音楽作りの心強い味方、オーディオ・インターフェース。数多くの製品がリリースされていますが、その豊富さゆえに、“どれが自分に合うのか分からない”“機種によってどんな違いがあるの?”と、お悩みの方もいるのではないでしょうか。そこで、2回にわたり大特集することにしました。今回の前編では“はじめての1台”と題し、15,000円以内で購入できる10製品を紹介します。このページでは、初心者のためのオーディオ・インターフェースQ&Aをお届け。これから制作を始める方は必見の内容です!
◎このページで分からない用語が出てきたら、DTM用語集を参考にしてみてください。
- Q. オーディオ・インターフェースって何をするためのものなの?
- Q. オーディオ・インターフェースはどうやって使うの?
- Q. どんなケーブルを用意すればいいの?
- Q. DAWソフトって何?
- ちょいムズ用語解説:ビット/サンプリング・レートって?
- 15,000円以内で購入できるオーディオ・インターフェース特集 2022
- 10万円以内で購入できるオーディオ・インターフェース特集 2022
Q. オーディオ・インターフェースって何をするためのものなの?
A. パソコンだけではできないことをできるようにする機械!
オーディオ・インターフェースは、パソコンやスマホとつないでマイクや楽器などの音を入力し、スピーカーやヘッドフォンへ出力するための機械です。多くのパソコンにはヘッドフォン端子があり、マイクも内蔵しているので音に関わる装備を既に持っています。しかし、ギターのシールドは挿せそうにないし、内蔵マイクも会話用途には良いけれど、良い音で歌を録ることは難しそうです。そのようなときにオーディオ・インターフェースがあれば、ギターをつなぐことができ、マイクを接続してより良い音で自分の歌を録音することができます。
パソコンだけではできないことをできるようにして、あなたの音楽の可能性を広げるのが、オーディオ・インターフェースなのです。
Q. オーディオ・インターフェースはどうやって使うの?
A. 端子に合わせたマイクや楽器、スピーカーやヘッドフォンをつないでみよう!
まずは、使いたい機材を接続できるインターフェースを選びます。マイクをつなげたい場合は、マイク・プリアンプとXLR端子、ギターを直接つなげたい場合はHi-ZやINSTなどの記載があるフォーン端子の楽器入力があるもの。シンセなど電子楽器をステレオ(L/R)で録音したい場合は、L/R2つの音を同時に入力できるライン入力のフォーン端子が2つあるもの、といった具合です。
また、購入する前に自分のパソコンやスマホで使用できるか、製品サイトなどに載っている推奨動作環境の確認を忘れないように。自分のパソコンのOSやCPUなどが、目的の製品に対応しているかどうかチェックしておきましょう。
入手後、パソコンと接続する前にドライバーと呼ばれるソフトをインストールする必要がある場合もありますが、用意されている手順通りにやればOK。あとは、付属のUSBケーブルなどでパソコンと接続すれば準備完了です。
❶XLR端子:主にマイクを接続する端子で、音を増幅するためのマイク・プリアンプを備えている。フォーン入力も可能なXLR/フォーン・コンボ端子を採用する製品も多い
❷48Vファンタム電源スイッチ:電力が必要なコンデンサー・マイクの使用時にオンにする
❸フォーン端子:楽器の音を入力する端子で、ギターや電子楽器など、接続する楽器によってモードを切り替えるスイッチが付いている機種もある(図中の“Hi-Z/LINE”のようなスイッチ)
❹ヘッドフォン端子:機種によっては、自分が今弾いている音や歌っている音を、パソコンを通さずにそのまま聴くことができるダイレクト・モニタリング機能(ダイレクト・モニター機能)を搭載している
❺USB端子:パソコンと接続するための端子で、USB-B、USB-Cなどの種類がある。USBケーブルが付属する製品も多いが、手持ちのパソコン側の端子と合わない場合は変換アダプターを用意しよう
❻アウトプット端子:左右のスピーカーに接続する端子。Lを自分から向かって左側のスピーカー、Rを右側のスピーカーにつなぐ
※○イン/○アウトといった表記は、同時に入出力できるチャンネル数を表す。この図では入力❶❸、出力❻の2イン/2アウトとなる
【分からない用語はDTM用語集でチェック!】
Q. どんなケーブルを用意すればいいの?
A. XLR、フォーン、RCAピンなど、機材に合ったケーブルを用意しよう!
接続する機器同士の端子形状をよく見て、マッチしたケーブルを用意します。両者が同じ端子ではない場合……例えばインターフェースの出力がRCAピン、スピーカーの入力がXLRでも、両端の端子の形状が違うケーブルを使えばOKです。
フォーンとTRSフォーンは同じように見えますが、端子にある線が1本か2本の違いがあります。ギターのシールドは1本、ヘッドフォンは2本……と書くとTRSはステレオ用と思うかもしれませんが、オーディオ・インターフェースではもう一つ、バランス接続(モノラルだけどノイズに強い接続方法)でも利用されます。このときインターフェースもスピーカーもバランス接続に対応している必要があるので、説明書で確認しましょう。
注意しないといけないのはマイクをつなぐとき。マイク側がXLR、反対側がフォーンのケーブルで、インターフェースにフォーン端子の差し込み口があっても、端子にマイク・プリアンプが搭載されていないとうまく利用できません。さらにコンボ端子の場合、ケーブルの端子形状によりマイク用途、楽器用途と機能が切り替わることもあるため、マイクはXLRケーブルで接続するようにしましょう。
また、ヘッドフォン端子はステレオ・ミニ、ステレオ・フォーンなど機種によりさまざまです。手持ちのイアフォンやヘッドフォンと合わない場合は変換プラグを使い、インターフェースのヘッドフォン端子の形状と合わせましょう。
【分からない用語はDTM用語集でチェック!】
Q. DAWソフトって何?
A. ①パソコンに演奏を録音して、曲を編集/加工できる!
②内蔵シンセの打ち込み/演奏が可能!
DAWは“Digital Audio Workstation”の略で、オーディオ・インターフェースと組み合わせて録音できるだけでなく、音を編集したり加工したりして音楽制作を行っていきます。STEINBERG Cubase AIやABLETON Live LiteなどのDAWが付属するオーディオ・インターフェースもあるので、チェックしてみてください。
また、DAW上で音階などの楽譜データを入力して、ソフトウェア音源(パソコン上のバーチャルな楽器)を鳴らす“打ち込み”や、MIDIキーボード(鍵盤型コントローラー)を使ってソフトウェア音源を演奏することも可能です。
【分からない用語はDTM用語集でチェック!】
ちょいムズ用語解説:ビット/サンプリング・レートって?
44.1kHzなどkHz(キロヘルツ)が単位のサンプリング・レートは、アナログな音をデジタル・データに変換するときに1秒間に何万回変換するかを表したものです。またビットが単位のビット深度は、変換1回分にどれだけデータを入れるかを表しています。
パラパラ漫画で例えると“1秒間で何枚ページめくるか”と“1ページのサイズ”。1秒間に2枚しかめくらないより30枚めくった方が動きが滑らかで、大きい紙の方が詳細な絵を表現できますが、その分めくる力(パソコンの処理能力)や保管する場所(データ量)も必要になります。最初は数値にとらわれず、面白いパラパラ漫画をどんどん作ってください。
【分からない用語はDTM用語集でチェック!】
奥村 建(オクムラタケル)
【Profile】バンドlinesとDelawareの guitar & computer player。Buffalo Daughterのライブでのサポート・メンバーとしても活動。近年の参加作品は、Buffalo Daughter『We Are The Times』、サマタマサト『Nobody Loves You(ノーバディは君に首ったけ)』『.Giffei(.じ兵衛)』。音質や安定性を求め、これまで使用したオーディオ・インターフェースは現在計28台。