密閉型ヘッドホンULTRASONE Signature PUREが登場!

ULTRASONE Signature PURE:直販価格33,000円

“最も気に入った点はイヤパッドが厚いこと 音の広がり感はまるでオープンエア型のようです”

ドイツの音響機器メーカーULTRASONEから、新たな密閉型ヘッドホンSignature PURE(シグネチャー・ピュア)が登場した。同社のDJ用ヘッドホンSignature DJと同じ50mmマイラードライバーを採用し、優れた低域再生能力や長期間の使用に耐えうる堅牢性を確保したというモニター用エントリーモデルだ。自然な音場を再現するというULTRASONEの独自技術S-Logic 3も搭載。本製品のポテンシャルを、Signature PRO(生産終了)を愛用しているエンジニアの山田ノブマサ氏にレビューしていただいた。

Photo:Chika Suzuki

ULTRASONE Signature PURE

ULTRASONE Signature PURE:直販価格33,000円

ULTRASONE Signature PURE:直販価格33,000円

付属品の着脱式の2mカールコード(左)とキャリンバッグ(右)。カールコードのプラグは3.5mmのステレオミニだが、6.3mmのネジ式変換プラグが付属する(写真は装着した状態)

付属品の着脱式の2mカールコード(左)とキャリンバッグ(右)。カールコードのプラグは3.5mmのステレオミニだが、6.3mmのネジ式変換プラグが付属する(写真は装着した状態)

 DJ用ヘッドホンのSignature DJにも採用されている50mmマイラードライバーを搭載した密閉ダイナミック型ヘッドホン。ULTRASONEのヘッドホンSignatureシリーズではモニター用エントリー機種と位置づけられている。最新のチューニングにより、広範囲の周波数帯域において低ひずみと優れたレスポンスを実現したとのこと。また同社の独自技術S-Logic 3により立体的で自然なサウンドを再生するという。25mm厚のイヤパッドとスエード製のヘッドパッドを備え、ヘッドパッド下部には通気性の高いメッシュ構造を採用。組み立ては自社工場での職人によるハンドメイドだ。ステレオミニプラグを備えた2mの着脱式カールケーブルと、6.3mmステレオフォーン変換プラグ、キャリングバッグが付属。

●形式:密閉型ダイナミック ●ドライバ−:50mmマイラー ●インピーダンス:32Ω ●再生周波数帯域:8Hz〜35kHz ●出力音圧レベル:114dB ●重量:約294g(ケーブル除く) ●付属品:2m着脱式カールケーブル(3.5mmプラグ)、6.3mm変換プラグ(ネジ式)、イヤパッド(スエード製/装着済み)、キャリングバッグ

技術の進化を感じさせる製品

 これまでいろいろなヘッドホンを使ってきましたが、7年くらい前から、ULTRASONE Signature PROをミックスやマスタリングの最終チェックに使用しています。立ち上がりのスピードが速く、解像度が高くて細かいところまで精密に再現してくれるので、スピーカーでは見落としがちな超低域やマイクの吹かれ、リップノイズ、そして定位などの確認で重宝しています。

 今回、Signature PUREを使わせていただく際、エントリーモデルということで、価格的にもSignature PROよりかなり安いため、価格相応の音を予想していたのですが、実際に使ってみると、非常によくできた製品だったので時間の経過による技術の進歩を感じました。

 最も気に入った点はイヤパッドが厚いことです。これは着けていてすごく心地良いですね。長時間の装着でも耳が疲れませんし、ドライバーと耳との間に距離があるため、密閉型にも関わらず音の広がり感はまるでオープンエア型のようです。昔、実際にオープンエアのヘッドホンを使っていた時期があるのですが、聴きやすさという意味では、そのときの感覚に近いと思いました。着け心地的にも疲れないですし、出音で疲れることもありません。これはS-Logic 3という自然な音場を表現する技術がよくできているからでしょう。

ジャンルを問わず音楽制作やミックスに使用できる

 音質的には、ジャンルを問わず自宅での音楽制作やミックスなどに使用できるでしょう。低域から高域までのつながりがよく、非常にまとまっています。低域もすごく出ていて、ヒップホップなどの低域が多く含まれるような音楽もしっかり再生してくれました。低域を振動として感じることができるので、ヘッドホンを着けていながら少しクラブ的な雰囲気も味わえます。圧迫感のない低域が心地良いんですよね。クラブミュージックを好きな方がミックスで使うのもいいでしょう。この辺りは、もともとSignature PUREが、Signature DJというDJ用モデルの性能を引き継いでいるからという理由もあるかもしれません。嫌なピークを感じさせずに奇麗に伸びています。定位もわかりやすいです。

 モニター用のスピーカーやヘッドホンの多くは、細かい部分まで聴き取れるように作られているので、ミックスやマスタリングの作業には向いていますが、どうしても耳が疲れてしまいがちです。その点、Signature PUREは柔らかい音というイメージで、前述の通り長時間使っても疲れにくいため、モニター用としてだけでなく、リスニング用にも使えると感じました。重量も軽く、コードを含まない状態で294gなのでリラックスして使えます。僕だったら、趣味で音楽を聴く場合は、シビアなモニター用よりSignature PUREを選ぶでしょう。専用ケースも軽いので持ち運びにも適しています。通勤時の音楽再生にも良さそうです。

 着け心地がよくて疲れにくく、それでいてモニター用として十分な解像度があり、音楽を楽しむ用途にも向いているコストパフォーマンスの高いヘッドホン、それがSignature PUREだと思います。僕も本当に、プライベート用として1つ欲しいと思ってしまいました。

【山田ノブマサ】集積回路の設計技師からビクタースタジオを経て、1993年よりフリーランスのエンジニアとして活動。福山雅治、南佳孝らのミックス/マスタリングを手掛け、LOVE PSYCHEDELICOやダイヤモンド✡ユカイ、moumoonの制作ではミュージシャンとしての手腕も発揮。自身の持つ配信レーベル(amp’box Label)ではジャズにも注力。

製品情報

www.aiuto-jp.co.jp

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