2024年12月27日(金)12:00 ~ 2025年1月6日(月)11:00まで、サポートをお休みいたします。期間中のお問合せは、1月6日(月)以降、順次対応させていただきます。

「JTS CM-8085」製品レビュー:快適な装着感を追求したヘッドセット無指向性コンデンサー・マイク

JTSCM-8085
JTSから無指向性のコンデンサー・マイクを搭載したヘッドセット・マイク、CM-8085が登場。ヘッド・バンドの装着感や、サウンドなどについてチェックしていく。

最良の収音位置を探れるグース・ネック
ヘッド・バンドに柔らかいワイアーを採用

まずはスペックから見ていこう。周波数特性は50Hz〜18kHz。インピーダンスは1.8kΩで、最大音圧レベルは130dB SPLとなっている。マイクとヘッド・バンドは別になっていて、ヘッド・バンドの左右どちらかにマイクを装着できる。XLRミニ(4ピン)端子のケーブルが付属しており、こちらもマイクから取り外し可能。別売りの変換アダプター同社MA-500を使用すれば、XLRミニ(4ピン)端子から通常のXLR端子に変換できるため、ワイアレスでの使用だけではなくワイアードでの使用にも対応している。ちなみに既発モデルのケーブルとは互換性が無いため注意しよう。

▲XLRミニ(4ピン)端子のケーブルが付属。長さは約1.5m ▲XLRミニ(4ピン)端子のケーブルが付属。長さは約1.5m

まずは音を出さずに装着。マイクはヘッド・バンドの溝に挟み込む仕様になっている。装着時には少し固く感じるが、マイクを固定してしまえば動かない安心感がある。

▲マイクを装着するヘッド・バンドの溝。マイクの装着位置を選択できるように、左右のどちらにも溝を設けている ▲マイクを装着するヘッド・バンドの溝。マイクの装着位置を選択できるように、左右のどちらにも溝を設けている

イクの先端部分は、湾曲させた状態で固定できるグース・ネック仕様となっている。息のかからない位置や声をよく拾うポイントを選ぶには非常に便利で、思ったところにぴったりと調節が効く。

耳を掛けるイア・フック部は可変型ではないため長さの調節はできないが、筆者にはちょうど良かった。かなり快適な装着感だ。かつてはワイアーの締め付けがきつい製品もあったが、CM-8085には柔軟性の高いワイアーが使われているので、大半の人はサイズで苦労することは無いだろう。ちなみに小さいサイズのヘッド・バンドも用意されている。

▲サイズ違いのヘッド・バンドが2つ用意されている ▲サイズ違いのヘッド・バンドが2つ用意されている

付属のケースは、ワイアーに負荷をかけずに収納できるすっぽりと包みこんでくれる袋タイプのもので、これも良い。

カラッとしたクリアな音色
ハウリング・マージンを稼ぎやすい

実際にナレーターに装着してもらったところ、ちょうど良いサイズ感だった。マイクとケーブルが分かれているのはとても便利で、衣服の中にケーブルを通す作業をスムーズに行える。ケーブル・ホルダーがワイアーに付いているおかげで、ケーブルを後頭部中央からまっすぐ下に垂らせた。マイクはあごくらいの位置まで調節できるので、それほど目立たない。

装着後にマイク・スタンドに立てたSHURE SM58とサウンドを比較。音量感はまるでそん色が無かった。SM58の方が音の太さはあるが、一方CM-8085はカラッとした音色で、クリアさで言えばこちらに軍配が上がる。

次に歩き回りながら、原稿を読んでもらった。500Hzと8kHz辺りにピークがあるように感じたが、無指向性にもかかわらずハウリング・マージンがかなり稼げることが判明。環境にもよると思うが、ピン・マイクと比べたら圧倒的な差である。

ピン・マイクはどうしても口元との距離が生まれてしまうので、高い音圧の中での使用は難しいところがある。それがヘッドセット・マイクだと口元にマイクをセットできるためハウリング・マージンが稼げる、というわけだ。この後何人かに装着してもらったのだが、全員が口元までマイクが届き、かつ圧迫感が無かったのは特筆すべきポイントであろう。

CM-8085は装着感が良く着脱が楽なので、ピン・マイクの代わりに使えるかもしれない。衣服を選ばないことも利点の一つだ。両手を使う必要がある場面でハンド・マイクから急にピン・マイクになると音圧が変わるのでPAは難しくなるが、ヘッドセット・マイクにすることでだいぶ解消される。今回はテストしていないが、単一指向性タイプのCM-808ULもある。こちらでさらにハウリング・マージンが稼げるとしたら、バンドなどでの使用も十分に可能だと思った。

プレゼンテーションなどでは両手をフリーにして話したいシーンやマイクを持ち歩きたいシーンなど、さまざまな状況がある。ヘッドセット・マイクだけだとマイクから離れられないので、例えば水を飲むときなどは不便だ。なのでスタンドに立てた有線のマイクと併用して、歩き回るときだけ生かすと使いやすくなる。話し手が手元でマイクを切り替えられるシステムを導入すれば、さらに話しやすくなるだろう。一方、話すことに夢中になってマイクから離れてしまう人も中にはいる。ヘッドセット・マイクがあればそのような場合でもPA側でのフォローが楽になる。

付け心地が良くコスト・パフォーマンスに優れているので、ミュージカルなど多数必要になる場合の選択肢にも入るだろう。また、エアロビクスのインストラクターなどには必須のヘッド・セット・マイクだが、圧迫感の無い大きなイア・フックを採用したCM-8085はストレスが減るように思う。

サウンド&レコーディング・マガジン 2019年4月号より)

JTS
CM-8085
オープン・プライス(市場予想価格:11,800円前後)
▪指向性:無指向 ▪インピーダンス:1.8kΩ ▪最大音圧レベル:130dB SPL ▪周波数特性:50Hz〜18kHz ▪感度(1kHz):−53±3dB(2.24mV) ▪端子:XLRミニ(4ピン) ▪重量:約16g(ヘッド・バンドとマイク)