音問題。特にロック系のギタリストならなおさらだ。ギターの亀本ももれなくその一人であったという。

 「この物件を使いはじめたのは2019年くらい。物件探しで唯一あったこだわりと言えば防音性でした。結構デカい音でギターを弾くので、壁がコンクリートの建物を探していたんですよ。それで候補の中に一番防音性が高く、しかも角部屋の物件があったんです。それがこの部屋でした」

 亀本は、24時間いつでもギターを爆音で鳴らせる環境を求めていたそうだ

 「例えば、深夜から朝方にかけて音が出せないとモチベーションが下がってしまうし、締めきりが近いときなんかも不便じゃないですか。でもこのスタジオなら朝4〜5時にマイクを立ててボーカルレコーディングをしたり、ギターが鳴らせるんです。これまで一回も苦情が来ていないので、かなりレアな物件を見つけたなと思っています」

コンクリートむき出しの天井。反射が気になるところには吸音材を貼っている

コンクリートむき出しの天井。反射が気になるところには吸音材を貼っている

メインデスク。コンピューターはApple Mac Miniで、DAWはApple Logic Pro、MIDIキーボードはRoland A-49を使用。ディスプレイの下にはTASCAM AV-P250(パワーコンディショナー)を設置している

メインデスク。コンピューターはApple Mac Miniで、DAWはApple Logic Pro、MIDIキーボードはRoland A-49を使用。ディスプレイの下にはTASCAM AV-P250(パワーコンディショナー)を設置している。亀本は「デスク周りに好きなフィギュアなどを置くことで、制作時の気分も上がります」と話す

オーディオインターフェースのUNIVERSAL AUDIO apollo twin

オーディオインターフェースのUNIVERSAL AUDIO apollo twin

モニターヘッドホンは、左からaudio-technica ATH-M50X、beyerdynamic DT 1770 PRO。ボーカルの聴こえ方やステレオ感を確認するために両者を使い分けているという

モニターヘッドホンは、左からaudio-technica ATH-M50X、beyerdynamic DT 1770 PRO。ボーカルの聴こえ方やステレオ感を確認するために両者を使い分けているという

ダイナミック・マイクのSHURE SM7B

ダイナミック・マイクのSHURE SM7B

デスク左手のマイクスタンドにはNEUMANN U 87 Aiをセット。メインマイクとして使用している

デスク左手のマイクスタンドにはNEUMANN U 87 Aiをセット。メインマイクとして使用している

 このスタジオでは、主に亀本が打ち込みやギターでデモを制作したり、松尾が仮歌を録ったりするという。ここで亀本は「ギターをアンプ録りすることもできるんです」と言いながら、大きな白色のケースを持ってきた。

 「これはSHINOS SILENT-SPEAKERといって、内部に12インチのスピーカーを搭載したスピーカーボックスです。ふたを開けてマイクを立て、好きなアンプヘッドを接続すれば、24時間いつでもアンプ録りが可能になるんですよ。もともとアンプヘッドのSHINOS SW-1を持っていたので、SILENT-SPEAKERも同じ色のモデルを購入しました」

内部に12インチのスピーカーを搭載したスピーカーボックス、SHINOS SILENT-SPEAKER。コーンの正面には、AUDIX A1 31(左)と、SHURE SM57(右)をマイキングしている

内部に12インチのスピーカーを搭載したスピーカーボックス、SHINOS SILENT-SPEAKER。コーンの正面には、AUDIX A1 31(左)と、SHURE SM57(右)をマイキングしている

アンプヘッドのSHINOS SW-1(上)と、SILENT-SPEAKER(下)。SILENT-SPEAKERには、SW-1以外のアンプヘッドも接続することができる

アンプヘッドのSHINOS SW-1(上)と、SILENT-SPEAKER(下)。SILENT-SPEAKERには、SW-1以外のアンプヘッドも接続することができる

 コロナ禍、亀本は宅録のクオリティを上げたいと考え、このシステムを導入したという。

 「それまではライン録りが基本で、一般的によくあるアンプシミュレーターを用いて音作りをしていました。しかし、技術が向上したとはいえ、結局はシミュレーションされた音であることに変わりはないと気付いたんです。例えばファズでひずませた音をアンプシミュレーターに通すと、高域に不快な倍音が残り、耳障りなサウンドになってしまいます」

 そこでほかの方法を探していたときに、亀本はSILENT-SPEAKERに出会ったと話す。

 「音声信号がヘッドアンプ内の真空管で増幅され、スピーカーコーンから空気を通ってマイクで収音されることによって角が取れ、自然なギターサウンドになるんです。この一連のシステムを宅録でも実現することができ、非常に満足していますね。宅録するギタリストにぜひ試してもらいたいです」

Gibson Les Paul Custom

Gibson Les Paul Custom

Gibson SG Standard '61 Maestro Vibrola

Gibson SG Standard '61 Maestro Vibrola

最新作『The Goldmine』で活躍したギターペダルたち。左からBenson PREAMP(プリアンプ)、Manlay Sound RONNO BENDER(ファズ)、Organic Sounds ORGA TONE(ファズ)、Jim Dunlop cry baby GARY CLARK JR.(ワウ)

最新作『The Goldmine』で活躍したギターペダルたち。左からBenson PREAMP(プリアンプ)、Manlay Sound RONNO BENDER(ファズ)、Organic Sounds ORGA TONE(ファズ)、Jim Dunlop cry baby GARY CLARK JR.(ワウ)

作業用のイスも機材と同じくらい重要

 デスクの方に目をやると、マイクプリのBAE 1073 DMPやパッシブタイプのモニタースピーカーATC SCM12P Proなどを確認。しかし、ここで一つ気になったのが作業用のイス。亀本に話を聞くと、実はこのイスがスタジオ設備の中でもポイントだと話してくれた。

 「確かに機材も大切ですが、実のところ作業用のイスも機材と同じくらい重要だと思うんです。これはKOKUYOというメーカーのイスで、よく学校の職員室とかに置いてあったと思います。なぜこれを導入しようと思ったかというと、(奥田)民生さんが弾き語りをするときに、このイスの座り心地が良くて愛用しているという情報をテレビか何かで知ったんです。しかも民生さんはイスのカバーやパーツの色をカスタムしたり、ご自身のレーベル=ラーメンカレーミュージックレコードのロゴをあしらったりしてたんですよ(笑)。それで僕も気になって、ノーマルバージョンのCR-1ZをKOKUYOから直接購入してみたんです」

パッシブタイプのモニタースピーカーATC SCM12P Pro。アンプのcrown D-75Aで駆動させている

パッシブタイプのモニタースピーカーATC SCM12P Pro。アンプのcrown D-75Aで駆動させている

マイクプリのBAE 1073 DMP。主にギターを録る際に使用している。亀本は「手前に入力端子が装備されている点が気に入っています」と話す

マイクプリのBAE 1073 DMP。主にギターを録る際に使用している。亀本は「手前に入力端子が装備されている点が気に入っています」と話す

亀本が「めちゃくちゃ姿勢が良くなるイスです」とはなすKOKUYOの事務用回転イス、CR-1Z

亀本が「めちゃくちゃ姿勢が良くなるイスです」とはなすKOKUYOの事務用回転イス、CR-1Z

 座り心地について、亀本はこう話す。

 「すごくいいんです(笑)。高級な作業用のイスってお尻の部分が包まれるような構造になっていると思うんですが、CR-1Zはそうじゃないので、自然と背筋が伸びるんですよ。背もたれも深く沈みこまないので姿勢が保たれて、その結果集中力がアップするという感じ。しかもめちゃくちゃ頑丈で、ローラーもスムーズに動くしギターも持ちやすい。時代が変わってもなお残っているものって、ほんとに良いものが多いんだなって身をもって実感しました。これはマジで買ってよかった(笑)」

 ここ数年、スタジオ環境を着実にアップデートさせてきたという亀本は「プライベートスタジオに投資するのはとても有益だと思います。デモのクオリティもだいぶ上がりました。良い曲が書けないのを機材のせいにできないので、頑張ります」と語る。取材に同席してくれた松尾はこう続ける。

 「デモのクオリティが向上したことで、そこに載せるメロディや歌詞のイメージもつかみやすくなりました。それに伴い、最終的な曲のクオリティも高まり、モチベーションも上がっています。それは最新作『The Goldmine』にも生かされているので、とても良い循環だと思いますね。ぜひGLIM SPANKYの『The Goldmine』を聴いてみてください」

 

仕事の息抜き、何してます?

亀本:僕は喫煙所にタバコを吸いに行きますね。あとはゲームします。

松尾:私は物作りをすることでリラックスすることが多いんです。例えばデザイン作業をしたり、衣装を作ったり、アクリル画を描いてみたり。別のクリエイティブが息抜きになって、それが音楽制作にもうまく生かされている気がします。


 Profile 

GLIM SPANKY:松尾レミ(vo、g)と亀本寛貴(g)

GLIM SPANKY:松尾レミ(vo、g)と亀本寛貴(g)からなる、男女二人組のロックユニット。1960~70年代のロックとブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを生み出している。11月15日には7thアルバム『The Goldmine』をリリースした。

 Recent Work 

『The Goldmine』
GLIM SPANKY
(ユニバーサル)

特集|Private Studio 2024