ケンカイヨシの見解良し!Vol.12〜マルーン5「メモリーズ」に使われたステレオ・イメージャーに迫る

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Photo:Hiroki Obara

【Profile】東京を拠点に活動する音楽プロデューサー/アレンジャー。ぼくのりりっくのぼうよみとの出会いをきっかけにJポップへ活躍の場を広げる。そのほか香取慎吾と草彅剛のユニット=SingTuyoなどの作品を手掛けている。

 

 こんにちはケンカイヨシ(Loyly Lewis)です。今回は言わずと知れたロサンゼルス出身のポップ・バンド、マルーン5のヒット曲「メモリーズ」を取り上げてみます。

 

 2002年に発売された彼らのデビュー作『ソングス・アバウト・ジェーン』は世界的ヒット作となり、日本でも収録曲「サンデイ・モーニング」や「シー・ウィル・ビー・ラブド」を知っている人は少なくないでしょう。彼らは、60'sモータウン・サウンドや70'sジャズ・ファンク、そして80'sディスコなどの黒人音楽を軸としつつも、そこにロック調のギター・リフなどをミックスしてポップスに仕上げるという高いアレンジ能力を持っているように思います。余談ですが、このような“白黒入り混じったポップス”を作り上げるという点においては、ある意味レニー・クラヴィッツにも似ているのかもしれません。

 

Memories

Memories

  • マルーン5
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 「メモリーズ」
マルーン5
(ユニバーサル)

 

 さて、本題である「メモリーズ」に話を移しましょう。この曲は、ループ演奏されるベースやオルガンにギターやボーカル、コーラスが展開するという、ビートレスかつミニマルなプロダクション。曲のイントロやサビなどでは、ホール内に響く歓声やアナログ・ノイズが薄く重ねられているのが印象的です。昨今トラップや4つ打ちのダンス・ミュージックがチャートを占める中、その真逆を行くシンプルなアレンジがリスナーに受け、ヒットにつながったのかもしれません。

 

 ミックス的な観点としては、このミニマルなアレンジによって生まれた“空間のすき間”を埋めるために施された空間系エフェクト処理が特徴的でしょう。ここで僕が注目したのは、楽曲の土台的な役割を担うベースとオルガンのステレオ感。ヘッドフォンで聴くとより分かると思うのですが、この2つはセンターに位置しながらもやや左右に広がって聴こえます。特にオルガンは少し変わった奥行きと広がりを持っているため、恐らく普通のコーラスなどではなく、より複雑なエフェクトで処理されているかもしれません。

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▲IZOTOPEからリリースされている無償のステレオ・イメージャー・プラグイン、Ozone Imager V2。音の定位や広がりを視覚的に把握することができるベクトル・スコープを3種類搭載している。画面右端にあるWi dthやStereoizeでは、ステレオ感や広がりを調整することが可能だ

 以上のような考察から、今回はIZOTOPEのステレオ・イメージャー・プラグインOzone Imager V2をご紹介。画面右端にあるWidthは、推測ですがリバーブやダブリングなどを用いた複合的なエフェクト処理で広がりを付与していると思います。Stereoizeは、左右の位相をずらしてステレオ感を強くしているので、深くかけるとコーラスのような効果を得ることが可能です。Modeには、フェイズと、より自然なステレオ感になる2モードが搭載されています。

 

 このようにOzone Imager V2は高機能で、シンプルな画面と操作でサクサク作業もはかどるため、他社のものと比べて使用頻度が高いです。そして一番のポイントは、広がり方がナチュラルなので“楽曲になじみやすい”というところ。ちなみに、同社のマスタリング・プラグインOzone 9に入っているImagerでは、4バンドで周波数帯域別に設定ができるのでお薦めです。それではまた次回!

IZOTOPE Ozone 9

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