
カプセル内部に空間を持たせる
オープンスペース・カプセル技術を採用
C7は本体重量346g、カプセルは24金メッキ加工を施して湿気や腐食によるダメージを防止し、スチール製ワイアー・メッシュ・グリルで衝撃から保護して耐久性を向上させている。ボディは亜鉛合金で、ラフな扱いにも耐える頑丈な作りだ。周波数特性は20Hz〜20kHzで等価雑音レベルは21dB SPL、インピーダンス600Ω以下、最大音圧レベル150dB SPLで大音圧でもひずむことなく忠実に収音し、いかなるステージ・パフォーマンスにも余裕を持って対応可能。付属の専用マイク・ケースは、スタイリッシュでありながらしっかりとマイクを保護していて好感が持てた。
ステージ上でのトラブルを最小限にするため、カプセル構造に空間を持たせてダイアフラム後方の乱流や反射を抑えるオープンスペース・カプセル技術を採用。さらに全帯域にわたって精確にコントロールされたスーパー・カーディオイドの指向特性が、ハウリングの発生を防ぐ。カプセルはボディ部分からの振動を吸収する特殊ゴムの上に配置され、ハンドリング・ノイズをピックアップしないような構造。グリル、高密度フォーム、メッシュ・フィルターからなる3層構造により、ポップ・ノイズも大幅に低減できている。
ボーカル・マイクとして最適な周波数特性
自然な明りょう感のあるサウンド
今回は弊社ライブ・ハウス、原宿ストロボカフェにてテストを行った。まずは自分が普段から使い慣れているSHURE SM58を使用して基準となるハウス・チューニング、モニター・チューニングをした後、C7で再度モニター・チェックしてみると、それぞれの帯域がブラッシュ・アップしたかのように、低域から高域までのレンジが広く伸びのある音に聴こえた。ポップ・ノイズのテストでは少し意地悪気味に吹いてみたが、気になるほどにはならず、しっかりと低減できるようだ。
さらに詳しくテストしてみるため、今回はシンガー・ソングライターの神田莉緒香さんにご協力いただいた。彼女の声は倍音成分が魅力的で、ライブなどでその部分をいかに伝えられるかがポイントとなっている。マイクはSHURE SM58、NEUMANN KMS 105を会場の環境、演奏の編成などに合わせて使い分け、場合によってEQで高音部分を持ち上げたりしていたのだが、C7はそのままでも十分に倍音部分の表現ができていた。C7の周波数特性表を見てみると、4kHz辺りが少しだけ持ち上がっていて、そこから上が7kHz辺りでフラットに戻り、10kHzでまた持ち上がっている。EQで高音部分をブーストしたのとは違い、嫌味を感じない自然な明りょう感のある聴こえ方になる印象で、ローエンドに関しては200Hz辺りから緩やかに削ってあり、ボーカル・マイクとして最適なチューニングだ。ブレスや小さな歌声もコンデンサー型マイクロフォンならではの臨場感があり、会場後方でも近くで歌っているように聴こえた。
テスト後に本人の感想を聞いてみると、“普段とモニターの聴こえ方が違うように感じた。芯の部分がしっかりと、倍音部分はより鮮明に聴こえたため、自然と歌い方が丁寧になった”と話してくれた。ハウス・チューニング、モニター・チューニングは普段の設定から特に変えておらず、モニターの音量はいつもよりやや少なめに返したのだが、このマイクの明りょうなサウンドのおかげで十分に聴こえたということで、パフォーマンスにも影響が現れたようだ。
そのほかテスト中に気付いた点として、スーパー・カーディオイドの指向特性がとても素晴らしい。弾き語りでマイクの狙いが少しずれても声質の変化は無く、それでいて周りの音のカブリなどは気にならなかった。バンド編成での使用にも心強いだろう。今回はライブ・ステージでボーカルのみのテストだったが、楽器の収音にも十分性能を発揮できるのではないかと思う。
値段も手ごろな製品が増えてきて、ライブ・ステージでコンデンサー型マイクロフォンを使用するアマチュアやインディーズ・アーティストも増えてきているが、会場の鳴り、演奏の編成、立ち位置や本人の声量などさまざまな要因があり、しっかりと扱うのは難しい。C7は、それぞれの問題を解決するかのような技術や工夫を1本のマイクに集約している製品だ。


(サウンド&レコーディング・マガジン 2017年4月号より)