音楽作家の目線から解説!Cubaseの制作効率&スピードUP技|解説:長谷川大介

音楽作家の目線から解説!制作の効率&スピードUPの技|解説:長谷川大介

 こんにちは。作編曲家/ギタリストの長谷川大介です。音楽作家は日々効率化とスピードを気にしながら、できるだけ多くの曲を生み出していきます。今回は作家目線から、コンペに向けた曲を制作する際に考えていることや、時短術について書いていこうと思います。

リファレンス曲の雰囲気をくみ取ってMediaBayの音色&フレーズを活用する

 コンペに参加する際に必ず存在するのが、“リファレンス曲”です。リファレンス曲とは、先方様がそのコンペにおいてイメージする楽曲例であり、その曲の雰囲気をどうくみとって、新たな楽曲を作っていくかが重要になります。私がおおよそくみ取るポイントは、“テンポ”“ジャンル”“サウンド感や世界観”“メロディ”です。

 ①テンポを確認する

 まずはリファレンス曲を聴いて、大まかなテンポをつかみます。曲のデータがある場合はプロジェクトに読み込み、メニュー・バーから“プロジェクト→テンポの検出...”をクリックすれば、ある程度のテンポ感をつかむことができます。

メニュー・バーから“プロジェクト→テンポの検出...”をクリックするとテンポ検出パネルが表示される(赤枠)。“分析”をクリックすると、テンポ・トラック(黄枠)が表示され、ある程度のテンポ感を確認することができる(左画面で読み込んだプロジェクトは127BPM前後であることが分かる)

メニュー・バーから“プロジェクト→テンポの検出...”をクリックするとテンポ検出パネルが表示される(赤枠)。“分析”をクリックすると、テンポ・トラック(黄枠)が表示され、ある程度のテンポ感を確認することができる(左画面で読み込んだプロジェクトは127BPM前後であることが分かる)

 ②“ジャンル”“サウンド感や世界観”を取り込む

 続いては、前回紹介したMediaBayを使って、楽曲がどういったジャンルなのかをある程度特定し、音色やフレーズを選んでいきます。今回は前回よりももう少し踏み込んでMediaBayの活用例を紹介しましょう。

 例えばリファレンス曲でカッティング・ギターが主役になっている場合、ファンクやディスコというジャンルが思い浮かぶので、MediaBayで“Category=Guitar/Plucked、Sub Category=E.Guitar、Sub Style=Disco”という条件で検索します。

Cubaseに搭載されているループ素材を管理する機能MediaBayの画面。“Category=Guitar/Plucked、Sub Category=E.Guitar、Sub Style=Disco”という条件で検索すると、赤枠内に条件に合致するギター・フレーズのサンプルやMIDIデータが複数表示される

Cubaseに搭載されているループ素材を管理する機能MediaBayの画面。“Category=Guitar/Plucked、Sub Category=E.Guitar、Sub Style=Disco”という条件で検索すると、赤枠内に条件に合致するギター・フレーズのサンプルやMIDIデータが複数表示される

 そうすると、ギター・フレーズのサンプルやMIDIが幾つか出てくるので、試しに“SatNight-Chorus A E.Gtr”をプロジェクトウィンドウにドラッグ&ドロップ。MIDIデータが貼り付けられるので、コードを変えたり、パターンを変えたり、編集していきましょう。音色もデフォルトではHALion Sonicが割り当てられていますので、いろいろなギター音色に変更して、気に入ったものを探すと良いと思います。

ソフト音源やプラグインの設定を“トラックプリセット”として保存

 ここからは、作曲時の時短方法について紹介していきます。まずは、Cubaseの機能“トラックプリセット”について。これは、ソフト音源やインサートされているプラグインの設定を、プリセットとして保存しておくことができるものです。

 プリセットとして残したいトラックの“トラックインスペクター”で、“トラックプリセットなし”と表示されている部分の左側にあるひし形のマークをクリックすると、“トラックプリセットを保存”の画面が出るので、任意の名前を付けて保存します。これで、そのトラックで使われていたソフト音源および、プラグインの情報を保存することが可能です。

トラックインスペクターの画面。赤枠のひし形のマークをクリックすると、下画面のようなダイアログが表示される。

トラックインスペクターの画面。赤枠のひし形のマークをクリックすると、下画面のようなダイアログが表示される。

“トラックプリセットを保存”をクリック。

“トラックプリセットを保存”をクリック。

その後表示されるダイアログで任意の名前を付けて保存すれば、そのトラックで使われていたソフト音源やプラグインの情報が保存される

その後表示されるダイアログで任意の名前を付けて保存すれば、そのトラックで使われていたソフト音源やプラグインの情報が保存される

 保存したプリセットを新規トラックに読み込むには、“トラックプリセットなし”をクリックして表示される画面の右上にある“ウィンドウレイアウトの設定”をクリックし、フィルターにチェックを入れます。検索先の階層の“ユーザーコンテンツ”をクリックすると、登録されているトラックプリセットが表示され、読み込むことが可能です。いろいろなソフト音源をパート別にトラックプリセットに保存しておくと、探す手間が省けて便利でしょう。

保存したトラックプリセットを読み込むには、まず上のトラックインスペクターの画面で、“トラックプリセットなし”をクリック。すると下の画面が表示される

保存したトラックプリセットを読み込むには、まず上のトラックインスペクターの画面で、“トラックプリセットなし”(赤枠)をクリック。すると下の画面が表示される

画面右上部にある歯車のマーク=“ウィンドウレイアウトの設定”をクリック。すると、下のような“ウィンドウレイアウトの設定”ダイアログが表示される

画面右上部にある歯車のマーク=“ウィンドウレイアウトの設定”(黄枠)をクリック。すると、下のような“ウィンドウレイアウトの設定”ダイアログが表示される

ウィンドウレイアウトの設定ダイアログで“検索先の階層”にチェックを入れる

ウィンドウレイアウトの設定ダイアログで“検索先の階層”にチェックを入れる

画面左上のように“検索先の階層”が表示されるので“ユーザーコンテンツ”をクリックすると、画面の右側部分に保存されたプリセットが表示される

画面左上のように“検索先の階層”が表示されるので“ユーザーコンテンツ”をクリックすると、画面の右側部分(赤枠)に保存されたプリセットが表示される

最低限押さえておきたい&登録しておくと便利なショートカット

 時短&効率化として一番効果的なのは、ショートカットを有効活用することです。ここでは私がよく使うデフォルトのショートカットや、自分でショートカット・キーを割り当てている、よく使う機能を書いていきます。

 ①最低限押さえておきたいショートカット

 Cubaseにはさまざまなショートカットがあらかじめ設定されていますが、これらはその中でも高頻度で使うものです。

 ●編集画面拡大の“G”&縮小の“H”

 細かいノートの打ち込みや波形編集の際は画面を拡大し、構成ごとのコピー&ペーストや総尺の確認の際は画面を縮小して全体を表示するなど、画面の拡大/縮小は、高頻度で行う作業です。また、縦方向への拡大は“Shift+G”、縮小は“Shift+H”で、縦軸の編集の際はこちらも活用します。

 ●クオンタイズ“Q”と“Option(WindowsはAlt)+Q”

 鍵盤で適当に弾いたフレーズなどをグリッドにそろえる際は、タイミングのクオンタイズ“Q”を使います。クオンタイズしたいノートを全選択して“Q”を押すだけで、指定されているグリッドにノートがそろいます。また、MIDI鍵盤などで弾いたノートはバラバラの長さになっているので、これをそろえたいときは“Alt+Q”で長さのクオンタイズも可能です。

 ②コンペの作曲編曲でよく使う機能

 デフォルトでは登録されていないショートカットです。

 ●波形のリバース

 私はよく、ギターやシンバル、シンセなどにおいて、オーディオのリバース機能を使います。サビ前の盛り上げや楽曲の雰囲気作りにかなり効果的です。通常リバース機能はショートカットキーにはありませんので、メニュー・バーから“編集→ショートカットキー”を選択し、“リバース”に任意のショートカットキーを割り振っておくと便利です。

ショートカットの設定を行う“キーボードショートカット”の画面。画面左側から機能を選択して、右側赤枠内に適当なキーを打ち込めば、ショートカットを登録できる。筆者は“リバース”に“command+Shift+R”を割り振っている

ショートカットの設定を行う“キーボードショートカット”の画面。画面左側から機能を選択して、右側赤枠内に適当なキーを打ち込めば、ショートカットを登録できる。筆者は“リバース”に“command+Shift+R”を割り振っている

 ●楽曲全体や指定したMIDIの移調設定

 楽曲を作っている途中でキーを変えたくなることがよくあります。これは、コード進行にメロディを乗せた際に歌えない高さになってしまったり、低すぎたりしてしまうことがあるためです。そういうときは、移調したいMIDIを選択した状態で、メニュー・バーから“MIDI→移調設定画面”を選択して条件を指定し、移調させます。こちらの画面の表示も、デフォルトの状態ではショートカットキーが登録されていないので、設定しておくと便利です。移調設定画面では、主に“半音単位での移調”で動かしたい数を指定します。数字+1で半音上げ、−1で半音下げとなります。

移調設定画面。MIDIを半音単位で移調できる。+1で半音上げ、−1で半音下げ。筆者はこの画面の表示にもショートカットを登録している

移調設定画面。MIDIを半音単位で移調できる。+1で半音上げ、−1で半音下げ。筆者はこの画面の表示にもショートカットを登録している

 今回は作曲コンペにおける楽曲制作というテーマで、いろいろなポイントを書かせていただきました。皆さんもぜひ試してみてください!

 それでは次回もよろしくお願いします。

 

長谷川大介
【Profile】SUPA LOVE所属のギタリスト/作編曲家。Aqua Timezのギタリストとしてメジャー・デビュー。バンド解散後は、ギタリストとしてだけでなく、作曲家、編曲家としての活動を始める。ギタリストとしてはBang Dream!(バンドリ!)内のバンド“MyGO!!!!!”のギターを担当。作家としては、ケツメイシ『サンシャインガール』、高野洸『In the shade』の作編曲を担当するなど、ロック、ポップスのみならず、エレクトロやラップ系の楽曲まで、幅広く制作している。

【Recent work】

『壱雫空』
MyGO!!!!!
(ブシロードミュージック)
※「焚音打」の作編曲、ギターを担当

 

STEINBERG Cubase

LINE UP
Cubase LE(対象製品にシリアル付属)|Cubase AI(対象製品にシリアル付属)|Cubase Elements 12:13,200円前後|Cubase Artist 12:35,200円前後|Cubase Pro 12:62,700円前後
*オープン・プライス(記載は市場予想価格)

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 11以降
▪Windows:Windows 10 Ver.21H2以降(64ビット)
▪共通:INTEL Core I5以上またはAMDのマルチコア・プロセッサーやApple Silicon、8GBのRAM、1,440×900以上のディスプレイ解像度(1,920×1,080を推奨)、インターネット接続環境(インストール時)

製品情報

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