【2023年版】BITWIG Bitwig Studio 4を詳しく解説 〜Yuri Uranoのおすすめ付属ソフト&機能

BITWIG Bitwig Studio 4を詳しく解説 〜Yuri Uranoのおすすめ付属ソフト&機能

Mac/Windows/Linuxに対応しモジュール機能も充実 〜 オーディオとMIDIをシームレスに行き来するドイツ産DAW

【製品概要】

 2014年発売のドイツ産DAW。Mac/Windowsのほか、Linuxにも対応しています。エディションはフル・バージョン版、エデュケーション版、他社DAWからのクロスグレード版、アップグレード版があり、すべてダウンロード販売です。時間軸をベースにする“アレンジビュー”に加え、そのタイムラインに縛られず再生できる“クリップランチャー”を備えます。1トラックにオーディオとMIDIのクリップを混在できるのもポイント。オーディオ・コンピングや、フレーズのランダマイズ機能、豊富なサウンド・ライブラリーも魅力です。

【製品ラインナップ】
Bitwig Studio フル・バージョン:50,875円|Bitwig Studio クロスグレード版:34,100円|Bitwig Studio エデュケーション版:34,100円|Bitwig Studio 12カ月アップグレード版:20,900円

【動作環境】
Mac:macOS 10.14~12、INTEL(64ビット)またはAPPLE Siliconプロセッサー
Windows:Windows7/8/10/11(64ビット)、INTELまたはAMDデュアルコア・プロセッサーもしくはより高速なもの(SSE4.1対応)
Linux:Ubuntu 20.04以上、またはFkatpalがインストールされた最新のディストリビューション、64ビットデュアル・コア以上のx86 CPU(SSE4.1対応)

共通:4GBのRAM、12GB以上のディスク空き容量、インターネット接続環境(サウンド・コンテンツのダウンロード時)

Yuri Uranoが語るBitwig Studioの魅力

Yuri Uranoが語るBitwig Studioの魅力

【Profile】フィールド・レコーディングや声を用いたアナログ・サウンドと、シンセサイザーやコンピューターを使ったデジタル・サウンドを融合させ、独自の世界観を構築するエレクトロニック・ミュージック・アーティスト。

MIDIとオーディオが共存できる自由さが魅力。楽器のようなパフォーマンスやミックスでの微調整にも対応

 感覚的に扱いやすいDAWを探していて出会ったのがBITWIG Bitwig Studio。オーディオとMIDIが共存できるハイブリッド・トラック機能など、フレキシブルな機能を多数搭載する、直感的に扱える楽器のようなDAWソフトです。

 ループを幾つも並べながら作業できるクリップランチャーは、アイディア・スケッチのような感覚でフレーズを残していけるので、アイディアを無駄にせず、効率的にトラック・メイキングができます。ギタリストなら複数のギター・リフを録音して聴き比べながら試せますし、私はよくボーカル素材を複数パターン録って、どれがベストか比較しながら制作を進めます。

 最近のアップデートでは、ミックス・ダウンにもより強くなりました。周波数領域によって動作する新デバイス4種の“Spectral Suite”を活用すれば、各帯域の音量を調整したり、プラグインを挿入して帯域ごとにサウンドをカスタマイズすることが、一つのチャンネルで行えます。例えば”Loud Split”というデバイスでは、音の中の静かな要素、中間の要素、大きな要素を分離し、各要素の音量バランスを調節したり、別々のエフェクトをかけたりすることが可能なのです。

 カスタマイズ性の高いモジュラー環境も魅力。多様なパラメーターをコントローラーへ簡単にマッピングでき、ライブ・パフォーマンスでも直感的な操作を実現します。Bitwig Studioは、アナログ/デジタルの垣根を越えた可能性を秘めています。

Bitwig Studio 4のおすすめ付属ソフト&プラグイン

Convolution[リバーブ]

Convolution

 さまざまなインパルス・データを元にしたリバーブを作ることができます。スタジオや大聖堂など270種のプリセット・データが用意されていますが、より独自性を出したい場合には、自分の持っているオーディオ・データをインパルス・データとして使うこともできます。例えば、ドラムのループ・サンプルを元にした存在しない空間のリバーブを読み込むことも可能。独創的なオーディオ・エフェクトとして、楽しみながら使うことができます。

Transient Split[オーディオ・エフェクト]

Transient Split

 周波数帯域別に音を分離できるデバイスです。エフェクトをかけた音のアタック成分(トランジェント・チャンネル)とリリース成分(トーン・チャンネル)に分けて、それぞれに違ったエフェクトを適応させることができるので、アタック成分だけにコンプを追加するなど、ミックスのときの微調整ができるのでとても便利です。ミックスの際に別トラックを作ることなく処理ができますし、スペクトラムを表示して視覚的に確認できるのも安心です。

Polymer[シンセ]

Polymer

Polymer

Poly Grid

Poly Grid

 オシレーターやフィルター、アンプ・エンベロープ・ジェネレーターなどを簡単に切り替えられるシンプルなシンセ・デバイスです。サイン波のオシレーターとローパス・フィルターを使うようなオーソドックスな組み合わせも、ウェーブテーブルなどの複雑な波形をオシレーターとして音を作り込むことも可能です。さらにデバイス内の好きなモジュールを選んで、オリジナルのシンセが作れるモジュラー環境”PolyGrid”への変換が可能。シンプルなPolymerに慣れたら、Poly Gridでのシンセ・ビルドにも挑戦してみてください。

Bitwig Studio 4のおすすめ機能

自由度の高いモジュレーション・ルーティング

自由度の高いモジュレーション・ルーティング

 Bitwig Studioでは、元のパラメーターを、別の信号で動かすことができる“モジュレーション”が設定できます。設定は、任意のデバイスへモジュレーション・デバイスを挿入し、モジュレーション・デバイスの“●→”マークを押して、モジュレーションを加えたいパラメーターにルーティングの設定を行います。他社製のソフト・シンセやオーディオ・エフェクトにも適用可能です。複数のパラメーターを同時に変化させたい場合には、1つのノブで複数項目をまとめて操作できる“リモートコントロール機能”との併用もお勧めです。

ノートやオーディオへのランダマイズ機能

ノートやオーディオへのランダマイズ機能

 ランダマイズ機能も面白いポイントです。打ち込みのハイハットなどの音量に強弱を付けたいときには、ノートベロシティのベロシティ設定から、Histogramを表示させ、Chaosというパラメーターを増減させると、自動的にランダムな強弱の値が与えられます。“Vel Spread”という項目では、設定範囲内で、再生するたびにランダムに数値を変化させることも可能です。ノートだけでなく、オーディオの音高(ピッチ)やパンニングも設定でき、面白い発見ができます。

思いがけないフレーズを生み出すOperators

思いがけないフレーズを生み出すOperators

 こちらもランダマイズを活用し、発音の確率やタイミングに変化を付ける機能。例えば、16分音符の均等なハイハットを打ちこむと、通常は連続した平坦な音が鳴ります。この打ち込んだノートにOperatorsから”Chance”の値を設定すると、打ち込んだ音がランダムで鳴ったり、鳴らなかったりするようになります。さらに”repeat”の値で連打する設定を行えば、1つのノートからフィルインを作ることも可能。思いもよらないフレーズが生まれ、制作の手助けも得ることもできる、クリエーションの中で役立つ機能です。

オーディオ・エディットの柔軟性

オーディオ・エディットの柔軟性

 オーディオ・エディットのしやすさも特徴。Slice In Place機能を使うと、設定した値で波形を分割できます。均等な分割もできますし、ソフトが検出したアタックの強い部分を基準にして、複数に分割することができます。その一部を削除したり並べ替えたりすると、新しいフレーズの生成にもつながります。また、レコーディングで複数テイクの気に入った部分だけを組み合わせて一つのテイクにするコンピング機能も搭載。ボーカル・レコーディングやギターなどのフレーズ生成にも役立つ機能です。

2つの画面モード&複数プロジェクトの同時操作

2つの画面モード&複数プロジェクトの同時操作

 メインの画面は、ループ素材を軸にした“クリップランチャー”と時間軸で進む“アレンジビュー”で構成されています。私はクリップランチャーにフレーズを並べてスケッチするように構成を決めた後、アレンジビューへ流し込むことが多いです。クリップランチャーでは、パート別にフレーズを変化させていくDJ的なパフォーマンスもできます。複数のプロジェクトをタブで同時に立ち上げられるのも特徴。別プロジェクトの素材を引っ張ってくることも簡単です。

カスタマイズ可能なショートカット・ボタン

カスタマイズ可能なショートカット・ボタン

 よく使う機能は、機能名の横にあるピンのボタンを押すだけで、画面上部にショートカット・ボタンとして配置できます。私はリバース機能のほか、ノートの長さを半分にして倍速で再生する“Scale 50%”や、反対に長さを倍にして1/2倍速で再生する“Scale 200%”機能などをよく使います。ボタン一つでアクセスできるので、制作スタイル に合わせた設定をすることで作業効率が上がりますね。カスタマイズの自由度の高さが魅力です。

BITWIG Bitwig Studio 4 製品情報

サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド

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