
低価格化と視認性向上を両立
60種以上に及ぶプラグインに対応
Console 1は専用のチャンネル・ストリップ・プラグインをハードウェアのコントローラーで操作します。コンピューター上には、複数のConsole 1プラグインの状況を把握できるOn-Screen Displayというソフトが立ち上がるので、それを見ながら操作する形になります。ハードと操作子の並びが一緒でとても見やすく、分かりやすいです。MKIIになり、ノブ外周のLEDが見やすくなりました。本当に画面を見ないでハードだけで使えるようになったのではないでしょうか。ちなみにソフトウェア部分については、従来のモデルもMKIIと同等になりました。
実際作業で使い始めると、直感的に操れるのはやはりとても使いやすく楽しいです。マウスを触る時間も減ったので、体にも優しい気がします。いつの間にか同じ体勢で数時間たっていること、ありますもんね。
プラグインは、まずは標準でSSL SL4000Eチャンネル・ストリップをエミュレート。Console 1のプラグインをDAWのトラックにインサートすると、このセットが立ち上がります。これだけでも基本的な音作りには十分なくらいです。“SSLのチャンネル・ストリップ”の単なる再現だけでなく、SHAPEセクションのPunchとSustainでトランジェントや音の長さをコントロールできるのが個人的に気に入っています。また出力セクションのDriveでひずみ、Characterで倍音を調整できるのも、とてもよく使っています。デフォルトではオフですが、Driveを5、Characterを0にした状態が実際のコンソールをコピーした状態だそうです。
このSL4000Eのエミュレーションだけでなく、別売りでSSL XL9000KやNEVE系と思われるBritish Class Aのチャンネル・ストリップ・アドオンが用意されています。さらに、このチャンネル・ストリップのEQ/ダイナミクスとして、手持ちのSOFTUBE製プラグインを使うことも可能。そして、MKIIではUNIVERSAL AUDIO UADプラグインの読み込みにも対応しました。所有していればSOFTUBEとUNIVERSAL AUDIOで合計60種以上に及ぶプラグインが使えるようになりましたし、CPUとUAD-2のDSPで負荷分散も可能。Console 1 MKIIの最大のポイントと言えるでしょう。
もちろん、Console 1からすべてのパラメーターが操作できるわけではないのですが、使ってみるとこれで十分。ボーカルでは標準EQのSL4000EとコンプレッサーのUNIVERSAL AUDIO 1176LNを組み合わせられますし、ほかにもコンプにはUADのFairchild 660/670やTeletronix LA-2A、SOFTUBE Tube-Tech CL 1Bなども用意。ドラムのEQにUADのNEVEやAPIなどを使うなどといった、王道なセッティングが自由自在です。
一部のDAWソフトでは
ミキサーの音量コントロールも可能に
Console 1プラグインはAAX Native/AU/VST2.4/VST3に対応しているのですが、DAWの種類によってできることの差が若干あります。
筆者は普段、AVID Pro Toolsを使っているのですが、Console 1のハードからコントロールできるのは、現在選択しているConsole 1プラグインのみ。ハードウェア上にある“Volume”も、プラグインの最終段での調整になります。個人的には、プラグインのオンとバイパスで音量が変わらないのが好みなので、その調整ができるのは便利です。ただし、Console 1でPanを使いたい場合は、トラックをステレオ出力にしなければいけなかったりもします(L/Rの出力先が必要なため)。
また、普段ライブ録音で使っているPRESONUS Studio Oneで試してみたのですがこちらだと連携がもっと進んでいて、Studio Oneのトラックのボリューム、パンに加えてセンド3系統がコントロールできます。さらに、Studio Oneでトラックの順番を入れ替えた際に、On-Screen Displayとトラック番号が自動的に一致するなど、より便利になっています。ここまで対応しているソフトはCAKEWALK Sonarがあるそうですが、ほかのソフトも今後の対応に期待ですね。
最後に、先日のアップデートで便利になったのがコントローラー未接続時のプラグイン画面が見やすくなったことです。コントローラーを持っていかなかった現場で少し調整したいときに、便利に感じています。
Console 1はあまりにもできることが多いので概要になりましたが、伝わりましたでしょうか。ぜひ一度、販売店で触ってみてください。オススメですよ。


(サウンド&レコーディング・マガジン 2017年10月号より)