ソニーは、背面開放型のモニターヘッドホンMDR-MV1(オープンプライス)を発表した。発売は5月12日(金)を予定。市場予想価格は59,000円前後。
MDR-MV1は、プライベートスタジオでの音楽制作や、ソニーの360 Reality Audioなど立体音響制作が増えてきた昨今を考慮して、クリエイターが求める音質や装着性を実現するために、ソニーミュージックをはじめとするさまざまな制作現場のサウンドエンジニアとの協業により開発。ヘッドホンでの立体音響制作を高い次元で可能とするとともに、ステレオ制作でも求められる空間表現と、5Hz〜80kHzという超広帯域再生を実現している。
背面開放型を採用した理由は、ヘッドホン内部の反射音を低減し、信号処理で付与された反射音への影響を抑えて、正確に音場を再現するため。ドライバーユニットの前面と背面をつなぐ開口部を広く設け、音響レジスターによる通気のコントロールを最適化することで、不要な空間共鳴を排除しながら、色付けの少ない低域特性を獲得しているという。
ドライバーは40mm径のものを新規開発。背面開放型に適した振動板形状とコルゲーション(振動板のエッジ部にある溝状の部分)によって、低域の再現性、超高域再生、高感度再生を実現している。インピーダンスも24Ωと低く、再生装置のヘッドホンアンプを選ぶことなく、その能力を発揮。また振動場背面に音響負荷ダクトを直結。振動板の動作を最適化し、低域の過渡特性を改善して、低域の再生能力と中域との分離感を両立している。これによってリズムの再現性も高めているという。
また、長時間でのヘッドホンモニタリングを考慮して、約223gの軽量設計とスエード調人工皮革イヤーパッドの採用など、装着性にもこだわった設計となっている。
ケーブルは着脱式で、約2.5mのケーブルが付属。ステレオフォーンからステレオミニへのプラグアダプターも同梱される。また、イヤーパッドもサービスパーツとして用意されており、簡単に交換が可能だ。


業務用として販売されているMDR-CD900STやMDR-M1STとは異なり、1年間のメーカー保証がつくのもポイントとなっている。
360 Virtual Mixing Enviroment
ソニーでは、360 Reality Audioの制作支援として、360 VIrtual Mixing Enviroment(以下360VME)をワールドワイドで展開することも発表された。複数のスピーカーで構成された立体音響スタジオの音場を、独自の測定技術によりヘッドホンで正確に再現する技術。ユーザーのプロファイルと専用ソフト360VMEソフトウェア、さらには360 WalkMix Creator™のような制作ソフトを組み合わせることにより、自宅+ヘッドホンの環境であっても、あたかもスピーカーで360 Reality Audioをモニタリングしているようなサウンドで制作が行える。
国内では、メディア・インテグレーションが窓口となり、同社のMIL STUDIOで測定を行う。