
16cm径のウーファーを搭載
ブラケットや安全ワイアーが付属
RAMSAからはこの夏、ニアフィールド・スピーカーとして屋内用3機種と屋外用2機種、天井埋め込み型1機種が発売されており、屋内用/屋外用のエンクロージャー色違い(ブラック/ホワイト)によりトータル11種類のラインナップとなっています。

屋外用モデルもあるということは、野外での使用も安心ですね。この屋内用/屋外用の製品に共通しているのは、コーン・ウーファー+ドーム・ツィーターの2ウェイ構成で、パワー・アンプ用の入力が設備音響用の4極端子という点。ハンダなどは要らず、ドライバー1本で接続可能です。また、他ブランドだとオプション品になることの多い天井/壁への取り付け金具(ブラケット)とセーフティ・ワイアーが付属。これはなかなかうれしいですね。設置については、縦向きと横向きのいずれにも対応します。

入力インピーダンスの切り替えスイッチも特徴です。“ローインピーダンス・モード”はスピーカー1台を1chのアンプで鳴らすとき、“ハイインピーダンス・モード”は複数台を1chのアンプでドライブする際に使用します。さまざまなインピーダンスに対応できるため、ひとまず導入しておいて、後から用途に合わせていくような運用もできるでしょう。また本体上のスイッチなので、どのような環境でも素早くセットアップすることが可能です。


ここからはWS-NF055にフォーカスしてみましょう。本機は16cm径のウーファーを搭載し、許容入力は8Ωのローインピーダンス・モードで120W(プログラム)/60W(RMS)。ハイインピーダンス・モードは3種類用意されており、167Ω時に60W、330Ωで30W、670Ωだと15Wの定格入力となります。周波数特性は60Hz〜20kHz(−20dB)で、軽快なサウンドが期待できますね。
低域と高域のユニットのつながりが良く
どこにもピークが感じられない音質
今回はローインピーダンス・モードに設定し、2つの現場で試してみました。最初は、ステージの間口が広い会場でリップフィル(中抜け補完用スピーカー)として使用。あえてチューニングをせず、ノーEQでスピーカーそのものの音質とパワー感をチェックしました。まずは、ウーファーとツィーターのバランスがよくできています。小型スピーカーにありがちな高域のピークが感じられず、ハイエンドまで奇麗に伸びているのです。低域に関しては、ウーファーの口径がそこまで大きくないためか非常にタイト。スピードが速くて、こちらも好印象です。また、音数が少ない楽曲でも、あらが目立ってしまうようなことはありませんでした。
実は、どこかにピークを感じたりしたらEQで調整しようと思っていたのですが、その必要は無かったです。これなら小規模会場でのメイン・スピーカーとしても使えそうだなと思い、翌日に控えていたアイドルのインストア・ライブで使用することにしました。まずは店舗常設スピーカーの上に設置させてもらい、PAミキサーにマイク6本とCDプレーヤーをインプット。最初にSHURE SM58で自分の声を鳴らしてみたところ、定位感がとても良い!と感じました。ウーファーとツィーターのつながりが滑らかで、2ウェイながら非常に整った音質。先述の通り、ウーファー口径があまり大きくないので低域のもたつきも無く、素晴らしい出来栄えです。もちろん、低域が無いわけではありません。試しにミキサーのEQで63Hz辺りを3dBほど持ち上げてみると、16cm径ウーファーで鳴らしている感じがしなくなりました。量感を稼げたので、100人くらい居たお客さんにも満足していただけたのではないでしょうか。
今回WS-NF055を試してみて、あらためて“小型スピーカーの性能はここまで来たんだな”と感じました。ますます余計なアウトボードを用意しなくてもよくなりますし、リーズナブルにハイクオリティな製品を手に入れられる時代がやって来たんですね。さすがは40周年を迎えるブランドです。今後、いろいろな現場でRAMSAのニアフィールド・スピーカーを見ることになるでしょう。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2019年10月号より)