
AVID Pro Toolsユーザーに、仕事で使う道具としてのPro Toolsについて語っていただくこの連載。今回は都内にある音楽レコーディング・スタジオ、Studio Tightropeに伺って話を聞いた。
最新リバーブの“リアルな響き”が分かる
Pro Tools|HDXの空間再現性
代々木上原の閑静な住宅街、マンションの地下階にあるのがStudio Tightropeだ。代表を務める梅原篤氏は、シンセ・プログラマーとして長年活躍してきた人物。このスタジオは、1995年ころに、自身が手掛けていた制作のために設立したという。
「当時、カラオケ制作の仕事がたくさん来るようになったのですが、カラオケの予算では外部のスタジオは使えない。だったらスタジオを作ってしまった方がいいだろうと」
地下階とは思えないほど開放感がありつつ、どこかプライベート・スタジオのような雰囲気も感じられるのは、そうした経緯で設立されたからであろう。現在は、2ルームあるうち、メインのAstがボーカル・レコーディングなどに向けたスタジオとして営業中。設立当初はALESIS ADAT+アナログ・コンソールという当時のプロジェクト・スタジオ定番のセットアップだったが、程なくしてPro Tools|24 Mixにリプレース。Pro Tools|HD、Pro Tools|HDXとアップデートしていく中で、現在のようなコンソールレスのスタイルになっていったという。
Studio Tightropeと業務提携しているエンジニア、石川純也氏はこう語る。
「Pro Tools|HDでもクオリティは十分でしたが、Pro Tools|HDXになって空間が一回り大きく感じられるようになりました。少し前から、リアルさを追求するリバーブ・プラグインが増えてきていましたが、Pro Tools|HDXになってからそれらの“リアル感”を強く感じるようになりましたね」



最新マイクプリを増強
居住性の良さに加えて安心感のあるスタジオ
コンソールレス・スタイルになった現在、主な機材はSTERLING MODULAR製デスクにインストール。AVID Artist Mixも埋め込まれている。ディスプレイはVESAマウント・アームで手元に持ってくることが可能で、エディットもしやすいと石川氏は語る。また録音に欠かせないマイクプリは、AMEK System 9098 EQ×4をメインにしつつ、新たにAUDIENT ASP800を導入したそうだ。石川氏はこう説明してくれた。
「AVID HD I/Oは8x8x8構成で、ASP800はデジタルで接続しています。ASP800は宮地楽器さんから薦めていただいたのですが、脚色が少ないキャラクターだけど無色透明ではないという意味でAMEKと近い印象ですね。また以前使っていたAVID Preも残してあるので、それ以上マイク入力が必要な場合も対応できます」
また、Studio Tightrope全体のサイズがちょうど良いとも石川氏は語る。
「ブースと直回線でつながっているので、ケーブルの長さをかなり短縮できて、ロスが少ないのは利点ですね。ギターの録音も、キャビネットだけブースに置いて、スピーカー・ケーブルを通してといったこともできます」
もともと、フルスペック・スタジオをコンパクトに作ることが目的であったStudio Tightropeは、ボーカル・ダビングだけを想定したスタジオとは、その在り方が少し異なる。石川氏は続ける。
「現在はこのスタジオでもボーカル録音がメインですが、コントロール・ルームもスペースに余裕があるのでボーカルが複数居るグループの録音も楽ですし、ロビーもある程度の広さがあるのでスタッフが集まることもできますね。エフェクトも、Pro Tools内部でプラグインを使うことがほとんどではありますが、かつての定番アウトボードもたくさんあるので、使い慣れたものがここにあるという安心感も大きいんですよ」
空間的な居心地の良さに加えて、長く音楽制作に携わってきたからこその安心感。そんな雰囲気が満ちたStudio Tightropeを、機会があればぜひ利用してみてほしい。




Studio Tightrope
http://tightrope.tokyo/
https://www.facebook.com/StudioTightrope/
Presented by AVID & Miyaji Professional Division