世界中のエンジニア/クリエイターが愛用するWAVESのプラグインは、具体的にどのような場面で力を発揮するのか? ミックスやサウンド・メイクで悩みがちなポイントにプロが答える形で、WAVESプラグインを用いたソリューションを紹介!
A. 新旧のSSL系プラグインを使い分けてみては?
使用するWAVESプラグイン:SSL EV2 Channel / SSL E-Channel
WAVESには、SSL SL4000Eコンソールのチャンネル・ストリップを再現したSSL EV2 Channel (以下EV2 Channel)やSSL E-Channel(以下E-Channel)といったプラグインがあり、前者は昨秋にリリースされたばかりです。これまでE-Channelが自分の中の定番で、癖の無い音質や操作のしやすさから愛用してきたのですが、EV2 Channelを試してみたところ立ち上げた段階から周波数レンジがより広く、クリアな音だと思いました。ツヤっぽさもEV2 Channelに分があり、 E-Channelは若干マットな質感。挿すだけでEV2 Channelのトラックが光、E-Channelのトラックは影という感じになるのでコントラストが付けやすいでしょう。
用途は主にイコライジングで、EV2 Channelなら中高域の大幅なブーストもスムーズな音で行えます。ただCPU負荷がやや高いので、基本的にはE-Channelを使い、ボーカルやギター・ソロ、リード・シンセなどの主役をパッと明るくしたいときなどにEV2 Channelを挿す要領。その際、EQタイプは“ブラックEQ”を選択しています。
EV2 Channelにはマイクプリのモデリングがあって、そこで得られるひずみも個人的に好みです。空間系エフェクトの後段で使用すれば響きの存在感を強められますし、ステレオ・イメージャー機能のEXTRA WIDEと併用すれば特殊効果的にインパクトのあるサウンドが生み出せます。
染野拓
【Profile】2017年、東京藝術大学音楽環境創造科を卒業し、フリーランスのレコーディング/ミックス・エンジニアとして活動。2019年からはStyrismに所属して、これまでにCHARAやSIRUP、Shin Sakiura、WONK、モノンクル、春野などの作品を手掛ける。PAエンジニアとしても活躍中。