世界的なエレクトリック・トランペット奏者、近藤等則がインスタレーション・ライブを行った。場所は東京・青山にあるRed Bull Studios 東京の5Fホール。2015年11月28日〜29日の2日間に3公演というスケジュールであった。
「大自然の中では360度から音が聞こえてくるのに、一般のライブ・ハウスだと左右のスピーカーからしか音が出ず、平面的で不満を感じていた」と近藤自身が語るように、今回は『3D Sound Installation Live “夢宙”〜Dream Space』と銘打たれ、客席を取り巻くように8.2chサラウンドのスピーカー・システムが組まれた。スピーカーはVUE AUDIOTECHNIK製で、片側2基のI-ClassシリーズをL/Rで前方と後方に、またサブウーファーもステージ上と客席後方に1基ずつ配置されていた。
ステージでは近藤がエレクトリック・トランペットを演奏しながら、足下にあるディレイなどのペダル・エフェクト類と、ギター・シンセのBOSS SY-300などを駆使して自らのサウンドを変化させるというセッティング。同時に、別途用意されたMERGING PyramixのVer.10(まだ正式発売はされていない)からトラックを再生し、それらはDSP JAPANの柳瀬智史氏によって360度にわたってリアルタイム・パンニングが施された。
さらに今回のインスタレーション・ライブで注目されたのが、可搬型蓄電システムのELIIY POWER Power Yiile Plusだ。災害時や屋外中継向けの非常用電源であるが、壁コンなどから供給される電源に乗ったノイズの影響を受けずに、一度蓄電することによってクリーンな状態の電源を確保できるという利点から、オーディオの世界でも話題となりつつある製品だ。さらにPower Yiile Plusは蓄電しながら内部でクリーンになった電源を供給することもできるため、今回はその状態で会場のパワー・アンプ/スピーカー類と近藤のステージ機材を3台でまかなっていた。
実際のインスタレーション・ライブは、シーケンスやドローンを用いた幻想的なサウンドと近藤の鬼気迫るプレイが融合し、会場内を異空間へと誘っていた。サウンドは左右だけでなく上下にもパンニングされ、観客は心地よい音の波に身を委ねる。POWER YIILE PLUSの効果もあるのだろうか、音楽的なノイズがより鮮明に表現され、轟音の中にも透明感のあるサウンドは筆舌に尽くしがたい体験であった。
かけはし芸術文化振興財団 Presents
3D Sound Installation Live by 近藤等則
夢 宙
Dream Space
主催:公益財団法人かけはし芸術文化振興財団
制作:株式会社近藤音体研究所 & dsp japan 株式会社
協力:Merging Technologies (Switzland) 株式会社Eastern Sound Factory Eliiy Power株式会社 Barボノボ 専修大学