
シンプルな電子音を特徴とするSH-101を
ACBテクノロジーで細部まで再現
SH-01Aでまず目につくのは何と言ってもそのデザインですよ。Boutiqueシリーズは筐体が小さくかわいらしいのが特徴の一つですが、SH-01Aのデザインは過去最高の出来と言ってもよいほどその筐体にフィットしている上に、オリジナルのカラー・バリエーションだったグレー、赤、青の3色まできっちりと用意されており、所有欲をそそられます。ちなみこのサイズ感は、SH-101の姉妹機、MC-202(僕も所有しています)にも近く感じました。
早速肝心のサウンドを探ってみましょう。その特徴的なブリっとキレのある音は、AIRAやBoutiqueシリーズでおなじみACBテクノロジーで再現。SH-101と同じ仕様である、1VCO、1VCF、1VCA、1ENV、1LFOにて再現されています。
VCOセクションの右横にはSOURCE MIXERが配置され、ここでパルス波、のこぎり波、サブオシレーター、ノイズをミックスすることができるので、感覚的には1VCOという感じがあまりしません。おのおのに異なるモジュレーションをかけたりはできないので、複雑な音作りには向いていないのかもしれません。が、そのシンプルさこそがまさにSH-101の特色であり、いかにも電子音らしい芯が強くも揺らぎのあるサウンドは、きっとあなたの魂をくすぐることでしょう。
VCFはローパスのみですが、レゾナンスを上げていくと自己発振するところもバッチリ再現されており、ENVはVCAと共有して使用します。ポルタメントはその度合いを調節するつまみに加え、OFF/ON/AUTO(レガート時だけかかる)というモードもレバーで選択できるようになっています。
さらにシーケンサーとアルペジエイターも装備。シーケンサーは100ステップ/64パターンを保存できます。テンポは内蔵クロックのほかに、EXT CLK IN端子にリズム・マシンなどからのクリックを入力しての同期、さらにはLFOのレートで変化させることも可能。LFOの波形をRANDOMにしてVCOやVCFに送り、1音ごとにピッチやフィルターのカットオフが変化するシーケンスを鳴らすことも可能で、とてもセクシーなのです。
4音ポリ化によって厚みある音も可能に
パーカッシブなサウンドも得意
そしてSH-101から進化した部分が幾つかあるのですが、中でも特筆すべきなのは、なんと4音ポリフォニック(!)になったこと。しかも発音方法をMONO/POLY/UNISON/CHORDという4種類のモードから選択可能です。もちろんシーケンサー/アルペジエイターも選択したモードで鳴らすことができ、走らせながらモード切り替えも可能。個人的に気になったのはUNISONモードで、4音がレイヤーされるそのブ厚いサウンドは、まるで脳天杭打ちを食らったかのような衝撃です。また、LFOの波形もノコギリ波/逆ノコギリ波の2種が追加され、モジュレーションの幅が広がっています。そして音色は64種メモリー可能です。
さて、オリジナルのSH-101と言えば、鋭いエンベロープとノイズを使ったパーカッシブなサウンドも有名ですが、このSH-01Aもしかり。アナログライクなパーカッション・サウンドや、VCF自己発振を利用した硬くて重いキックなども簡単に作成可能です。
Boutiqueシリーズではおなじみの電池駆動対応で、内蔵スピーカーも装備。リボン・コントローラーは、シーケンサーやアルペジエイターを走らせながら触っていると思わぬフレーズが飛び出てくることもあり、創作意欲を刺激されるでしょう。また、MIDIはもちろん、CV/Gate OUTも装備され、Boutiqueシリーズのほかのモデルやアナログ・シンセとの連携も抜かりありません。
SH-101を知らない世代には、シンプルな構成がとても分かりやすく、それでいて脳に直接訴えかけるようなエグい音が鳴るこの新機種は、シンセ入門機としても重宝するのではないでしょうか。そして我々SH-101ラバーズもがっつりハマるであろうこのSH-01A。グレーを使い倒すか、レッドで興奮するか、ブルーをかわいがるか……さて、あなたなら、どのカラーにします?




(サウンド&レコーディング・マガジン 2017年11月号より)