ビリー・ジョー・アームストロング『ノー・ファン・マンデーズ』、マクフライ『Young Dumb Thrills』 〜小泉由香's Recommend

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。小泉由香氏の今月のセレクトは、ビリー・ジョー・アームストロング『ノー・ファン・マンデーズ』、マクフライ『Young Dumb Thrills』です。

演奏/プロデュース/エンジニアリングをほぼ自ら行った
“わくわくするような”カバー・アルバム

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ビリー・ジョー・アームストロング『ノー・ファン・マンデーズ』(ワーナーミュージック・ジャパン)

 ビリー・ジョー・アームストロングは、グリーン・デイのフロント・マンです。新型コロナで外出自粛となった中で制作された本作は、14曲入りのカバー・アルバム。演奏/プロデュース/エンジニアリングはほとんど彼自身が行い、数曲のみミックス・エンジニア兼ドラマーとして長年エンジニアを務めているクリス・デュガンが担当しています。

 バンドのときよりもレベル感は少し抑えていて、歌よりオケを大きめにしたバンド・バランス。全体的な音色は各パートに太さが程良くあり、耳に痛くなくまとまっている印象です。彼が目指した“わくわくするようなカバー”に仕上がっています。

No Fun Mondays

No Fun Mondays

  • ビリー・ジョー・アームストロング
  • オルタナティブ
  • ¥1630

 

太めかつナチュラルな音質の各パートが
使い分けられた低音部に乗りバランスよく配置

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マクフライ『Young Dumb Thrills』

 マクフライは2000年代のイギリスを代表するポップ・ロック・バンド。2016年に活動を休止していましたが、10年ぶりの6thアルバムをリリースしました。今回はバンドのフロント・マンのダニー・ジョーンズとジェイソン・ペリーの共同プロデュースで、ミックス・エンジニアはガイ・マッセイを起用しています。

 昔から大編成のオケが入る楽曲もあるのでトータル・レベルは少し控えめですが、曲の抑揚が損なわれていないのがポイントだと思います。太めかつナチュラルな音質で録音された各パートが、楽曲ごとに腰高型やどっしり型など使い分けられた低音部に乗せられてバランスよく配置されています。昨今の洋楽は太めな音質が多くなりましたが、ストリーミング配信でも印象を損なわない方法の一つとして、こういった作り方は増えたと個人的に思っています。

Young Dumb Thrills

Young Dumb Thrills

  • マクフライ
  • ポップ
  • ¥1833

 

小泉由香

【Profile】マスタリング・スタジオ、オレンジ主宰。音楽愛に裏付けられた丁寧な仕事で信頼が厚い、日本を代表するマスタリング・エンジニア

www.yukakoizumi.com

 

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