KEF LSX II 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

KEF LSX II 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

ペアで30万円以下のモニター・スピーカーから選び抜かれた全11モデルを、音楽制作の第一線で活躍するエンジニアの染野拓氏、プロデューサー/コンポーザーのT.Kura氏が徹底レビュー! ここでは、KEF LSX IIを紹介します。

24ビット/384kHzまでのストリーミングに対応。本体の設定などをスマホで行えるワイアレス・スピーカー

KEF LSX II Lch フロント
KEF LSX II Lch リア
KEF LSX II Rch フロント
KEF LSX II Rch リア
KEF LSX II|製品価格:231,000円/ペア
※写真左がLchスピーカーの前後、同右がRchスピーカーの前後

 “ハイレゾ対応ワイアレス・スピーカー”として登場したLSXの第二世代モデル。3.5mmAUX入力での有線接続のほか、Wi-FiやBluetooth経由で音を出すこともできる。24ビット/384kHzまでのストリーミングに対応する。HDMIやUSB-C端子を搭載するので、テレビやコンピューター、ゲーム機などを接続することも可能。KEF Connectアプリで、スピーカーのセットアップやEQなどのサウンドの設定、入力音源の切り替えなどを、スマートフォンからリモートで行える。

iOS/Android対応のアプリ、KEF Connectの画面。ストリーミング・サービスでの音楽の再生やEQなどの本体の設定を遠隔で行える

iOS/Android対応のアプリ、KEF Connectの画面。ストリーミング・サービスでの音楽の再生やEQなどの本体の設定を遠隔で行える

SPECIFICATIONS
●形式:同軸2ウェイ・パワード ●スピーカー構成:4.5インチ径ウーファー+0.75インチ径ツィーター ●周波数特性:49Hz~47kHz ●外形寸法:180(W)×240(H)×155(D)mm ●重量:7.2kg/1セット

聴き疲れしない音で中域の密度が高い 〜染野拓

 LSX IIは音質がめちゃくちゃ良くて自分好み。ピークが無いので聴き疲れしないし、かといって聴きたい音は聴けるという優れものです。聴きたい音が聴けるというのは、情報量がとても多いからでしょう。

 まずはそのスタイリッシュなデザイン性。コンパクトなので部屋に置いても邪魔になりません。高域/中域/低域のバランスがとても良く、特に中域は密度が高いです。高域は解像度が高く、低域は無駄に出すぎず、中身のしっかり詰まった音がします。このサイズでサブベースのラインが分かるということにも驚きました。LSX IIなら制作からある程度のミックス作業まで対応できますし、これでミックスした曲をほかのモニター環境で聴いても、おそらく印象が変わらないだろうと思います。バンド・サウンドからR&B/ヒップホップまで多様な音楽ジャンルと相性が良いでしょう。

 専用アプリKEF Connectを使えば、デスクモード/ウォールモードを選択したり、高域のEQ補正を制御したり、位相補正機能をオン/オフできたりするのも魅力的。デスクに座ったままスマホで操作できるのが何よりも便利です。LSX IIは、サブモニターとしてぜひ欲しい!と思いました。

小音量でも崩れない音像とサイズ以上のレンジ感 〜T.Kura

 LSX IIで目を引いたのは、おしゃれな外観はもちろん、同軸タイプというところ。同軸タイプのスピーカーはスウィート・スポットが狭いという印象が強いのですが、LSX IIはスウィート・スポットが広かったので驚きました。ライン入力して再生したところ、かなり良い具合にまとまって聴こえます。次にBluetooth接続して再生してみると、さらに奇麗に聴こえる印象です。特筆すべきはレンジ感。高域から低域までバランス良く鳴りますが、このレンジ感はサイズ以上だったのでびっくりしました! 特に低域に関してはしっかり出ていて素晴らしいです。ステレオ感は広く、奥行き感についてもよく見えます。あえてラフ・ミックスの曲を流したところ、中域に音がたまっているポイントを発見することができたので、ミックス・チェックにも使えるでしょう。

 音量を上げ下げしてみても、音像の変化はほぼありません。小音量でも音像が崩れないということは、自宅環境での音楽制作でも十分に使える仕様でしょう。KEF Connectで高域のEQ補正を試したところ、なかなか優しいかかり具合だったのも好印象です。リモコンが付属している点も便利ですね。価格にも納得です! 

レビュワー紹介

染野拓

染野拓
レコーディング/ミックス・エンジニア、PA。2017年、東京藝術大学音楽環境創造科を卒業。2019年からStyrismに所属し、これまでにCHARA、SIRUP、odol、WONK、モノンクルなどの作品を手掛けている。

 Recent Work 

『Where is "LAGHEADS"?』
LAGHEADS
(LAGHEADS LABEL)
※全8曲のうち7曲のミックスを担当


T.Kura

T.Kura
プロデューサー/コンポーザー。EXILE、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、Crystal Kay、安室奈美恵、AI、三浦大知などの国内トップ・アーティストを手掛けるほか、1996年にプロデュースしたエリーシャ・ラヴァーンのシングル「Say Yeah!」がUKの『Blues&Soul』誌のチャートで1位を獲得。2010年には、EXILE「I Wish For You」で第52回日本レコード大賞を受賞。日本国内にとどまらず世界で活躍しているR&B/ヒップホップ・プロデューサー。

試聴環境

 モニター・スピーカーの試聴は、前回の特集“はじめてのモニター・スピーカー選び”に続き、東京・御茶ノ水にある多目的スペースのRITTOR BASEで行なった。スタジオにはデスクとスピーカー・スタンドを用意し、全11モデルを個別にスタンドへ配置してレビュー。レビュワーの2人には、リファレンスとなる音源を再生したり、AVID Pro Toolsのセッションで作業したりして、各モニター・スピーカーの性能をチェックしてもらった。

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

製品情報

KEF LSX II

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